周囲への配慮を忘れずに!サイクリングを楽しむための電車輪行マナー
どこか遠出してサイクリングする際、考えなくてはいけないのが移動手段。自転車を積み込める車があれば構いませんが、そうでなければ電車などで“輪行”する必要があるでしょう。しかし輪行する際には、守るべきマナーが存在します。
ここでは輪行する前に心得るべき、最低限のマナーについて解説します。いざサイクリングに出かけようとしてトラブルを起こさないよう、しっかり確認しておいてください。
電車に持ち込めるモノのサイズ&重量
そもそも電車には、何を持ち込んでも良いというわけではありません。危険物に代表されるよう、持ち込めないモノが存在します。そして“持ち込める”とされる場合でも、以下のようにサイズと重量には制限が設けられているのです。
・縦+横+高さ=250cm以下で、かつ、1辺の長さが2m以下のもの
・重量が30kg以内のもの
なお、上記に則った荷物でも、基本的に持ち込めるのは2個までと決められています。これは、意外と知っている人は少ないかもしれません。自転車を輪行する場合、まずはサイズと重量が制限内かどうか確認しましょう。
輪行袋に入れる
サイズと重量が制限内であれば、自転車は無料で持ち込むことが可能です。しかし、だからといって“そのまま”電車内には乗せられません。自転車は解体して、専用の輪行袋に入れる必要があるのです。ただし折りたたみ自転車の場合、解体ではなく折りたたむことで、同様に輪行袋に収納します。
なお、輪行袋にもさまざまな種類があります。基本的には、解体した自転車がすっぽり復路に収まるようにしましょう。例えばサドルなどがはみ出していると、ぶつかったり引っかかったりする危険があります。
解体する場所
自宅から輪行袋に入れて運ぶ場合は別ですが、中には「駅まで乗って、その場で解体する」という方もいるはず。その際には、解体する場所をしっかり考えてください。
たまにサイクリングイベントなどで、最寄り駅構内で自転車を解体している人がいます。しかし歩行者の大勢行き交う駅構内は、邪魔になりますので避けましょう。同様に、駅の入口付近や狭い道などもマナーとして相応しくありません。例えば近くの広場など、広いスペースが確保でき、周囲の邪魔にならない場所を選んでください。また解体時には、解体したパーツを広げず、コンパクトにしてできるだけ場所を取らない配慮も心がけたいものです。
電車内では他の乗客に配慮を忘れない
自転車は、いくら解体しても大きな荷物です。そのため、他の乗客の邪魔にならないよう、できる限り配慮しましょう。例えば満員電車の時間帯を避け、電車内では隅に乗る。また、乗降口を塞がない、自転車が倒れないよう手を添えるといったことも大切です。
そして乗車・下車時には、周りの人やモノにぶつからないよう細心の注意を払ってください。自転車の大きさを上手く把握できていないと、思っている以上に遠くのものに当たってしまうことがあります。例えば最後に下車する、人が少なくなってから改札に向かうといったことも、周囲に対する配慮の1つです。
バスやタクシーは要注意
電車以外の交通手段として考えられるのが、バスやタクシーです。まずバスについては、基本的に輪行NGと考えておきましょう。ただし高速バスなど荷物スペースの広い車両では、有料扱いなどで乗せてくれる場合があります。どうしてもバスしか移動手段がないという際は、あらかじめバス会社に確認を取ることが大切です。
また、タクシーについては、社内およびトランクに納められるか否かがポイントとなるでしょう。トランクに入れた場合、トランクが閉まらないようなら当然ながら乗せられません。また、スペースギリギリのトランクに無理やり載せた場合、圧迫などで自転車そのものが壊れてしまう可能性があります。スペースの広さは車種により異なりますが、できるだけ細かく解体しておき、余裕のなさそうなトランクは避けると安心です。そして段差などガタつく場所で自転車が衝撃を受けないよう、下に敷くクッションシートなどを用意しておくこともオススメです。
このように、輪行にはいくつも守るべきマナーがあります。自転車の解体・組み立てを練習する方は多く見られますが、ルールをちゃんと調べている方は少ないようです。トラブルなくサイクリングを楽しむために、ここでご紹介したことはぜひとも頭に入れておいてください。
三河 賢文(みかわ・まさふみ)/“走る”フリーライターとして、スポーツ分野を中心とした取材・執筆・編集を実施。自身もマラソンやトライアスロン競技に取り組むほか、学生時代の競技経験を活かし、中学校の陸上部で技術指導も担う。またトレーニングサービス『WILD MOVE』を主宰し、子ども向けの運動教室、ランナー向けのパーソナルトレーニングなども行っている。3児の子持ち。ナレッジ・リンクス(株)代表
【HP】http://www.run-writer.com
<Text:三河賢文>