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書道なのにエクササイズ?! スポーツ感覚で“空中書道”する「AIR SHODOU」

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 空間に文字を書くニュータイプの書道「AIR SHODOU」(エア・ショドウ)。これは、手のひらの軌跡を赤外線センサーが感知して画像にする、空間書道インスタレーションです。広島と東京を拠点にして活動する「SHAREFL(シェアフル)」というデザイナー・開発者チームによるプログラムを使用しています。空中に書いた文字がプロジェクターによってスクリーンに投影され、PDFで画像として保存される、という仕組みなんです。

 書道の基本である「とめ」や「はね」、「払い」などの筆の動きがしっかり再現されており、筆のかすれ感なども表現できます。これだけ聞くと、「紙が空中に代わっただけ?」と思われるかもしれませんが、これがけっこうなエクササイズになるのです。まず、書くのは筆ではなく手のひらなので半紙サイズにはおさまらず、広範囲(最大5平方メートル)を動き回ります。さらに、筆圧はセンサーから見て前後の動きで表現するため、手のひらを押し出したり引いたりと、四方八方に動かさなければならないわけです。

 この「AIR SHODOU」をエクササイズとして取り入れたのが、書道家の佐竹燿華さん。書道歴27年になる書道家です。現在は四ツ谷の佐竹燿華書法学院等で書道を教えられているほか、国内外で書道パフォーマンスも行なっています。そんな佐竹さんに、「AIR SHODOU」について聞いてみました。

デジタルを通じて書道文化を継承したい

─「AIR SHODOU」を始められたきっかけは?

数年前に台湾で書道のパフォーマンスを行ないました。そのときに出会ったある書道の第一人者の方から、「台湾では数十年も書道が廃れていたが、デジタル書道を取り入れることで復興した」というお話を伺ったんです。大学でも、書道を学ぶのに紙とデジタルとを選択できるほどに普及しているそうで、日本よりも進んでいるという印象でした。私は書道という文化を次世代に継承したいという思いでパフォーマンスを行なっていたので、日本でも書道にデジタルを取り入れようと思ったんです。そこで見つけたのが、「AIR SHODOU」でした。

─「AIR SHODOU」をエクササイズにするという視点はどこからきたのですか?

「AIR SHODOU」を練習しているときに、ヨガや太極拳のような動きが出てきて「これは体幹を鍛える効果があるな」と感じたんです。ゆっくり動かないとセンサーに感知されないという性質上、無意識のうちに筋肉が鍛えられるんですね。イベントで参加された方たちも「これはスポーツだ」とおっしゃる方が多く、楽しみながら体を鍛えられると感じました。

─「AIR SHODOU」ならではの楽しいところは?

精神統一という面では紙の書道と同じですが、汗をかいて体を鍛えることで筋力やバランス感覚も養うことができます。

あとは、他のパフォーマーとコラボできるところも楽しいですね。DJや音楽、ダンスなど、動きやリズムのあるジャンルと相性がいいのが特徴です。また、動きが体感型のゲームみたいなので、テクノ系のカルチャーとも親和性が高い! 書く様子を映像で世界に発信したりと、可能性は無限大だと思います。

─「AIR SHODOU」の難しい点や、うまく書くコツは?

大変なのは、慣れるまでなかなか思い通りの字が書けないこと。とくに、男性よりも手足の短い女性やお子さんは、スペースをうまく使うまでに時間がかかったり、機器の調整が必要になることもあります。最初は特に線が不安定になりがち。思っているよりもゆっくりと動き、奥まで深く押し出すことで、しっかりと太い線が書けます。線を切りたいときはしっかり手のひらを引っ込めることを意識してください。あとは、最初は「大」とか三画くらいの簡単な字から始めるといいですね。

「AIR SHODOU」を体験したところ……

 お話を聞いていると、かなり気持ちが盛り上がってきました。では、さっそく体験してみます!

▲パソコンを起動して「AIR SHODOU」をはじめる準備を

 「左手を挙げてください。センサーが感知したらスタートです」(佐竹さん)。さっと左手を挙げると、センサーが感知。これで「AIR SHODOU」を書き始められます。

▲「AIR SHODOU」に苦戦する記者

 えいや!と手のひらを前に押しだして書いてみるものの、筆(手)の動かし方がピンとこず、筆先を置きたいところに点を打つことすらできません。意外に難しい! 結果、最初の作品は見事ぐちゃぐちゃに。

▲空中に書いた文字がスクリーンに投影。これは記者が初めて書いた文字

 初めての「AIR SHODOU」文字はなかなか上手く書けず……。そこで、編集のNさんにバトンタッチ。

▲「AIR SHODOU」体験に熱中する編集N

 かなり柔軟に、思い切った動きをしています。「汗が出てきました~!」(編集N)

▲「メロス」と文字を書いてみたところ

 「トロス」、いや、「メロス」と書こうとしているのですね。1回目なのに上手に書いている! 猛烈にうらやましいので、もう一度挑戦させていただきました。

 「線を切りたいときは、ぐっと腕を引いてください。センサーに感知されるスペースを意識して動いてみて」などなど、佐竹さんのご指導をよく聞きながら、再チャレンジ。と、この時点で5分も経っていないのに、汗がじんわりにじんできて、ふくらはぎと二の腕も若干プルプルしています。

 これは効きそうです! 何回か繰り返し、ゆっくりゆっくり動くと、文字がはっきり書けるようになりました。そしてできた作品が、こちら。

▲記者が書いた「めろす」の文字はなかなかの出来?

 「めろす」。当日は「上手く書けた!」と歓喜しましたが、こうしてみると園児の落書きのようです。お口直しに、プロである佐竹さんの文字を拝見しましょう。

 やはり、動きがダンスのようにお美しいですね。数年ヨガをやられているそうです。

▲佐竹さんが書かれた「命」

短時間でかなりの運動量。しかも楽しい!

 というわけで、数分でも汗が出てくる、かなり効果がありそうなエクササイズでした。しかも、とっても楽しいんです! 体験した全員が軽い興奮状態のまま、あっという間に時間が過ぎていきます。何度も何度もやり直して完璧な字を書きたくなり、エンドレスでし続けるところでした。

 現在、「AIR SHODOU」教室は週に2~3回、東京の四ツ谷(佐竹燿華書法学院)で開催されています。これなら楽しみながら体が鍛えられそうです。ぜひ皆さんも、一度体験してみてください!

[プロフィール]
佐竹燿華(さたけ・ようか)書道歴27年の書道家。東京・四ツ谷で佐竹燿華書法学院を運営。アートスクール銀座・南青山書画院にて教鞭。 ワークショップや自身の講座を通して書道を教える傍ら、国内外にて書道パフォーマンスを行い、多くの人に書道の魅力を伝え、文化交流に尽力している。
【公式サイト】https://japonism2020.com/

<Text:長谷川京子(H14)/Photo:久保誠>

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