2022年11月1日

薬剤師が教える、ダイエットにおすすめの漢方&インナーケア術

 健康的にダイエットを目指すためには、適切な食事と運動がマストです。しかし、痩せたいけれど食べたい、運動したくないなど、欲求と理想のジレンマに悩まされることもあるでしょう。

 今回は、内側から痩せるためのアプローチ方法と、効果的な漢方薬についてご紹介します。自分の生活スタイルにあった方法で、理想的なボディを手に入れましょう。

美しく痩せるには運動だけでなく「内側」にもアプロ―チする必要がある

 美しく痩せるためには、体の機能を整えることが大切です。痩せるためには、基礎代謝を上げて、余分な脂肪や水分、排泄物などがうまく外に出ていくよう整えることがポイントです。

 本当の意味での美しさとは、ただ痩せているだけではなく、心も体も健康で美しい状態を保っていること。そのため、体の内側からもケアすることで、体型だけでなく、気持ちも上を向いてくることでしょう。しかし、それを成就させるためには、地道な努力が必要です。

痩せ体質になるためのインナーケア方法

 ここでは、内側から痩せ体質になるための方法を紹介します。

漢方で体の内側からサポートする

 ダイエットには、運動や生活習慣の改善に加えて、ダイエット外来でも処方されている漢方薬を取り入れてみることもおすすめです。漢方薬は、「水太り」「脂肪太り」「ストレス太り」などの症状に効果が認められています。

 ダイエットに対しては、「代謝を上げて、運動の効率をよくする」「水分の循環をよくして水太りを改善する」「脂肪の吸収を抑える」「脂肪燃焼をサポートする」「余分な脂肪を便と一緒に排出する」「自律神経を整えてストレス過食を防ぐ」といった作用のある漢方薬を選びます。

 漢方薬は排出だけを目的としていないため、太りにくく痩せやすい体質へ根本からの改善が目指せます。では、ダイエットにおすすめの漢方薬を3つご紹介します。

防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)

 便秘がちで、とくにお腹まわりに脂肪がつきやすい人に向いています。

防己黄耆湯(ぼういおうぎとう)

 水太りに効果のある漢方薬です。水分代謝に働きかけ、むくみ、多汗、関節の痛みなどに用いられます。色白で疲れやすく、汗をかきやすい人に向いています。

大柴胡湯(だいさいことう)

 ストレスで食欲が増してしまうなど、ストレスによる肥満症に用いられる漢方薬です。気の巡りを促すことで、便通、高血圧、肥満に伴う肩こり・頭痛にも使用できます。便秘がちで、わき腹からみぞおちにかけて苦しい感じがある人に向いています。

 漢方薬は、体の内側からアプローチして体質改善するのに効果的な薬剤です。自然由来の生薬なので、安心して服用できるのもメリットです。

 しかし、自分の状態や体質に合っていないと効果を感じられないだけでなく、場合によっては副作用が生じることもあります。とはいえ、たくさんの漢方薬から自分に合ったあった漢方薬を見つけるのは大変ですし、漢方薬局が近くにない人も多いかと思います。

 そういった場合は、オンライン漢方サービスを活用し、相談してみるのもよいでしょう。たとえば「あんしん漢方」は、漢方に精通した薬剤師とAIが、あなたに合う漢方薬を見極めて、お手頃価格で自宅に郵送してくれるサービスもあります。

インナーマッスルを鍛える

 インナーマッスルは、体の深部にある深層筋という小さな筋肉を指します。体を正しい姿勢へと支えたり、内臓や骨格をあるべき位置に保つ役割があります。インナーマッスルを鍛えることで、脂肪燃焼を促進すると言われる「赤筋(遅筋)」も鍛えられ、太りにくい体質作りが期待できます。

 代表的なインナーマッスルとしては、肩関節周囲にある「棘上筋・棘下筋・肩甲下筋・小円筋(回旋筋腱板=ローテーターカフ)」や、股関節周囲にある「腸腰筋(ちょうようきん)」「小臀筋」、腹部にある「腹横筋」などが挙げられます。

 これらの筋肉をとくに刺激する筋トレは以下です。

  • スクワット
  • プランク(体幹トレーニング)
  • 懸垂
  • ランジ
  • 腕立て伏せ
  • ドローイング
  • ヨガ
  • バランスボールトレーニング など

 また、「赤筋(遅筋)」自体はランニングや水泳など有酸素運動が有効とされています(筋肉の種類と働きを知れば、筋トレやストレッチはもっと効果的になる より)。

冷え性を改善する

 体が冷えていると、基礎代謝も下がります。また、冷えることで水分や脂肪をうまく代謝できなくなり、むくみなどの太りやすい体質になってしまいます。

 温かいものを摂る、体を温める食品を摂る、軽い運動を取り入れるなどを行い、冷え性を改善しましょう。

リンパの流れをよくする

 リンパとは、血液のように私たちの体内を巡っている体液です。細胞から出た老廃物や余分な水分、脂質などを受け取った体液がリンパ液と呼ばれるものです。

 リンパ液が滞りなく流れることで老廃物がうまく排泄され、むくみにくい体につながります。しかし、リンパには心臓のようにポンプで押し出すような機能がないため、流れが滞るとむくみや肌荒れ、クマなど、ダイエット中の見た目に悪影響を及ぼします。

 普段から、マッサージやストレッチ、運動、入浴などでスムーズな循環を心がけることが大切です。

内側から心も体もキレイになろう

 バランスのとれた食事や、運動、ストレスレスな生活、マッサージなど、体にやさしい習慣を取り入れることは、痩せやすい体をつくるだけでなく、気分も前向きに明るくしてくれます。ダイエットは続けることが大切なので、自分に合った方法を見つけて、心身ともに美しい体を作りましょう。ときには、専門家に相談して漢方薬を試してみるのもおすすめです。

参考

<この記事を書いた人>
相田彩
薬剤師。昭和薬科大学薬学科卒業。
総合リハビリテーション病院、精神科専門病院、調剤薬局に勤務するなかで、漢方薬が使用される症例の多さと、体質や症状に適した漢方を使用することの重要性を実感する。漢方薬の力をより多くの方に広めるために、漢方のプロがAIを活用して自分に適した漢方薬を選び、お手頃価格で自宅に郵送してくれる「あんしん漢方」で情報発信をしている。

<Edit:編集部>