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2023年7月4日

筋肉を育てる栄養素「亜鉛」、不足するとどうなる?管理栄養士が解説 (1/2)

 効率よく筋肉をつけるなら、筋トレのほかにバランスのよい食事も必須です。今回は筋肥大をサポートする栄養素「亜鉛」について、管理栄養士の深野裕子さんに伺いました。亜鉛は筋肉にどんな影響を与え、不足したときにどんなデメリットがあるのでしょうか。

筋肉を育てる必須栄養素「亜鉛」とは

傷ついた筋組織の修復や、新陳代謝をスムーズに促す

 亜鉛は体内に2g存在するミネラル。骨、筋肉、肝臓、腎臓など全身に分布しており、細胞が新しく作り替えられるときに不可欠で、たんぱく質の合成にも欠かせない栄養素です。約200種類以上の酵素の構成成分となり、体内の重要なしくみに関わっています。

 筋肉合成に関わるミネラルである亜鉛は、筋肉を増やすための重要なテストステロンや成長ホルモン、インスリンを正常に分泌させるうえで大きな役割を果たします。傷ついた筋組織の修復や新陳代謝をスムーズに促進するので、体内に亜鉛が十分に蓄積された状態であれば、筋トレの効果を感じやすくなります。

亜鉛は汗で流れやすいうえ、ハードトレーニングで消費量も増える

「ただし、亜鉛は汗で排泄されやすく、代謝があがれば細胞の必須材料としての必要量もあがるため、運動強度が高くなるほど体内での消費量は増加する傾向があります」(深野さん)

 亜鉛はカラダの中で作り出すことができないため、食事で摂取することが必要ですが、通常の食事をしていれば不足する心配はありません。しかし、ハードなトレーニングを行なう筋トレ民や食事に偏りがある、加工食品をよく摂る傾向がある方は不足しやすい栄養素でもあります。

「亜鉛は、体内で不足のないように食事から摂取する必要があります。加工食品に含まれる食品添加物などで吸収が阻害されやすいため、加工食品の摂りすぎには注意が必要です」(深野さん)

 さらに亜鉛はアルコールを代謝する酵素の材料にもなり、アルコールが尿中への亜鉛の排出を促進するため飲酒習慣のある人は摂取量に注意が必要とも。また、亜鉛は腸管での吸収率が低い(腸管での吸収率は約30%前後)ので、食事では食べ合わせを工夫した摂取法が必要とのことです。

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亜鉛が足りない状態で筋トレするとどうなる!?

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