2019年5月15日

箱根駅伝を描く『いだてん』。中村勘九郎ד山の神”柏原竜二が語る金栗四三とは

 大河ドラマ『いだてん』トークツアーが5月12日、御殿場市市民会館 大ホール(静岡県)にて開催されました。金栗四三役である中村勘九郎さんと、箱根駅伝において「金栗四三杯」を3度受賞した元陸上競技選手の柏原竜二さんが登壇しました。

中村勘九郎さん、金栗四三とそっくりな経験語る

 中村勘九郎さんが大河ドラマ『いだてん』で演じる金栗四三は、日本人として初めてオリンピックに出場したマラソン選手。マラソンの練習に富士山御殿場口を好んで利用しており、市で毎年行われている「富士登山駅伝競走大会」の礎を築いた人物です。次回の『いだてん』では、第1回箱根駅伝が開催される模様が放送されます。

あらすじ:第19回「箱根駅伝」(2019年5月19日放送)

 フランスのクーベルタンから治五郎(役所広司)に届いた手紙には、ストックホルムから8年ぶりにアントワープオリンピックが開催されるニュースが書かれていた。新しい「箱根駅伝」の構想に力を注ぐ四三(中村勘九郎)だったが、やはりオリンピック開催こそ待ち望んだもの。遠い熊本で離れて子育てに励むスヤ(綾瀬はるか)を訪ね、次こそ金メダルをとって引退し、家族と暮らす約束をする。しかし実は、前回死人を出したマラソンは正式種目に含まれていなかった。「箱根駅伝」がオリンピック代表選手の選考を兼ねて開催され、大盛り上がりを見せるなか、治五郎はクーベルタンにマラソンの復活を訴える。

 トークツアーがはじまると、中村勘九郎さんが“金栗走り”で颯爽と登場。金栗四三が初めて富士登山した時のエピソードが、学友である美川秀信役の勝地涼さんの朗読音声によって紹介されると、勘九郎さん自身も学生時代に初めて富士山に登ったとき軽装のため断念し、その後リトライ登頂したエピソードを紹介。金栗四三とそっくりな経験があると語りました。

 また、ベルリンオリンピックでの金メダルを目指し、もっとも脂がのっていた金栗四三にとって、ベルリンオリンピックが中止となった心境について「本当に辛かったと思いますよ」とも語りました。

「山の神」柏原さんも登場! 中村勘九郎さんと熱いトーク展開

 その後、箱根駅伝で大活躍し「山の神」と呼ばれた柏原竜二さんが登場すると、柏原さんは「こんなに大人数を前に話すことはほとんどないので……」と緊張した面持ち。勘九郎さんとは初対面ながら大学が一緒など共通点も多いそうで、熱いトークを展開しました。

 柏原さんは、箱根駅伝の最優秀選手に贈られる「金栗四三杯」を3回受賞しましたが、唯一逃した年に受賞した村澤明伸さんからサプライズの手紙が紹介されると、「この1回を逃した年は、走ることができないくらい精神的にも辛かったが、逆にそのことで出身の福島の恩師や仲間などたくさんの人に支えられていることに気づくことができた。それまでは自分のためだけに走ってきたが、この時に、誰かのために走ることにも意味があることを知った」と話しました。

道を極める者同士、その原動力は?

 歌舞伎と陸上競技。世界は違っても、道を極めようとする者同士、挫折やプレッシャー、さまざまな苦しみ、そのようなものを乗り越えて更に走る、演じる……2人にとってその原動力は何かという質問に、柏原さんは「自分にはこれしかないという気持ち」と回答。一方の勘九郎さんは「やはり好きという気持ちが1番だが、柏原さんの話を聞いて『こんちくしょー』という気持ちも大切だと思った」と語りました。

 最後のフォトセッションコーナーでは、柏原さんから勘九郎さんにタスキをつなぐポーズが披露され、会場は大盛り上がりとなりました。

<Text:辻村>