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「瞬発力・持久力・柔軟性」を高めるために大切な栄養素とは?スポーツ食事指導の専門家に聞いてみた

 真面目にスポーツに取り組んでいくと、どうしても食事について考える必要が出てきます。私たちの体は、食べたものから作られており、スポーツに適した体作りのためには、適切な食事が欠かせません。今回は、瞬発力・持久力・柔軟性を養うという視点から見ていきましょう。管理栄養士の資格を持ち、プロスポーツチームやアスリートの栄養指導を行っている、株式会社アストリション代表・盛岡良行さんに話を伺いました。

持久力系の競技で大切な栄養素

 スポーツは、要求される運動の質に応じて、大きく「持久力系」と「瞬発力系」に分けられます。それぞれ求められる運動能力が異なるため、必要とされる栄養素も変わります。

「持久力と瞬発力では、使うエネルギーの質や疲れの種類が違います。持久力系の競技はエネルギーの消費が多く、瞬発系の競技は筋肉の損傷が疲れとして大きいです」(盛岡さん)

 持久力系の競技の例としては、サッカーやマラソンが挙げられます。これらの競技では長時間の活動による疲労からの回復だけでなく、あらかじめ体にエネルギーを蓄積しておくことが必要です。そして、エネルギーの元となるのが糖質(炭水化物)であることは、知っている人も多いでしょう。

「第一に、持久力系の競技はエネルギー消費量が多いという特徴がありますので、エネルギー源となる糖質を摂ることが大切です」(盛岡さん)

 ただし、糖質だけを摂ればいいというわけではないそうです。

「同時に、糖質の代謝に関わっているビタミンB1といった栄養素も、多めに摂る必要があります」(盛岡さん)

 ごはんやパンなどから摂取した糖質は、体の中のさまざまな代謝を経てエネルギー物質に変換されます。その代謝の時にビタミンB1が必要とされるのだそうです。ただ、必要な栄養素はまだまだあります。

「サッカーやマラソンは酸素を多く取り込むため、鉄分を多く消費してしまい、貧血になりやすいです。成人男性だと1日に7.5mgの摂取が推奨されていますが、日本陸上連盟では『アスリートの貧血対処7ヶ条』にて1日あたり15~18mgの摂取を推奨しており、持久力系スポーツでは特に注意した方がよいでしょう」(盛岡さん)

 なるほど。ひとくちに“持久力”といっても、単にエネルギー源である糖質だけを摂ればいいわけではなくて、それを力に変える仕組みのために必要な栄養素もあるというわけですね。

関連記事:持久力がほしいランナーに最適な食事とは? サッカー日本代表・長友佑都の専属シェフがスペシャルメニューを披露

瞬発力系の競技で大切な栄養素

 それでは瞬発力が求められる競技には、どのような栄養素が必要なのでしょうか。

「瞬発力系の競技では筋肉への負荷が大きい運動を行うため、持久力系の競技に比べると筋肉の材料になるタンパク質が多めに必要になります。スポーツ選手は体が大きいこともありますので、普通の方の2倍以上のタンパク質が必要です。それと同時にタンパク質の代謝に関わってくる栄養素、特にビタミンB6がたくさんいります」(盛岡さん)

 瞬発力に必要なのは筋力そのものなので、筋肉を大きくすることが大事なのだとか。スポーツ選手ならおなじみのプロテインもタンパク質です。ところで、最近は“筋肉がつくサプリ”といわれるものもありますが、あれはどんな成分なのでしょうか?

「サプリメントは基本的に不足している栄養素を補うためのものです。ただ、最近は補うだけでなく、プラスアルファの効果として筋肉をつけるとか、身長を伸ばすなどと謳うサプリがあります。そういったサプリはエルゴジェニックエイドと呼ばれ、特別な効果があるといわれていますが、科学的根拠としてはまだ薄いところがあるので、期待しすぎはよくありません」(盛岡さん)

 基本的に必要な栄養素は食事で摂るように心がけること。サプリメントを検討する際には、食事で足りない分をビタミン剤やプロテインで補うなど、ベーシックなサプリメントを補助的に利用することが大切なようです。

柔軟性を高めるために大切な栄養素

 柔軟性と栄養素の関係も聞いてみました。

「体を柔らかくする栄養素というのは特にありません。お酢を飲むと柔らかくなるのも迷信です(笑)」(盛岡さん)

 なんと、そうだったんですか。

「柔軟性を求めるのには、いくつか理由がありますよね。たとえば、怪我をしにくい体にしたいとか、足がつらないようにしたいとか。怪我の予防という観点からは、ミネラルを摂ることが大事です。また、カルシウムやマグネシウムの不足は、神経の刺激伝達や筋肉の収縮に関わっていて、足がつる原因のひとつとされています」(盛岡さん)

 特に、マラソンでは汗をかくことで、カルシウムが体外に多く排出されるようです。

「マラソンは疲労骨折が起きやすいので、骨を丈夫にするためにも普段からカルシウムはたくさん摂りましょう。普通の成人男性は1日あたり600mg必要ですが、スポーツ選手は1000mg以上摂った方がいいと言われています」(盛岡さん)

 確かに、どんなスポーツをするにしても怪我の予防はとても大事なこと。糖質やタンパク質に注目しがちですが、それ以外の栄養素だって重要な役割を担っているわけです。では、実際にスポーツをする上で、必要な栄養素を摂るためには、どんな食材やメニューがいいのか? 後編ではもう少し具体的な話を伺います。

後編:マラソン、サッカー、野球。意識したい栄養素とメニューは?スポーツ食事指導の専門家に聞いてみた

[監修者プロフィール]
盛岡良行(もりおか・よしゆき)
管理栄養士、健康運動指導士。株式会社アストリション代表。健康食品のメーカーを経て独立し、現在は野球の北信越BCリーグ「福井ミラクルエレファンツ」の栄養サポートや、学校でのスポーツ栄養セミナー、スポーツジム利用者への食事指導などを行っている
【公式HP】https://athtrition.com/

<Text:青山祐輔(H14)/Photo:Getty Images>

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