2018年5月25日

目指すのは、切磋琢磨し合える居心地のいいチーム。宮城県「Respect仙台」│全国のランニングクラブ訪問記 #9

 一緒に走る仲間作りに最適なランニングチームの存在。しかし練習頻度や内容、あるいは考え方などは、チームによって異なります。自分に合った仲間を見つけるなら、やはり“生の声”を聞いてみるのが一番でしょう。そこでMELOSでは、全国各地のランニングチームやクラブを取材し、取り組みや特徴などをご紹介しています。今回取材したのは、宮城県仙台市を拠点とする「Respect仙台」。代表を務める太田裕二さんにお話を伺いました。

転勤をキッカケに立ち上げた“居心地の良い”チーム

「Respect仙台」は2013年に結成されたランニングチーム。宮城県仙台市を拠点として活動しています。チーム発足のキッカケは太田さんの転勤。以前、埼玉在住時に所属していたランニングチームがあり、同じようなチームを転勤先でも作りたかったのだと語ります。

「2010年から、埼玉のランニングチーム『TEAM RESPECT』の初期メンバーとして活動していました。しかし2012年に仙台への転勤が決まり、おそらくずっと仙台に住むことになるだろうと思ったんですよね。『TEAM RESPECT』はとても居心地がよくて、仙台でも同じようなチームを作りたいと思いました。そこで約半年の準備期間を経て立ち上げたのが、『Respect仙台』です」

 結成当初は約6人のメンバーでスタート。インターネットやコンビニのチラシ掲示などでメンバーを募集し、少しずつ仲間を増やしていきました。そして現在は、約20名がチームに所属しているそうです。

「述べ人数でいえば約30名ですが、仙台は転勤者が多いんですよね。転勤先で走る仲間がほしいと参加してくれる人はたくさんいますが、転勤が終わり、戻ってしまう方もいます。そのため、メンバーはよく入れ替わりますね。そういうこともあってか、メンバーの走力もさまざま。サブ3ランナーは2人いますが、まだフルマラソンを完走したことのない方、あるいは未経験者もいます。レベルは問わず、今より少しでも速くなりたいという方は大歓迎です」

 出張などで見知らぬ土地に身を置けば、やはり寂しさはあるはず。そんなとき一緒に走る仲間を求め、同チームを訪れる方が多いのでしょう。太田さん自身も転勤で仙台に来たからこそ、そうした方々の気持ちが分かるのかもしれません。

夏合宿も開催! メリハリある練習で目標達成をサポート

 チームの定期練習会は月2回。宮城野原や大和町の陸上競技場、若林緑地、榴岡公園など、練習メニューに合わせて場所も調整しているそうです。

「月1回はスピード練習などキツいものを、あと1回はマラニックなど楽しめるものを行うようにしています。楽しみがあればこそ、キツい練習もがんばれますから。秋には、“芋煮ラン”という、泉ヶ岳のキャンプ場まで走って芋煮をするイベントもあります。黙々と練習に打ち込むメンバーが多いですが、そうした交流の場では仲がいいんですよ。他にも一緒に大会へ出場したり、大会後に打ち上げをしたり。走ることはもちろん、それ以外にも交流の機会を設けています」

 仙台国際ハーフマラソンや風の草原リレーマラソン、台原3時間耐久ランなど、メンバーが自分の出場する大会予定をホームページに書き込みます。すると一緒に出たり、出場しなくとも応援に駆けつけたりすることもあるそうです。さらに、毎年“合宿”も行っていると語ります。

「蔵王坊平で夏合宿を行っています。でも全員が参加できるわけではなく、なかには泊まりが厳しいという方もいますよね。ですから日帰り合宿と組み合わせ、5日間にわたり合宿期間を設けているんですよ。たとえば泉ヶ岳のトレイルなどで日帰り合宿を2日行い、そのまま泊まりで3日間の夏合宿に突入するといった具合です。行程などは私が考えているんですが、“合宿燃え尽き症候群”になるほど気合を入れています」

 合宿ではみっちりトレーニング。朝練から始まり、トレーナーから指導を受けることもあるのだとか。夜は交流会を行うそうですが、全体的にメリハリのある活動をされていることが分かります。仲間を見つけるだけでなく、しっかり目標達成を目指せる環境といえそうです。

「きちんとサポートできるように、『RUNNERS MEISTER(ランナーズマイスター)』の中級資格を取得しました。当時は仙台で受講できず、関東まで行ったんですよ。せっかく集まって練習するんですから、知識を持って接したい。もともと陸上競技に取り組んでいたわけではなく、根性論で走り込むようなこともしません。でもメンバーがそれぞれ目標を達成できるよう、しっかりサポートしたいと思っています」

 メンバーひとりひとりが目標を持ってランニングに取り組み、それを応援し合う風土が根づいた「Respect仙台」。そこには設立当初から変わらない太田さんの思い、そして居心地のよさがあるようです。仙台で一緒に走る仲間を見つけたいという方は、まず練習会を見学・体験してみてください。

[クラブ概要]
Respect仙台
公式サイト http://respect.wp.xdomain.jp/

[筆者プロフィール]
三河賢文(みかわ・まさふみ)
“走る”フリーライターとして、スポーツ分野を中心とした取材・執筆・編集を実施。自身もマラソンやトライアスロン競技に取り組むほか、学生時代の競技経験を活かし、中学校の陸上部で技術指導も担う。またトレーニングサービス『WILD MOVE』を主宰し、子ども向けの運動教室、ランナー向けのパーソナルトレーニングなども行っている。3児の子持ち。ナレッジ・リンクス(株)代表。
【HP】http://www.run-writer.com

<Text & Photo:三河賢文>