2018年9月12日

ランガール☆ナイト最終回はボランティアで参加│連載「甘糟りり子のカサノバ日記」#15 (2/2)

責任や自覚が生まれるためには

 台風が去った直後の当日は晴天。真っ青な空が会場を見下ろしていました。私が受け持ったのはゴール後の給水。走り終わったランナーたちに冷やしたアクエリアスを渡す係です。

 スタッフTシャツはランガールのテーマカラー「ピンク」。普段はほとんどカラフルなものを身につけないので気後れしましたが、自分に足りないものを補えている気もしました。ウエアって本当に心に作用します。

 まずは、参加ランナー分のアクエリアスを冷やすことから始まりました。その数、1200本以上。水の中に氷を縦に入れ、アクエリアスも縦に入れていきます。暑い日だったのですが、氷水の中に手を突っ込んでいると手が痛くなったり、Tシャツが水浸しになったり、慣れないのでなかなか役に立てません。涙。

▲ゴール付近でアクエリアスを冷やしているところ

 それが終わると、いったんすることがなくなったので、桐子さんと川良さんと一緒に総勢1200名のスタートを見届けることができました。

 ああ、この光景も今年で最後なんだなあ、なんてメランコリックな気分に浸っていると、あっという間に5キロ部門のトップが会場に戻ってきます。まだスタートから20分ぐらいですよ。キロ4分!速い!

 そこから最後尾のランナーがゴールするまで、可能な限り多くのランナーに「お疲れ様でした」と声を掛け、アクエリアスを渡し続けました。いろんなランナーの姿を見られたのは、本当にいい経験です。

 息を切らしてすがるようにボトルを受け取る人もいれば、ありがとうございまぁす!と高らかに返事をする人もいます。ゴールをした直後、振り向いてコースに一礼するランナーが何人もいたことに驚きました。

 ウエアもさまざま。ランガールらしくカラフルでファッショナブルな女性が多いのですが、凝ったコスプレ・ランナーもけっこういて、色違いのアフロのヴィックで足並み揃えてゴールしたグループはとても楽しそうでした。これまでのランガール記念Tシャツで走られたランナーも多く、この大会がいかにみんなに馴染んでいたかがわかりました。

 年齢も幅広かったです。私と同じもしくはそれ以上の方もたくさん走っておりました。これまで口の悪い友人からは「りりちゃん、いい歳してランガールとかいって人前に出るの、やめた方がいいわよ」といわれてきたのですが、「ガール」ってもはや年齢を限定する言葉ではなくて、心の持ちようを表すものなんだなあと実感。私の見え方を心配してくれての友人の助言ですが、少しぐらいの痛々しさを振りまくのも自分の役目かもしれないなんて思います。いい歳して、というフレーズともっと仲良くなろうかと。

 大会本部では、「救護」と書かれたユニフォームを着た女の子たちとお話しすることもできました。彼女たちは国士舘大学のスポーツ学科の学生で、皆さん将来は消防士を目指しているそうです。かっこいい!

▲国士舘大学の学生さんたちと

 今回の経験でいろいろと考えさせられました。私はアクエリアスを配っただけなんですが、スタッフTシャツを着ていると、否応なしにさまざまなことを尋ねられます。その度に慌てて、実行委員の人を探し回る有様でした。いわば「なんちゃってボランティア」です。

 東京オリンピックでのボランティア募集には批判も出ていますよね。ボランティアといえど、責任は発生します。金銭は発生しなくてもね。相応の待遇がなくては、責任という自覚も生まれないんじゃないかなあと思った次第です。

[プロフィール]
甘糟りり子(あまかす・りりこ)
神奈川県生まれ、鎌倉在住。作家。ファッション誌、女性誌、週刊誌などで執筆。アラフォーでランニングを始め、フルマラソンも完走するなど、大のスポーツ好きで、他にもゴルフ、テニス、ヨガなどを嗜む。『産む、産まない、産めない』『産まなくても、産めなくても』『エストロゲン』『逢えない夜を、数えてみても』のほか、ロンドンマラソンへのチャレンジを綴った『42歳の42.195km ―ロードトゥロンドン』(幻冬舎※のちに『マラソン・ウーマン』として文庫化)など、著書多数。『甘糟りり子の「鎌倉暮らしの鎌倉ごはん」』(ヒトサラマガジン)も連載中。9月21日、河出書房新社より『鎌倉の家』が刊行予定。

<Text & Photo:甘糟りり子>

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