2017年7月29日

かめはめ波が撃てる! テクノスポーツ「HADO」体験会レポート

 皆さん、幼い頃にこんな夢を思い描いたことはありませんか?

「かめはめ波を出してみたい」
「波動拳をやってみたい」 

 アニメやゲームでよく見た、自分の手から放たれる必殺技。無駄にポーズを構えては練習に励んでいた人も多いのでは?

 そんな子どもの時代の夢が、あるスポーツで叶えられるようになりました。

AR空間で繰り広げられる、必殺技バトル

 「HADO」はウェアラブルデバイスとAR(Augmented Reality:拡張現実)を活用した、ゲーム感覚のテクノスポーツです。仮想空間上でエナジーボールをぶつけることもできれば、バリアでガードもできる……、なんて近未来的なスポーツなんでしょう!

 このスポーツを開発・推進している株式会社meleapでは、月に一度HADO体験会を実施しているので、さっそく参加してみました。今回は初心者向けの体験会ということで、参加者のほとんどがHADO初体験。事前のルール説明を受けながら、カードによるチーム分けが行われました。

 会場では赤チームと青チーム2手に分かれ、さらにその中で3人1組の4つのチームが作られました。ちなみに筆者は青チーム。各チームの対戦成績を総合して、最終的な勝敗を競うようです。

  筆者も体験会初参加の男性2名とチームを結成しました。その名も「ウルトラワン」。チーム分けの際に配られたカードの絵柄からつけました。ちなみに、体型から推測されるように、筆者はふだんあまりスポーツをする方ではありません。足手まといになる可能性を秘めております。

 しかし、ここで及び腰になってはいけません。なぜなら、HADOはチームで戦うスポーツ。トレーナーからアドバイスをもらいながら、チームとしてどのようなスタンスで戦うか戦略を練ることになりました。

ステータス設定など、大きな子ども心をくすぐる仕掛けが

 とりあえずウルトラワンは、防御策のバリアを上手く使いこなすのが難しそうとの理由により、弾を飛ばしまくる「ガンガン行こうぜ!」方式に決定しました。

 これに伴い、腕に装着したセンサーで、自分の放つエナジーボールのステータスを設定します。与えられた10ptのスキルポイントを、自由に振り分けられるのですが、スローガンが「ガンガン行こうぜ」なので攻める系のポイント振り分けをしました。弾の速度4、弾の大きさ2、チャージ速度3、バリア強度1に設定。攻めています。

 そしてHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着すれば、準備は完了です。どうです、見た目かなり近未来でしょう? ここまで完全装備すると、気分はドラ○ンボールのZ戦士ですよ。地球のみんな、オラに力を!

  そしてこれがオラの仲間……否、私のチームメイトたちです。2人とも一通りレクチャーを受けて、すっかりHADOをモノにした感が。頼もしい仲間を携えて、いざ出陣です!

目の前を行きかうエナジーボール! 80秒のバトルは意外とハード

  いよいよ対戦がスタートしました。ウルトラワンは、3列に分かれて動いております。後方部隊の私は猫パンチしているようにも見えますが、HMD上ではエナジーボールが繰り出されているのです。 

 プレイフィールドの横にはモニターが置いてあり、プレイヤーとARを重ねた第三者視点の映像が映し出されていました。これが、戦っている筆者たちから見たHADOの世界です。

  ARで表示された的や数値も、本当にそこに浮かんでいるかのように感じられるほどのリアリティがあります。チームメイトたちと、拙いながらも連携を駆使して戦います。これは楽しい!

 1回戦目はどうにか勝利しました。しかし、筆者は甘かった。ここからHADOがスポーツたる由縁を体感することになります。

 試合は80秒に渡って行われますが、エナジーボールを投げ、相手のバリアを破り、時には自分もバリアを張り……。この動作、続けてやると、キ……キツイ! 2回戦目になると運動不足なアラフォーのBBA、後方ですっかりバテておりました。

 結果は大敗。チームメイトたちには本当に申し訳ない体たらく。しかし、それなのにどこか清々しさが。これはきっと全力で戦ったからでしょう。やっぱり、HADOはスポーツなんですね!

 ちなみに、トータル成績では他のチームが善戦したため、青チームの勝利となっていました。足を引っ張ってすいません!

練習で上手くなり、チームの戦略を駆使する、これぞまさにスポーツ! 

 体験会の終了後、meleapでCEOを務める福田浩士さんにお話を伺いました。

 福田さんによると、同社を立ち上げたのは3年前のこと。15年8月にはHADOの原型となる「モンスターバトル」がリリースされました。これを対人戦へとシフトさせたのが、HADOの始まりとのことです。では、なぜHADOを作ろうと思われたのでしょうか?

「それはもう最初は、自分の中にあった『かめはめ波が打ちたい』という気持ちからですね(笑)。ただ、開発を進めていくうちに、これはスポーツになるんじゃないかと思いまして。テクノロジーを使った新しい次世代のスポーツ。これを私たちはテクノスポーツと名付けたのですが、その最初の競技となり得るのではないかと考えたのです」

 ARが登場してから、さまざまなゲームが作られています。その中で、あえてスポーツとしての道を目指したHADO。そこには、プレイヤー同士の競争の面白さがあったようです。

「スポーツにおいて、勝ちたい、1番になりたいというモチベーションはドラマを生みますよね。HADOではプレイヤーが試行錯誤しながら、オリジナルの技を見つけたり、開発したり、ときには技名を自分で作って戦います。プレイヤー発信で発展していく点は、スポーツらしい面白さではないでしょうか」

 勝つために、上手くなるために練習するというのは、確かにスポーツに共通するところです。ちなみに、反省するぐらい下手くそだった筆者ですが、HADOを上手くなるにはどうすればいいのでしょうか?

「練習すればするほど上手くなるのは当たり前なのですが、基本的にはチームスポーツなので、仲間との連携が大事になりますね。アイツがここにいるからここにバリアを張ろうとか、サポートしようとか。あとは声の掛け合いも重要ですね。だから、HADOはチーム戦の方が面白いんです。チームならではの戦略を立てて、強くなっていく。もちろん、個人戦でやっておもしろいことが前提ですが、それ以上にチームでの戦いに重きをおいて広めていきたいですね」

  ちなみに、HADOには2021年を目標に、プロリーグを作る計画があるといいます。まずは、トーナメント大会を年に数回開いていくとのことです。今年もテクノスポーツの国際大会として『HADO WORLD CUP2017』を開催。賞金総額は300万円。ゲーム感覚で始められるスポーツなので、プロを目指して本格的に取り組んでみるのもアリかもしれませんね!

<Text : もちづき千代子(H14)/Photo:神谷渚>