よく噛める=よく動ける。歯とスポーツの密接な関係とは (2/3)
運動中の噛み合わせの重要性
生涯にわたって自分の歯を20歯以上保つことを目指す公益財団法人8020推進財団(日本歯科医師会が提唱し2000年に設立)は、スポーツと歯の関係についても具体的に説明しています。
同財団によれば、スポーツをする際には歯の健康さや噛み合わせが大きな意味を持ちます。プロ野球選手がガムを噛んでいる姿を見かけることがありますが、これは脳への血流を活発にして集中力を高め、より瞬発力を発揮できるようにするためだとか。
このほか、歯の噛みあわせがよいと、身体のバランス感覚にも有用であることが明らかになっています。
こうしたデータがあることから、一流のアスリートは歯を大事にしています。国内でトップレベルのスポーツ選手を調べたところ、一般の人よりも虫歯が少なく、未処置の歯がほとんどないことも、スポーツと歯の関係性を裏付けています。
よく噛める=よく動くことができる
また、スポーツをする際に奥歯でしっかりと噛みしめることができれば、より大きなパワーを出すこともできます。
8020財団が、アスリートの噛みしめる力を計測したところ、レスリング選手やテニス選手は一般人の約1.5倍、ハンドボール選手は約2倍、ボート選手やライフル射撃選手に至っては、一般人の3倍近くの数値を叩き出していますから驚きです。
また同財団によれば、『よく噛むことができるほど、よく動くことができる』ということも分かってきています。
同財団の調べによると、8020(80歳で20歯以上を目指す活動)の達成者は、0歯や1〜19歯しかない人と比べて、自由に外出ができる割合が高くなっています。注目すべきは、0歯の人と、8020達成者の差です。
0歯の人は、約40%しか自由に外出できていませんが、8020達成者はその割合が約8割と、2倍以上になっています。よく噛めることが、自由に動き回る行動範囲の広さにもつながっているのです。
もちろん、スポーツを楽しむためにも歯は重要です。運動習慣のある人ほど、失った歯の数が少ないというデータもあります。