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2023年9月4日

プロテインは筋トレ後すぐの「ゴールデンタイム」じゃないと効果ない?元ボディビルダーの大学教授が解説 (3/8)

「初期の研究において、それを示唆する結果が得られたためだと思います。これを広めたのはサプリメントメーカーだと思いますが、特定の使用法を提案するほうがプロテインの必要性を強調しやすかったのでしょう。」(御堂先生)

サプリメントメーカーが引用した初期研究とは、どんな内容だったのでしょうか。

「多くのサプリメントメーカーが引用しているのは、2001年に報告されたEsmarck Bらの研究結果 3)です。たしかにこの研究では、レジスタンス運動の2時間後よりも直後にプロテイン(実際には10gたんぱく質、7g炭水化物、3g脂質)を摂取したほうが、12週間後の筋量や筋力が増加しました。しかし、この研究は、レジスタンス運動未経験の高齢者(74±1歳)を対象とした研究であり、被験者数も各群6~7名と少ないことから、限定された条件で偶然そのような結果が得られた可能性があります。とくに高齢者では、必要なたんぱく質摂取量が若年および中年者に比べて多いとされており 4)、たんぱく質に対する反応が若年者とは異なると考えられます。従って、この結果を一般化するには厳しいものがあると思います。一方、自転車こぎ運動直後のたんぱく質摂取(実際には10gたんぱく質、8g炭水化物、3g脂質)は、3時間後の摂取よりも体たんぱく質の合成を高めたとする報告があり、これも引用されることがあります 5)。しかし、この研究は、本来の目的である筋量や筋力を指標とした研究ではないこと、運動が有酸素運動であることなどの点で、やはり一般化するには無理があると考えられます。」(御堂先生)

第2章 プロテインを飲むタイミングとおすすめの種類

筋トレ後、急いでプロテインを飲む必要はとくにないということが分かりました。それよりもしっかりとたんぱく質を摂取することのほうが大切。では、どのようなプロテインを、どれくらい摂るとよいのでしょうか。目的別と時間帯別で見ていきます。

まずは目的別から。

ダイエット中の人は「食事の最初にソイプロテイン」

「朝・昼・夕の食事と同じタイミングで、食事の最初に摂取することをおすすめします。プロテインの種類としては、一般に利用されるホエイ、カゼインおよびソイプロテインのどれでもよいのですが、強いていえば、ソイプロテインになると思います。」(御堂先生)

食事の前にプロテイン。カロリーオーバーせずたんぱく質の割合を増やすコツは、1日のエネルギー摂取量を調整する必要があります。

「通常の食事として推奨されるのは、エネルギー摂取量に対し、たんぱく質は13~20%ですが 4)、ダイエットには30%程度がよいとされています 6)。たんぱく質を30%程度まで増やすのは困難なので、現実的には、少しでも増やそうと意識することだと思います。1日の合計のエネルギー摂取量を減らすことが前提になりますが、炭水化物や脂質の摂取量を減らしたうえでプロテインを摂取すれば、たんぱく質の割合を増やすことができます。」(御堂先生)

ダイエット中、食事の回数や量を控える人が後を絶ちません。やはり食事の回数は1日3回がベストでしょうか。

「ダイエットに効果的な食事の頻度は5~6回という説もありますが、複数の研究結果を総合すると、1日2~3回がよいと考えられています 7)。朝食欠食も肥満につながることが報告されているため、現実的に考えると、まずは朝・昼・夕の3食で必要な栄養素を摂ることを前提にすべきです。また、筋たんぱく質の合成を指標に調べた研究 8, 9) から、一度に効率的に吸収できるたんぱく質の量は、体重にもよりますが、20~30g程度と言われています。そのため、特定の食事に偏ってたんぱく質を摂取することがないように、朝・昼・夕の食事でたんぱく質の摂取が少ないときに、不足分をプロテインで補うのがよいでしょう。」(御堂先生)

朝・昼・夕の3食、バランスよく食べつつ、たんぱく質が足りないときにはプロテインで補う。その際は食事の前に飲むのがおすすめということです。しかも、たんぱく質にはダイエットの大敵である空腹感をまぎらわせる効果も期待できるのだとか。

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