2019年2月3日

金哲彦がマラソン指導。ランナーの身体に中村勘九郎が変貌できた理由を『いだてん』演出・井上剛に聞いた (2/2)

――プロランニングコーチで解説者などを務める金哲彦さんがマラソン指導をされています。井上さんから金さんへどんなオーダーがあったのでしょう?

それも数限りないですね。いまから2年くらい前、2017年にお願いに行きました。まずは中村勘九郎さんの当時の身体を見てもらい、その頃から食べ物を管理してもらって。毎回、「今日はこんなものを食べました」と写真を送るところからスタートしたようです。そして日常生活を改善して、いかにも走れそうな身体つきに仕上げてもらった。

勘九郎さんは、実は運動が嫌いだったんです。これには私も当初、びっくりしました。勘九郎さんは「スミマセン」と謝っていましたけど(笑)。ただ、運動神経はバツグンなので、金さんに走れるようにしてもらった。

その上で、金栗さんの走り方に近付けてもらいました。前傾姿勢で、腕はあまり振らない。金栗さんの走る白黒映像が残っているんですね。さらに言えば、金さんにはマラソンでは何キロ地点ならこんな表情、何キロ地点ならこんな走り方、という細かい指導もしてもらった。

だからマラソンシーンを撮るとき、常に現場に付き添ってもらっています。金さんだけでなく、メディカルトレーナーを含めたランニングに関するチームが帯同します。野山を裸足で駆け巡ったりもするので、ケアが必須なんです。これは余談ですが、裸足で走っても足を痛めないよう、肌色のエピテーゼ(身体の表面に取り付ける人工物)も開発しました。

[番組情報]
『いだてん ~東京オリムピック噺(ばなし)~』
《放送予定》
全47回/毎週日曜[総合]20時/[BSプレミアム]18時/[BS4K]9時
《作(脚本)》
宮藤官九郎
《音楽》
大友良英
《題字》
横尾忠則
《噺》
ビートたけし(古今亭志ん生)
《出演(キャスト)》
中村勘九郎(金栗四三)、阿部サダヲ(田畑政治)/綾瀬はるか(春野スヤ)、生田斗真(三島弥彦)、杉咲花(シマ)/森山未來(美濃部孝蔵)、神木隆之介(五りん)、橋本愛(小梅)/杉本哲太(永井道明)、竹野内豊(大森兵蔵)、大竹しのぶ(池部幾江)、役所広司(嘉納治五郎)
荒川良々(今松)、池波志乃(美濃部りん/おりん)、井上肇(内田公使)、岩松了(岸清一)、柄本時生(万朝)、大方斐紗子(金栗スマ)、小澤征悦(三島弥太郎)、勝地涼(美川秀信)、川栄李奈(知恵)、小泉今日子(美津子)、近藤公園(中沢臨川)、佐戸井けん太(春野先生)、シャーロット・ケイト・フォックス(大森安仁子)、白石加代子(三島和歌子)、髙橋洋(池部重行)、田口トモロヲ(金栗信彦)、武井壮(押川春浪)、永島敏行(武田千代三郎)、中村獅童(金栗実次)、永山絢斗(野口源三郎)、根岸季衣(田畑うら)、ピエール瀧(黒坂辛作)、平泉成(大隈重信)、古舘寛治(可児徳)、ベンガル(田島錦治)、星野源(平沢和重)、松尾スズキ(橘家圓喬)、松坂桃李(岩田幸彰)、松重豊(東龍太郎)、満島真之介(吉岡信敬)、峯田和伸(清さん)、宮崎美子(金栗シエ)、山本美月(本庄)ほか
《制作統括》
訓覇圭、清水拓哉
《演出》
井上剛、西村武五郎、一木正恵、大根仁
《公式サイト》
https://www.nhk.or.jp/idaten

<Text:近藤謙太郎/Photo:NHK提供>

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