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2020年4月24日

昭和の運動おもちゃ「ホッピング」のお話。ブームの火付け役は大阪、子どもから大人まで夢中に│懐かしのスポーツ回顧録

 かつて人気だった懐かしいスポーツや遊びにフォーカスして紹介していく本企画。第3回目は、小さな子のおもちゃとして今も現役であり、さらに大人が楽しむエクストリーム・スポーツにも進化している「ホッピング」のお話です。ホッピングとはどんな運動器具なのか。流行発祥地は?

大阪発!? 1950年代の「ホッピング」第一次ブーム

 ホッピングの第一次ブームは、今の団塊の世代が子どもの頃の1957(昭和32)年で、そのルーツは美容器具としてアメリカで流行っていた「ポゴスティック」。それを大阪の下町でいくつかの工場が真似て作り、「ホッピング」と命名して発売されると、バランス感覚を競う子どものおもちゃとして全国で大流行。

 路地裏や公園、校庭などいたるところでバネのついた一本足のホッピングでピョンピョン飛び跳ねて遊ぶ子どもたちの姿があふれました。この翌年にやってくるフラフープ・ブームもですが、第一次ベビーブーム生まれで戦後の世の中が安定してきた時代に育った団塊の世代は、その人口の多さもあってさまざまなブームを作ったのですね(こちらも余談でした!)。

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 ちなみに当時のホッピングは幼児用から大人用までの6段階あり、値段は580円〜980円だったそう。子どものおもちゃとしては決して安くはありませんでした。

ブームはすぐ下火に……

 しかし、ホッピング・ブームもアッという間に終わりを迎えます。「やりすぎると胃下垂になる」という噂が広まり、実際に長時間跳び続けて胃下垂や足の骨膜炎を訴える子どもが続出したのだとか。「ホッピングは過激な遊び」として、一転して社会問題に。その原因が本当にホッピングによるものなのかの真意は定かではありませんが、ブームは1年もたたないうちに収束してしまったのでした。

1980年代にバンダイが「スカイホッピー」を発売。第二次ブーム到来!

 1980(昭和55)年、バンダイは今までのホッピングの形状を維持したまま、ハンドルバーの左右端にビニールの飾り紐を付け、正面に人気キャラクターをプリントした「スカイホッピー」を発売。ホッピングの第一次ブームを知らない子どもたちにもこの単純なおもちゃは大ヒット。ブームの火付け役は、テレビCMでした。

 このブームにもやっぱり団塊の世代が関係しています。スカイホッピーで遊んだのは、実は、団塊ジュニアと呼ばれる子どもたち。団塊の世代が結婚して生まれた子どもたちだったというわけです。第二次ホッピングブームは、第二次ベビーブームの子どもたちが支えたのです(こちらも余談ですが!)。このときのスカイホッパーのお値段は2700円。ずいぶんと物価も変わりましたね。

 このブーム以後、ホッピングが爆発的に流行するといったことはありませんが、トイザらスなどのおもちゃ屋さんでは今も数種のホッピングが売られていますし、ネットでショッピングサイトを検索してもたくさんの商品がヒットします。ホッピングは、子どものバランス感覚を育むスポーツ玩具としてもはや定番となっています。

21世紀、さらに進化したホッピング。3メートルジャンプも!?

 国内の玩具メーカーから売られ、子どものおもちゃとして定番化しているホッピングですが、もともとはアメリカの「ポゴスティック」がルーツだと冒頭で書きました。そのポゴスティックも、当初の健康器具から今ではアメリカの子どもたちの定番おもちゃとして親しまれています。ポゴスティックは日本のホッピングとは構造が違い、コイルスプリングが足を置くステップの上に付いています。

 このことでコイルスプリングの強さとピストンの長さをある程度自由に設計できるため、大人も楽しめるホッピング(ポゴスティック)もあります。体重の重い大人が乗ることでより高く跳び、高く跳ぶことで可能となったアクロバティックなワザを楽しむホッピング(ポゴスティック)へと進化しています。

 その進化はさらに加速し、バネの代わりに圧縮空気を利用したエアサスペンションタイプも登場しています。なんと3メートルをも超えるジャンプができ、トランポリンのような浮遊感が味わえるのだとか。アメリカではエクストリーム・スポーツとして大会も開かれ、プロライダーもいるそうです。もしかしたら次にやってくるホッピング第三のブームは、大人のスポーツとしてかもしれませんね!

《参考サイト》
・Fly Bar Japan公式サイト
http://www.flybar-japan.com
・アウティビティショップ4ALL

http://4all-net.com/

<Text:京澤洋子(アート・サプライ)/Photo:Getty Images>