インタビュー
2019年8月3日

上白石萌歌×いだてん。日本女子初の金メダリスト前畑秀子を演じる覚悟と決意:インタビュー前編 (2/2)

2020年の東京オリンピックも楽しみになってきました

――現場の雰囲気はいかがでしたか。

楽しかったですね。オリンピックのシーンはずっと水の中だったので、体力的にも精神的にも大変でしたが、水泳部員は仲が良くて。あの皆さんじゃなかったら泳ぎ切れてなかった、演じ切れていなかった。日に日に絆が深まっていきました。お休みの日にも、時間があれば集まったり。『いだてん』の中でも、水泳チームがイチバン仲が良いよと言われるくらい、絆が深まっていきました。この撮影が終わっても、ずっと続く仲であったら良いなと思っています。

――撮影を通じて「オリンピック」を体感されたと思いますが、経験してみて「オリンピック」とはどういう舞台でしたか。

2020年には東京オリンピックが開幕していると思うと、いまこの時期に『いだてん』の中でオリンピック選手を演じられることに、すごく誇りを感じます。前畑さんを演じていて痛感したのが、どんな選手でもひとりの人間で普通の心を持っている、ということ。心が特別強いというわけでもないと思いますし、日々、いろんなプレッシャーや周りの期待を背負いながら戦っていらっしゃると思うと、選手を見る目が違ってきます。だから2020年のオリンピックも楽しみになってきました。ぜひ、水泳をこの目で見たいと思います。

――アスリートを見る目が変わりましたか。

昔から、アスリートのドキュメンタリーはテレビでよく見ていました。だから、なおさらオリンピックに向けた準備のプロセスを知りたいと思うようになりました。最近はパラリンピックに関連するお仕事をさせていただき、パラリンピックの水泳選手のドキュメンタリーを見て感動して。普通の水泳選手以上に特別な訓練を重ねていらっしゃって、そんなドキュメンタリーにもっと触れたい、もっと知りたいと好奇心が強まっているところです。

――ドラマでは、嘉納治五郎と並ぶくらい有名な前畑秀子さん。実際に演じてみて。

お話をいただいたとき、実感が沸かなくて、さらに言えば今も実感がないままで。その人が物語の中でどれだけ影響を与えていたかより、自分がどれほど全うできるか、短い時間で水泳に熱を注げるか、をずっと考えていました。あまりプレッシャーは感じていなくて。(インタビュー時点で)撮影もあと3日くらいですが、終わってから初めて、私が前畑さんを演じたこと、その前畑さんが第2部のキーパーソンになってテレビの中で生きることを実感して、変な気持ちになるのではと思います。

――トータス松本さん(役:NHKスポーツアナウンサー河西三省)とは実際に共演されましたか。

同じ空間の中でお芝居をしたのが、ロス・オリンピックの実感放送のシーンでした。私、阿部サダヲさん、トータスさんの3人で実感放送をするシーンでは、河西さんの前で私は、何故か田畑さんと一緒に平泳ぎの真似をしなくちゃいけない。水をかけられたりして(笑)。目の前で臨場感を出す演出だと思いますが、その撮影がとてもおもしろかったです。

⇒後日公開のインタビュー後編に続く。

<Text:近藤謙太郎/Photo:NHK提供>

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