2018年4月25日

ヨギーニになりたい!│連載「甘糟りり子のカサノバ日記」#11

 アラフォーでランニングを始めてフルマラソン完走の経験を持ち、ゴルフ、テニス、ヨガ、筋トレまで嗜む、大のスポーツ好きにして“雑食系”を自負する作家の甘糟りり子さんによる本連載。

 いまや、女性のみならず男性にも広がりを見せているヨガについて。以前はヨガに対して少し違和感のようなものを感じていたという甘糟さんですが、最近ではリフレッシュ手段としてうまく活用できているそう。その心境の変化とは?

まさか、私がヨガをするなんて!

 はじめて「ヨガ」のスタジオに行ったのは、ちょうど一年前。去年の4月でした。ランニングやゴルフの後、部分的に身体が引きつったり硬くなったりするので、何か「伸ばす」ことをしなくちゃなあと思っていたところ、郵便局でinamuracabin(イナムラキャビン)のフライヤーを見つけて、試しに足を運んでみたのです。

 思いの外、心地よく、それから時々セッションに通っています。最近は仕事用の部屋にヨガマットを置いて、原稿を書く前や合間にちょいちょい身体を伸ばしたり、深呼吸したり、セルフでもするように。ああ、もう何にも思いつかない! なんて煮詰まった時はゆっくり深く鼻呼吸をしながらポーズを取るのが、いい気分転換になっています。

 それにしても……。まさか、私がヨガをするなんて!

 正直にいえば、それまで苦手でした、ヨガ。

 今にして思えばすんごい偏見なのですが、今回は、なんでもかんでも飛びつくくせに、なぜ私がヨガを敬遠していたのかをおさらいしてみようと思います。

 まずは、ザ・女子のアイテムというイメージに気遅れしておりました。すらっと&キラキラした女の子がおしゃれなウエアで、にこやかに(汗もかかずに)、けれどストイックにたしなむもの。そんなふう思っていたのです。

 それから、汗をかかなさそう、というのもありました。私は、スポーツするならなりふりかまわず髪振り乱して汗をかきたいタイプ。待ったなしという状況に自分を追い込みたいのです。じっとパソコンの前に座り、頭の中だけフル回転なものですから。ヨガだとこれまたじっとしていなくちゃならないから、自分には退屈かもと決めつけていました。

 そして、スピリチュアル過多という偏見もありました。以前、仕事でヨガの体験をしたことがあって、マットに座ると「今日のこの出会いに感謝して〜〜、魂の解放が〜〜」とかなんとか、新興宗教の勧誘かでき損ないのJ- POPみたいな口上から始まりました。言葉については職業的にどうしても敏感にならざるを得ず、大げさな(私にはそう感じてしまったので)口上が頭から離れず、なかなかヨガのポーズに集中ができませんでした。

 これらがまったくの誤解だったとは思いませんが、かなりの偏見でしたね。

 私が通うinamuracabin(イナムラキャビン)には、イメージ通りのキラキラ女子から近所のおばさま&おじさまもいるし、いろんな方が楽しんでいました。ちなみに、またもやランパン問題ですが、タイツの後にランパンを履いている人はやっぱり少ないですねえ。私を含めて、2〜3人しか見たことない。男性インストラクターはタイツなしの短パンのみです。って、私は、ランパン刑事か!

 そして、汗かかないってことはありませんでした。立位のきついポーズなんかだとけっこう汗が出ます。じっとしているとあちこちがぷるぷるしてきたりで、これを軽くこなすために、もうちょっと筋トレならなくちゃ、なんて思ったりして。相変わらず、私は自分で自分に振り回されてるなあ(笑)。

 ここではスピリチュアルな長い口上はありませんが、実際にヨガスタジオに通ってみて感じたのは、ヨガはスピリチュアルなものも含めてのものなのだということ。なんの知識もなしに、他のスポーツを同列に考えていた私が間違っておりました。身体を一緒に心も伸ばすためのものなのでしょう。

 ここでもセッションの最後は瞑想の時間があるのですが、たいてい寝てしまう私。ちょうどいい感じになったところで、ベルが鳴るのもいつものこと。まだまだヨギーニにはなれそうもありません。

[プロフィール]
甘糟りり子(あまかす・りりこ)
神奈川県生まれ、鎌倉在住。作家。ファッション誌、女性誌、週刊誌などで執筆。アラフォーでランニングを始め、フルマラソンも完走するなど、大のスポーツ好きで、他にもゴルフ、テニス、ヨガなどを嗜む。『産む、産まない、産めない』『産まなくても、産めなくても』『エストロゲン』『逢えない夜を、数えてみても』のほか、ロンドンマラソンへのチャレンジを綴った『42歳の42.195km ―ロードトゥロンドン』(幻冬舎※のちに『マラソン・ウーマン』として文庫化)など、著書多数。『甘糟りり子の「鎌倉暮らしの鎌倉ごはん」』(ヒトサラマガジン)も連載中。

<Text & Photo:甘糟りり子>