スコアより命が大事!真夏にゴルフをした話│連載「甘糟りり子のカサノバ日記」#37
アラフォーでランニングを始めてフルマラソン完走の経験を持ち、ゴルフ、テニス、ヨガ、筋トレまで嗜む、大のスポーツ好きにして“雑食系”を自負する作家の甘糟りり子さんによる本連載。
今回は、8月のスポーツ体験について。まだまだ厳しい暑さが続きますが、夏真っ只中にゴルフをプレーしてきたそう。読者の皆さんも暑さ対策は万全に……。
日焼け止めを顔にも足にも腕にも首にも
本当に暑い夏でした。
GWは寒いぐらいだったし、梅雨も長引いていたから、きっと冷夏になると踏んでおりましたが、その埋め合わせをするような猛暑となってしまいました。その上、急に暑くなったものですから、なかなか身体が慣れず、ハードな夏でした。
なのですが、そんな猛暑の中、ゴルフに行ってきました。
リゾート地ではないですよ。私の住む鎌倉にある、鎌倉パブリックコースの薄暮9ホールです。「薄暮」は、通常のラウンドする人たちの最後尾からスタートして、ハーフだけ回るというものです。コースがある場所の標高は多分20〜30メートルぐらい。標高というより海抜といったほうがしっくりきますね。要は、ゴルフをするには暑過ぎるってことです。
誘われたのは8月初めの日曜日。日中の気温が30度は軽く超えている時期でした。一瞬、迷いました。あまりに暑いので。
もう10年近く前ですが、8月の終わりに横浜でラウンドをしたら、その日の夜から頭痛と喉の乾きが収まらなくなったことがありました。今にして思えば、あれは軽度の熱中症だったと思います。ゴルフは真夏にするものではないと身体で知りました。するなら、標高の高い避暑地に限ります。
しかし、この10年の間、夏の終わりに開催されるランガールというランニングの大会に出たりもして、私なりに真夏にスポーツする際の対処法は身につけたつもりです。ハーフラウンドだし、それをおさらいするつもりで出かけました。
前日の夜には、経口補水液のゼリーとミニボトルを大量に冷凍庫に入れ、準備開始。出かける直前に、保冷バッグにそれらを入れ、保冷剤と氷を入れたビニール袋も入れました。ウォータープルーフの日焼け止めを顔にも足にも腕にも首にも入念に塗って、プレイ中用には冷感スプレーのタイプを持参しました。日焼けは体力を奪いますからね。
車の中ではアイスコーヒーを飲みながら、40分ほどかけてゴルフ場に到着です。
すると、同行者たちは、ラウンドの前に軽く打ちっ放しで練習するというではありませんか。ひえ〜。ハーフラウンド自体が練習なのに、その上、打ちっ放しまで。もう、ここまで来たらとことん暑さと向き合います。
数を打つのは止めようと決めました。いつもより素振りは多めにして、球そのものを打つのは少なめに。集中し過ぎず、時々凍らせた経口補水液で首の裏を叩いたりしながら、練習しました。
で、午後2時50分、炎天下の中、ラウンド開始。や〜、屋根のない場所は、もう暑さが炸裂です。タオルで汗を吹くやいなや、汗が吹き出てくる感じ。こりゃあ、なるべくカートにいたほうが良さそうです。スコアより健康、というか、スコアより命が大事!
そんなガチにならない気持ちで肩の力が抜けたのでしょうか。私、1ホール目でいきなり、チップインでパーを取ってしまったのです。やや傾斜のあるグリーンの上方面から、52度のアイアンをそうっと振ってみたところ、キャロウェイの白いボールはころころと転がり、コン! と遠慮がちな音を立て、すうっと姿を消しました。びっくりしたなあ。
幸先の良いスタートでしたが、その後はいつも通り。頭の中はずっと「タラ」「レバ」が飛びかっておりました。
カートに戻っては首や脇に氷入りのビニール袋を当て、お腹がチャプチャプしそうなぐらい、しょっちゅう経口補水液を飲みました。でも、ものすごい汗をかくので、そんなにチャプチャプしないんですよね。
私は恥ずかしいぐらいの汗かきです。おそらく父に体質が似たのだと思いますが、子どもの頃も思春期の頃もいつでも汗をかいていました。中年と呼ばれる時期になって、今は更年期の真っ最中のはずですが、更年期の代表的な症状「ホットフラッシュ」というやつがきても、よくわからないんですよ。十代の頃からずーっとホットフラッシュ並みの汗かきなもので。テニスをした後なんて、ロッカールームで居合わせた人に「プールに入ったの?」と真剣な顔で聞かれるぐらいです。
今回、あまりに暑いので、スポーツタオルで氷入りのビニール袋を首にくくりつけたままティーショットを打とうとしてしまいました。素振りをしたら、同行者が「すっごい、汗!」。氷から滴る水も私の汗だと思われたみたいです。さすがに、首元が気になってドライバーが振りにくいので、外してから打ちましたけれどね。
暑さとも戦いながらの真夏のゴルフは楽しかったのですが、最後の2ホールになると、急に体力が切れました。身体がぐったりして、早く終えることばかり考えてしまって。そうなると、もう叩いちゃいますよね。体力と集中力は密接に関わっているものだなあと痛感。終わった後のシャワーの気持ち良さは格別でした。
もう少し涼しくなったら、18ホール回りたいと思います。
[プロフィール]
甘糟りり子(あまかす・りりこ)
神奈川県生まれ、鎌倉在住。作家。ファッション誌、女性誌、週刊誌などで執筆。アラフォーでランニングを始め、フルマラソンも完走するなど、大のスポーツ好きで、他にもゴルフ、テニス、ヨガなどを嗜む。『産む、産まない、産めない』『産まなくても、産めなくても』『エストロゲン』『逢えない夜を、数えてみても』のほか、ロンドンマラソンへのチャレンジを綴った『42歳の42.195km ―ロードトゥロンドン』(幻冬舎※のちに『マラソン・ウーマン』として文庫化)など、著書多数。『甘糟りり子の「鎌倉暮らしの鎌倉ごはん」』(ヒトサラマガジン)も連載中。近著に『鎌倉の家』(河出書房新社)、『産まなくても、産めなくても』文庫版(講談社)。
<Text:甘糟りり子/Photo:Getty Images>