ウェルネスフード
2023年5月15日

筋トレ民におすすめのサプリは「BCAA」と「マルチビタミン」、その理由は?管理栄養士が解説

 筋肉を作る栄養をサポートするプロテインやBCAA、HMBなどを飲んでいる筋トレ民も多いと思いますが、筋トレ時はどんな種類のサプリメントを摂取するのがよいのでしょうか。

 管理栄養士で健康運動指導士の廣松千愛先生と、筋肉を愛する俳優・朝日奈寛さんに筋トレにおすすめのサプリメントを聞きました。

筋トレにはBCAAとマルチビタミンがおすすめ

― プロテイン以外で、筋トレをしている人に必要なサプリメントはなんですか。

朝日奈:僕はBCAAを摂るようにしています。リカバリー力がすごいんです。ほかにも「筋肉博士」の異名を持つプロボディビルダー・山本義徳先生がおすすめしているサプリメントを試したりしていますね。

廣松:筋肉をつけるための筋トレをより効果的にするには、血中のアミノ酸濃度を高めておく必要があります。BCAAの摂取は必須アミノ酸の中でも筋合成を高めるために有効なんです。運動前にBCAAを摂取することで脳の疲労軽減につながることも期待されています。さらに、BCAAの中に含まれるロイシンは筋内のタンパク質を活性化し、血中アミノ酸が筋肉に合成される過程で重要な役割を担っています。ロイシンやロイシンの代謝産物であるHMBが強化されたサプリメントを選んでみるのも良いと思いますよ。

『BCAA』には、必須アミノ酸のうち異なる構造を持つバリン、ロイシン、イソロイシンが配合されていて、筋肉の合成促進のほか、筋肉の分解を抑制する働きがあるため、連続した運動をした場合の疲労感の軽減を狙えると言われています。トレーニングによる筋疲労を軽減させることにより、質のよいトレーニングを重ねることで効果を得たい場合は『BCAA』が利用されます。

一方、『EAA』は20種類のアミノ酸のうち、体内では合成することができない、食品から摂取する必要のある必須アミノ酸9種類を配合したものです。摂取して高強度のトレーニングが行われたときに筋肥大が狙えるほか、筋たんぱく合成は『BCAA』を上回るとも言われています。

最近よく聞く「EAA」ってなに?「BCAA」との違いは?コナミスポーツクラブの管理栄養士が解説 より

朝日奈:なるほど、HMBにも注目して探してみますね! ほかにおすすめのサプリメントはありますか?

廣松:筋トレをしている人にはマルチビタミン系もおすすめです。たんぱく質の吸収を高めるためにビタミンB群(ビタミンB6やB12)のサプリメントを合わせてとってみるのも良いですね。激しい運動を行うと身体は酸化しやすくなるため、それを回復させる抗酸化ビタミン(ビタミンC、E、Aなど)などが含まれたサプリメントを合わせて摂ることも方法のひとつです。ただ、ビタミン類は運動中や運動後にすぐに摂る必要性はありません。特に脂溶性ビタミン(ビタミンA、E、K、D)は一般の方が摂りすぎると過剰摂取のリスクもありますので、まずは日常の食事を見直すことから始め、必要があれば取り入れてみてみるのもいいかもしれません。

― 筋トレする人に最適なサプリメントを摂るタイミングはありますか。

朝日奈:僕はだいたいトレーニング後ですかね。

廣松:さすがです。筋肉は日々、分解と合成を繰り返していますが、トレーニング後1~2時間のタイミングに筋肉の合成速度がピークになります。このタイミングでたんぱく質が消化吸収され、アミノ酸となって身体に行き届いていると、効果的な筋肉量アップが期待できるんです。ちなみにサプリメントとしてプロテインをとる場合は運動後30分以内に摂ると効果的ですよ。食事でたんぱく質を摂る場合は消化吸収に時間を要するため、トレーニングの2〜3時間前に摂っておくことをおすすめします。

まとめ

☑筋トレには筋合成を高める「BCAA」がおすすめ
☑たんぱく質の吸収を高める「マルチビタミン」もおすすめ
☑ロイシンやロイシンの代謝産物「HMB」もよい
☑プロテインは筋トレ後30分以内に摂ると効果的

※本記事はMELOSで公開された記事「栄養士がアドバイスする、筋トレに最適なサプリメントとは。“筋肉俳優”がヘビロテしたいサプリをピックアップ」を再編集したものです。

[プロフィール]
朝日奈寛(あさひな・ひろし)
1996年5月11日生まれ。東京出身。特技は筋トレ、サッカー、太鼓、水泳など。鍛え上げられた筋肉が美しい、アスリート系俳優。2016年Amazonプライムビデオ『仮面ライダーアマゾンズ』で演じた前原淳役(仮面ライダーアマゾンシグマ)が話題となり、2017年『新成人アワード』メンズ部門2位を受賞。tvkの『猫のひたいほどワイド』に毎週水曜日12:00~13:30レギュラー出演するなど、俳優以外でも活動の幅を広げている。

[監修者プロフィール]

廣松千愛(ひろまつ・ちより)
管理栄養士・健康運動指導士。立命館大学にてスポーツ科学や運動生理学を学んだのち、管理栄養士の資格を取得。イタリアやカナダにてアスリートなどの食事についても学び、卒業後、フリーランスの管理栄養士としてプロ野球選手寮やBリーグチームの食堂にて献立や調理を担当。現在、Jリーグユースチームや大学生アスリート、プロ選手のほかトライアスロン、射撃、サッカー、バスケットボールなどのオリンピックを目指す選手のサポートやMELOSでコラムを連載している女子100mハードルの寺田明日香選手の調理・栄養マネジメントサポートも行っており、「チームあすか」のメンバーとしても活躍。アスリートの栄養面だけでなく精神面も支えている。

<Edit:編集部/Text:山本有怜子(アート・サプライ)/Photo:有坂政晴>