2018年7月27日

東京五輪から正式種目の「3人制バスケ」の魅力とは?女子日本代表を目指す根岸夢(前編) (2/2)

「バスケットボールと比べて、3×3は体格の小さな日本人でも勝つ可能性が高い競技だと感じています。速く切り替え、瞬時に判断し、頭をフル回転させることで、体格差は十分にカバーできる。たとえばバスケットボールには、ボールを持ってから24秒以内にシュートを打たなくてはいけない“24秒ルール”が存在します。でもこれ、3×3だと半分の12秒なんですよ。さらに得点が決まったら、間髪入れず相手はプレイをスタートできます。いきなりワンパスでシュート! なんてことも少なくありません。そのため、常に先読みしながら行動する必要があるんです。流れやタイミングを見極め、瞬時に判断してプレイする。これは経験を積まないと難しく、私も競技しながら学んでいるところです」

「3×3」を始めた当初は、根岸選手自身もプレイスタイルに戸惑うことがあったとのこと。だからこそ、バスケットボールとは違った魅力に惹かれているのかもしれません。さらに“見る側”の視点でも、バスケットボールとは異なる点があると教えてくれました。

「コートが近く、選手と同じくらいの目線で試合が見られます。場所も体育館などではなく、たとえばショッピングモール『ららぽーと』などさまざま。DJがいることもあり、より身近に楽しめるスポーツではないでしょうか」

3×3はこれからの競技、だからこそ可能性がある 

 さいごに、これから「3×3」を始める方に向けて、メッセージをいただきました。

「男性の場合は、以前からプレミアリーグなどが開催されていました。そのため、チーム数もたくさんあります。一方で女子は今シーズンからリーグが誕生したばかり。チーム数も6つしかなく、試合では総当たり戦です。そのため、日本代表を目指せる可能性は、バスケットボールより高いと思います。くわえて、発展途上の競技だからこそ、一緒に盛り上げていけるという点も魅力ではないでしょうか。すでにでき上がったものに対して受け身に取り組むのではなく、選手が主体となり、ときに周囲を巻き込んで何かを作り上げていける。なかなかできる経験ではないと思います。少なくとも私にとって、そういう環境は大きな魅力ですね」

 実際に競技してみて、やはりバスケットボールと「3×3」との親和性は大きいと感じているようです。バスケットボールでの経験を活かし、新たな知識・スキルを上乗せしていくことで成長を目指せると語ります。ご興味のある方は、ぜひ近くのチームなど探してみてはいかがでしょうか。

[プロフィール]
根岸夢(ねぎし・ゆめ)
1993年生まれ、群馬県出身。両親の影響で小学1年生からバスケットボールを始め、大学4年生まで体育会で競技に取り組む。卒業後は一般企業に就職し、バスケットボールはサークルにて活動。先輩からの誘いで2018年3月より「3×3」チームの湘南サンズに所属。2018年4月には全国大会優勝を果たし、現在は東京五輪出場を目指して活動している。

[筆者プロフィール]
三河賢文(みかわ・まさふみ)
“走る”フリーライターとして、スポーツ分野を中心とした取材・執筆・編集を実施。自身もマラソンやトライアスロン競技に取り組むほか、学生時代の競技経験を活かし、中学校の陸上部で技術指導も担う。またトレーニングサービス『WILD MOVE』を主宰し、子ども向けの運動教室、ランナー向けのパーソナルトレーニングなども行っている。3児の子持ち。ナレッジ・リンクス(株)代表。
【HP】http://www.run-writer.com

<Text & Photo:三河賢文>

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