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「ポーランド戦」と「大坂なおみ優勝」から考えた、2018年スポーツシーンのこと│連載「甘糟りり子のカサノバ日記」#23 (1/2)

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 アラフォーでランニングを始めてフルマラソン完走の経験を持ち、ゴルフ、テニス、ヨガ、筋トレまで嗜む、大のスポーツ好きにして“雑食系”を自負する作家の甘糟りり子さんによる本連載。

 今回は2018年最後ということで、今年のスポーツシーンで甘糟さんが印象的だった2つの出来事について。ともに、日本のみならず世界で話題となりました。

もし自分がピッチにいたら、どう感じただろう

 今年も残りわずかとなりました。新しい年になる前に、2018年を振り返ってみようと思います。

 心に残っているスポーツシーンはいくつかありますが、特に印象に残っているのはサッカーワールドカップ(ロシア)の「日本対ポーランド戦」とテニスの「全米オープン女子決勝」でした。どちらも、勝ち負けだけに収まらず、いろいろなことを考えさせられる試合でした。

 記憶に留めている方も多いと存じますが、サッカー日本代表は6月28日の「日本対ポーランド戦」で0対1で負けたものの、無事に決勝トーナメント進出を決めました。そう、場内に大ブーンイングが巻き起こった、あの試合です。

 同時刻に別の会場ではコロンビアがセネガルを1対0でリードしていたんですよね。日本とセネガルは勝ち点も得失点も並んでいましたが、フェアプレーポイントで日本が上回っていました。残り時間は15分。このまま戦ってポーランドに追加点を入れられたら、得失点差で敗退が濃厚です。

 そこで西野朗監督が選んだのは時間稼ぎのためのパス回しでした。1点差の「負け」でもいいから、決勝トーナメントに出ることを選んだのです。選手交代でキャプテンの長谷部誠が投入され、何やらチームメイトに合図を出すと、それまで必死の形相で走り回っていた選手たちが顔を強張らせて、ゆっくりしたパスを出し合い始めました。

 ポーランドはポーランドで、もし日本に追加点を入れられて同点になるとこの大会での「勝ち」がゼロになってしまう。どちらのチームにとっても、0対1で試合が終わることは都合が良かったのです。だらだらと走りながらのゆるいパスの行き来に、怒号が沸き起こりました。

 私は生中継を見ていて、ビジネス的にこれが正解なんだろうなあと思いました。だって、W杯で優勝したいのならまずは決勝トーナメントに残らなくちゃなりませんからね。もうちょっとやる気のある演技をしてもいいのに、くらいは思いましたけれど。

 その数日後、たまたま元プロスポーツ選手の友人と食事をする機会があって(サッカー選手ではないですよ)、当然、W杯、ひいては日本対ポーランド戦の話題になりました。

 その友人曰く、あんな試合をして決勝トーナメントにいっても勝てるわけがない、次がない戦い方をしている、あれじゃあスポーツじゃない、ととにかく怒っておりました。私なりに意訳すると、目の前の勝ちにこだわれないならスポーツやっていても意味がない、ということでしょうか。一概にはいえないですが、私の知る限り、スポーツで成功している人って桁外れの負けず嫌いが多いです。ビジネス的な判断より何より、負けることが許せない、というか。

 もし仮に自分があのピッチにいた選手だったら、どう感じるんだろうなあ。くやしい気持ちと安堵の気持ちとどちらが勝るんだろうか。命運を分けたのがフェアプレーポイントというのがなんとも皮肉でした。

次ページ:セリーナの主張も重く受け止めていい

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