初めてのインスタライブ&ハードルマニアック話│寺田明日香の「ママ、ときどきアスリート〜for2020〜」#41
みなさん、こんにちは! 陸上競技の寺田明日香と申します。
全国で緊急事態宣言が解除され、活動できる範囲が少しずつ広がってきています。と言いつつも、まだまだ予断ならぬ状況は続いています。解放感を得て過ごしたいところではありますが、もうしばらくの間は気を抜かず過ごしていかなければいけませんね。
さて、今回は先日高野大樹コーチと行った人生初となるインスタライブの模様と、中高生のみなさんからいただいたご質問について書いていきたいと思います。少しマニアックな話も出てくるかもしれませんが、最後までお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。
人生初のインスタライブに手応えあり!
現在、芸能人やアスリートが、自分たちだけで動画配信を行うことが多くなっています。私は、アスリートの配信を拝見することはあっても、自ら配信はしていませんでした。
しかし、ふだんの生活すらままならず、満足に練習ができる環境とは程遠い日々を過ごす中、「陸上競技への知識を深められないか。中高生のみなさんにモチベーションを保つための情報を提供できないか」という観点から情報発信してみようと、高野コーチと意気投合し4月からインスタライブを始めてみることにしました。
高野コーチとは、私が陸上競技に復帰した2018年末に出会い、これまでの約1年半一緒に取り組んできました。以前、「チームあすか」の対談で話していたように、コミュニケーションを大切にしてくれていて、練習中ほとんど話をするだけで終わった日もあるほどです(笑)。高野コーチとの話を「チームあすか」スタッフ以外の方々に公開する機会はなかったので、私たちにとっても新しい経験でした。
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4月28日の記念すべき(?)第1回を皮切りに現在まで3回の配信をしましたが、多くの方々にご参加いただきました。リアルタイムで質問やコメントをいただけるので、自粛が続いている中でも参加者の方々と時間を共有できることを実感し、私自身とても元気をもらうことができました。
追いつかなかった質問ここで回答します!
初めてとなった1回目では、トピックスを話しているときにリアルタイムでいただいた質問を拾いきれず、流れてしまったものも多くありました。そこで、2回目の配信は「質問に答える回」とし、できるだけ多くの質問に答えられるようにしました。せっかくなので、ここでも質問いただいた内容をいくつかピックアップして、お答えしてみようと思います(ここから少し専門的です)。
【質問】走るときに、「地面を押す」という感覚が難しいです。どのような感じですか?
【回答】「地面を押す」という言葉は陸上競技ではよく使われる言葉ですが、つまるところ「地面に強い力を伝える」ことを指します。速く走るためには、地面に強い力を加えて反力をもらうことが大切なので、いかに速く強い力を地面に加え、効率よく反力をもらって前への推進力に変えられるかが重要なのです。
ただ、あまりにも「地面を押す」にこだわり過ぎると、接地時間(足が地面に付いている時間)が長くなってしまう恐れがあり、接地時間が長くなりすぎると脚の軌道がからだの後方に流れてしまうので、効率の良い走りにはならなくなってしまいます。グイーっと地面を押す、というよりは、バンッ! と押す、もしくは踏むという意識で練習をすると、感覚が掴めてくるかもしれません。
【質問】体幹部と肩甲骨の動きは関係性があるような気がしますが、そう感じるときはありますか?
【回答】走ることにおいては、身ひとつで行う以上、からだのさまざまな部分が連動して動かなければなりません。たとえば、力みが出て肩が上がると顎も上がりやすくなります。そうなると、体幹部の力の入りは悪くなります。体幹部にはしっかり腹圧をかけて、上半身はリラックスさせることで、肩甲骨や胸郭の動きが出やすくなり、股関節も動かしやすくなるので、からだの連動には意識を高く持って練習をすることが大切だと思っています。私自身も、からだを動かすタイミングや、連動にはかなり注意をして日々の練習を行っています。
【質問】ケガ明けはどのように復帰しましたか?
【回答】ケガをすると、誰しも落ち込みます。私も大きなケガをしたときは、やはりショックです。しかし、ケガをしたときこそ、自分の強みと弱みがはっきり見えたりもします。走れる状態の時は目を向けられなかった自分の弱い部分と向き合い、細い部分までトレーニングすることで、復帰がスムーズになります。ケガ前よりも強くなって復帰できることすらあるのです。ぜひ苦手な補強や弱い部分のトレーニングに取り組んでみてください。
とまぁ、お互いの娘たちも参加しつつ、このような感じでマジメなことも多くお話していますが、基本は「チームあすか」のコンセプト通り、「ゆる~く」お話させて頂きました。
今後も(需要があれば)折を見てインスタライブ、やってみたいと思います。そのときには、ぜひ多くの方々のご参加、お待ちしています!
[プロフィール]
寺田明日香(てらだ・あすか)
1990年1月14日生まれ。北海道札幌市出身。血液型はO型。ディズニーとカリカリ梅が好き。会いたい人は、大谷翔平と星野源。小学校4年生から陸上競技を始め、小学校5・6年時ともに全国小学生陸上100mで2位。高校1年から本格的にハードルを始め、2005~2007年にはインターハイ女子100mハードルで史上初の3連覇。3年時には100m、4×100mリレーと合わせて同じく史上初となる3冠を達成。2008年、社会人1年目で初出場の日本選手権女子100mハードルで優勝。以降3連覇を果たす。2009年世界陸上ベルリン大会出場、アジア選手権では銀メダルを獲得。同年記録した13秒05は同年の世界ジュニアランク1位だった。2010年にはアジア大会で5位に入賞するが、相次ぐケガ・病気で2013年に現役を引退。翌年から早稲田大学人間科学部に入学。その後、結婚・出産を経て女性アスリートの先駆者となるべく、「ママアスリート」として、2016年夏に「7人制ラグビー」に競技転向する形で現役復帰した。同年12月の日本ラグビー協会によるトライアウトに合格。2017年1月からは日本代表練習生として活動した。2018年12月にラグビー選手としての引退と陸上競技への復帰を表明。2019年シーズンから競技会に出場し、6月に日本選手権女子100mハードルで9年ぶりの表彰台となる3位に入り、7月には100mでも自己記録を更新。8月には19年前に金沢イボンヌ氏が記録していた日本記録13秒00に並ぶと、9月1日に「富士北麓ワールドトライアル2019」で史上初めて13秒の壁を突破し、12秒97の日本新記録を樹立。カタール・ドーハで開催された「世界陸上」に出場。再び陸上競技選手として、2020年東京オリンピックを目指す。
◎所属企業:株式会社パソナグループ
◎主な記録:100mハードル日本記録保持者(12秒97)/100mハードルU20日本記録保持者(13秒05=2009年世界ジュニアランキング1位)/100mハードル日本高校歴代2位(13秒39)/100m:11秒63
【関連URL】
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<Text & Photo:寺田明日香/Edit:松田政紀(アート・サプライ)>