体幹トレーニング「プランク」、何分やれば効果的?長時間はむしろデメリットに (1/3)
体幹トレーニング「プランク」とは、うつ伏せになった状態で前腕と肘を地面につけた姿勢を、一定期間キープするエクササイズです。
ロープランク、フォアアーム(前腕)プランク、アブドミナル(腹部)プランクなどと呼ばれることもあります。
筋トレや有酸素運動とは違い、とても地味です。
もしエクササイズ(exercise)を字義通り「運動」と訳すなら、本来はそのカテゴリーに入れるべきものではないかもしれません。
なにしろ、プランクというものはじっと同じ姿勢で動かないわけですから。
プランク、何分やればいい?
プランクにもさまざまな種類がありますが、すべてに共通する原則は「体を固めて一直線に保ち、定められた時間中、その姿勢を崩さない」こと。
これによって腹筋や背筋、臀部などの体幹を効果的に鍛えることができます。
このプランク、何秒行えばよいのでしょうか。また、何回やればよいのでしょうか。プロトレーナーが解説します。
プランク1回あたりの時間と回数
1セットあたり10~30秒×3~5回
1セットあたり約10~30秒、それを3~5回繰り返すのがおすすめです。
セット間に、プランクをキープした秒数と同じだけの休息を入れましょう。休息を入れるのは、体幹を鍛える前に息が上がってしまうことを防ぐためと、精神的に飽きがこないようにするためです。
刺激が足りない人は、プランクのアレンジポーズを試してみるとよいでしょう。
プランクは長くやればやるほど効果的なのか
プランクをする時間は長ければ長いほど良いのかというと、必ずしもそうではありません。プランクを長くやり過ぎると、以下のデメリットが出てきます。
デメリット1.フォームが崩れて効果が出にくくなる
長時間のプランクで陥りがちなのが、フォームの崩れです。
腰が上がってしまう、あるいは逆に落ちてしまうと、持続時間は伸びるかもしれませんが、肝心の体幹部分への刺激が少なくなってしまいます。
フォームの崩れ「腰が上がってしまう」
フォームの崩れ「腰が下がってしまう」
顔は下向き、首をまっすぐに保つのが正しい姿勢です。
時計やテレビなどを見るために、首を上げて前方を向いてしまう人がいますがNGです。時間が気になる人は、スマホやストップウォッチを顔の真下に置くとよいでしょう。
フォームの崩れ「顔が上がってしまう」
一時期流行した「プランクチャレンジ」の効果とは
「プランクチャレンジ」など、継続するごとに秒数を増やし、何分もプランクを行うエクササイズ方法が流行しましたが、プランクの効果を得るために大切なのは、時間ではなく正しいフォームとやり方です。
長時間できるということは、楽にできる=負荷が少ないということだからです。すべてのトレーニングに共通することですが、 途中でフォームが崩れ、効果が低くなってしまっては意味がありません。
デメリット2. 腕や太股を強化しすぎてしまう
フォームを崩すことなく長時間のプランクを続けることができれば、それに越したことはありません。
しかし、普通の人が正しい姿勢でプランクを2分間以上していると、体幹だけではなく、腕や太股もパンパンに張るぐらいの負荷がかかります。
もちろん、それも含めてのトレーニングという考え方もあるでしょう。しかし腕や脚の筋持久力を高めたい場合は、ダンベルトレーニングやスクワットなど、適した筋トレ種目があります。
プランク本来のおもな目的は、あくまで体幹への刺激です。副次的効果として、腕や腹筋も強化できるということです。
プランクに期待できる本来の効果とは
プランクの効果は、緊張した状態から生み出される「体幹への刺激」です。あたかも雑巾を絞るように、腹筋、背筋、臀部などの体幹部分を固くすることによって筋肉に刺激を与えます。
シットアップやツイストなどの動的な体幹エクササイズは、鍛えたい部分の筋肉を動かしますが、プランクはその逆です。
緩もうとする筋肉の動きを抑え、脊椎を安定させることによって、より強い体幹を生み出す効果を引き出すのです。
\体幹トレーニングとは/
無理して長時間のプランクを行う必要はない
体幹筋力を向上させる方法としてアイソメトリック運動の有効性を証明したある研究(*3)では、被験者グループはわずか10秒のプランクを含むアイソメトリック運動を最多で5セットまで行いました。
他のグループは、伝統的なシットアップやツイストを行いました。
6週間のトレーニング期間終了後、シットアップやツイストを行ったグループと比較したところ、アイソメトリック運動を行ったグループの方が体幹部分の筋力が向上したと報告されています。
10秒間5セットは、合計1分にもなりません。それでも効果があるということですので、あえて無理して長時間のプランクを行う必要がないことが分かるでしょう。
プランク世界最長記録は?
プランクは長くやればいいものではない。それはそれとして、人はどれだけ長くプランクの姿勢を保てるのでしょうか。
アメリカ海軍兵士が目標とするべきプランクの持続時間を見てみましょう。