スイングごとの助言まで! ゴルフクラブ測定ガジェット「M-Tracer for Golf」を使ってみた
セイコーエプソンから発売される「M-Tracer for Golf」は、わずか15gの超小型のセンサーデバイスです。専用アタッチメントでゴルフクラブに取り付け、スマホとBluetooth接続すれば、自分のスイングを精密に測定できます。
スイングごとの助言もしてくれるという、このガジェット。実際にスイングしたら、何が分かるのか試してみました。
装着してボールを打つだけでスイングが丸裸に
M-Tracer for Golfでわかるのは、スイングスピード、スイングのリズム、フェース角など。さらにはスイングの軌道を立体的に把握することもできます。こんな小さなセンサーで、ここまで精密な計測ができるとは驚きですね。
使い方も簡単です。クラブに本体を取り付け、スマホとBluetoothで接続し、アプリを立ち上げたら測定ボタンを押すだけ。あとは、ボールを打てば自動的に計測してくれます。なお、スイングの正確な測定のためには、ボールを打ったインパクトのデータも必要となります。なので、素振りだけでは測定できません。
一度測定モードにしたら、連続してボールを打ち続けても、1回のスイングごとにデータは自動的に保存されます。そのため、スイングするたびに操作する必要はありません。
納得いくまでボールを打ったら、測定を終了させましょう。すると、ただちにスイングデータが解析されました。ヘッドスピードやフェース角、リズムなど12項目のデータが表示されます。自分のスイングの軌道をアプリ上で再生して、モーショングラフィックのように見ることも可能です。
自分がどんなスイングをしているのかは、一人ではわかりません。それをM-Tracerを使うことで、客観的かつ正確に知ることができるのです。
さらにスイングを測定・記録するだけでなく、それに基づいた診断とアドバイスを受けられるのがM-Tracer for Golfのスゴいところです。まるでレッスンを受けているかのように、スイングの欠点を指摘してくれて、さらに改善するための練習方法までを教えてくれます。
例えば、「スイング診断」ではスイングのタイプや傾向に加えて、Vゾーン、効率、スピード、インパクトの5つの観点からチャートを表示し、総合的な診断をしてくれます。そして、その中から点数が低いところを重点的に改善するために、レッスンプランを表示してくれるのです。
Vゾーンが弱点だと「ダウンスイングではタテにクラブを引き下ろそう」といった具体的なアドバイスをしてくれるので、今度はそれに従ってスイングを修正していきます。アドバイスを意識しながらスイングを繰り返し、しばらくしたらまたスイング診断でチェック。短時間の練習でしたが、確かに改善が見られました。
自分が思っているのと、データで客観的な診断とでは、やっぱり違いがあるもの。改めてスポーツの練習には適切なコーチが必要であり、M-Tracerはそれを代替してくれるものだと実感しました。
さらに、M-Tracer for Golfの使い道は、自分のデータを見るだけではありません。横峯さくらプロや古閑美保プロ、小林正則プロ、横尾要プロといったプロのスイングデータが収録されており、そのスイングを事細かに見ることができます。そうやってトッププロのスイングを見て楽しむだけでなく、自分と比較して憧れのプロとどこがどう違うのか、いろんな視点から参考にできます。
プロも利用するほど高い精度の秘密は?
開発元のセイコーエプソンによると、M-Trace for Golfを練習に活用しているプロゴルファーは多いのだとか。つまり、プロが利用しても納得がいくほど、M-Tracerの測定は精度が高いということでもあります。
その秘密は大きく2つあります。ひとつは搭載しているジャイロセンサーです。ジャイロセンサーはスマホやゲームのコントローラーなどにも搭載されており、私たちにとっても身近な存在になってきました。
実はM-Tracerに搭載されているジャイロセンサーは、もともと産業用に使われていたもの。スマホなど一般向けの製品で使われているものと比べて、桁違いに精度が高いのだそうです。このジャイロセンサーと同じレベルのものは、他ではデジタル一眼レフの手ぶれ補正にも使われているのだとか。精度が高いのも納得です。
もうひとつの秘密が、測定したスイングを正しく解析し、再現するための分析モデルです。セイコーエプソンでは、そのモデルを作るためにスポーツ科学を専門とする大学の研究室などと共同研究を行い、数年を掛けて開発を進めました。スマホアプリの中では研究を元にした、高度な計算が行われています。
小さい本体のなかに、非常に高い技術が詰め込まれたM-Tracer for Golf。なかなか時間が取れない中で効率的にゴルフを練習したい人、もっとレベルアップするためにスイングを徹底的に改善したい人など、幅広いゴルファーに勧められるデジタルガジェットです。ゴルフをしているなら一度、試してみる価値ありますよ。
<Text & Photo:青山祐輔>