通気性に優れた”蒸れない”ランニングキャップ「Airpeak(エアピーク)」は、どのようにして生まれたか (1/2)
春が訪れ、少しずつ気温が上がってきました。マラソンランナーの中には、すでに今シーズンのレースを走り終えたという方も多いでしょう。そして来シーズンに向け、新たな目標を定めてトレーニングに取り組むことと思います。
これから夏にかけて特に気をつけたいのが、やはり暑さと紫外線への対策。夏本番となれば、レースや練習中に熱中症で倒れてしまうケースも多く見られます。その対策として、キャップを利用する方は多いはず。しかしキャップは頭部が蒸れるなどの理由から、苦手という方がいるかもしれません。そんな方は、「Airpeak(エアピーク)」を検討してみてはいかがでしょうか。
従来とは異なる形状で、高い通気性を実現させた「Airpeak」。その特徴や発想の原点などについて、開発元であるビルマテル株式会社で製品プロモーションなどを担当する佐藤祐亮さんにお話を伺いました。
※2018年4月に掲載された記事を再掲載しました。情報は当時のものです。
ヘルメットから生まれた高機能ランニングキャップ
ビルマテル株式会社の主力事業は屋上緑化。そんな企業が、なぜランニングキャップを開発するに至ったのか。まずは、そのヒストリーについて、佐藤さんは次のように紹介してくれました。
「屋上緑化事業に取り組む中、現場スタッフが熱中症で倒れるという事態が起こりました。そのとき、ヘルメットは熱がこもって蒸してしまい、炎天下では危険だということに気づいたんです。では、安全に作業するためにどうすればいいのか。その結論として、2層構造で空気が抜ける通気性に優れたヘルメットを開発しました。こちらのヘルメットは、現在200万個近く売れています。その反響などを受け、なにか別のことにも応用できるのではと考え、たどり着いたのがランニングキャップ『Airpeak』です」
ヘルメットには通気口があり、2つの層の間、そして頭部へと風が抜ける構造となっています。2層それぞれの穴はズラして配置され、雨などが入り込むことはありません。この通気性がランニングキャップで実現できれば、多くのランナーが快適かつ安全に走れるのではないか。その着想から、「Airpeak」の開発が始まったそうです。
「とはいえ、簡単にはいきませんでした。着想から完成までは約5年、10回以上の試作を繰り返しており、現在も改良を重ねています。たとえばツバ部分にも前から受けた風を通す穴があるのですが、当初プラスチックを使おうと考えました。しかしプラスチックは平らにして縫うことができず、縫製の問題が出てしまったんです。また、通気性はただ穴を設ければ高まるというわけではなく、適切な配置を検討するのにも苦労しましたね」
試作品を作っては検証し、現在の完成形に至った「Airpeak」。機能性の高いランニングキャップとして、ランニングやトライアスロンなどエンデュランス系スポーツを中心にユーザーが増えているようです。
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