【アルティメット】“究極”のフライングディスク競技。歴史・ルール・体験会|一度やってみたい!珍しい海外スポーツ #8
国内ではあまり競技人口の多くない海外スポーツを取り上げ、その特徴やおもしろさを紹介する本連載。今回は、フライングディスクを用いて得点を競う、アメリカ生まれのスポーツ「アルティメット」です。2028年夏季オリンピックの正式種目採用に向けて発展途上のこの競技。一体どのようなルールで行われるのでしょうか。概要をご紹介していきます。
“究極”のフライングディスク競技
アルティメットは比較的新しいスポーツで、1968年にアメリカ人高校生が考案したとされています。1チーム7人で行われ、フライングディスクを投げてパスをつなぎ、エンドゾーン内でキャッチすれば得点が加算されるというのが基本ルール。ディスクを正確に操る技術や走力、持久力など、あらゆる能力が必要とされます。また、“究極”のスポーツマンシップを必要とする自己審判制を敷いていることから、「アルティメット(Ultimate)」の名前が付けられたそうです。
世界選手権も4年に1回、行われています、2012年には日本の大阪府堺市で「世界アルティメット&ガッツ選手権大会」が開催。日本代表はウィメン(女子)部門で優勝を飾りました。
<日本代表の主な成績>
・WFDF2012世界アルティメット&ガッツ選手権大会(2012年7月/大阪・堺市)
ウィメン(女子) 優勝、ミックス(男女混合) 第3位・WFDF2013世界U-23アルティメット選手権大会(2013年7月/カナダ・トロント)
ウィメン(女子) 準優勝、ミックス(男女混合) 第3位・WFDF2015世界U-23アルティメット選手権大会(2015年7月/英国・ロンドン)
ウィメン(女子) 優勝、メン(男子) 第3位・WFDF2016世界アルティメット&ガッツ選手権大会(2016年7月/英国・ロンドン)
メン(男子) 準優勝・WFDF2018世界U-24アルティメット選手権大会(2018年1月/豪州・パース)
ミックス(男女混合) 準優勝
その競技特性から、2012年以降は中学校の学習指導要領にゴール型の球技として採用され、徐々に発展を遂げている競技でもあります。
アルティメットの基本ルール
アルティメットは、バスケットボールとアメリカンフットボールを合体させたようなルールが特徴です。1チームは7人ずつで、コートの広さは100m×37m。基本ルールとして、以下の流れで試合が行われます。
・先攻と後攻に分かれる
・後攻チームのスローオフ(相手側に向かってスローイング)で試合開始
・先攻チームはディスクを拾い、コートの両端にあるエンドゾーン(18m×37m)を目指す
・身体接触は禁止
・エンドゾーンでキャッチすると1点が加算
・得点時に選手交代できる(何人でも何回でも)
・決勝点(国際大会では17点)を先に取った方が勝ち(国内では時間制限を用いるケースもあり)
また、以下の場合は「T.O(ターンオーバー)」として攻守交替となります。
・ディスクが地面に落ちる
・ディスクを持って歩く・走る(トラベリング)
・10秒以内にパスを出さない(ストールアウト)
・ディスクがコートの外に出る
これらのルールを守りながら、選手はロングスローや華麗なパスワーク、エンドゾーン内でのダイビングキャッチなど、ダイナミックなプレイで観客を熱狂させます。身体接触が禁止、自己審判制といったルールから、子どもやシルバー世代の遊びとしても楽しめそうです。
アルティメットはどこで体験できる?
一般社団法人日本フライングディスク協会では、競技の普及や振興を目的に、講習会や講師の派遣などを定期的に実施しています。また、国内では練習会・体験会が各地で行われており、都内では8月19日(日)に「アルティメット東京トレセン」(練馬区立光が丘第二中学校/東京都フライングディスク協会主催)が実施される予定。こちらはアルティメットを始めたばかりの人から経験者までを対象としており、将来のオリンピック選手の育成を目的にしています。
2028年の五輪種目に?
現在、アルティメットはオリンピック種目に採用されていません。しかし2028年夏季大会がアルティメットの本場であるアメリカ(ロサンゼルス)に決まったことから、追加競技として採用される可能性が高まっています。日本ではまだメジャーとはいえませんが、今後はさらなる発展が期待できそうです。
今年は8月から9月にかけて「全日本大学アルティメット選手権」と「全国ユースアルティメット選手権」が各地で開催されます。興味のある方は、まず会場へ足を運んでみてはいかがでしょうか。
<参考>
一般社団法人日本フライングディスク協会
東京都フライングディスク協会
<Text:松永貴允/Photo:Getty Images>