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税理士がトライアスロンにハマった理由

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 スポーツを始める理由はさまざまですが、誰かに誘われた、あるいは影響を受けたことがキッカケとなる場合は多いようです。例えば感銘を受けた本の著者が取り組んでいたり、憧れの芸能人がチャレンジしていたり。しかしそんな場合、こんな疑問を感じるかもしれません。

「そもそもこの人は、どうしてこのスポーツを始めた(続けている)のだろう?」

 今回は“ひとり税理士”として活躍され、多数の著書もお持ちの井ノ上陽一さんにお話を伺いました。井ノ上さんが取り組んでいるスポーツは、スイム・バイク・ランの3種目で競うトライアスロンです。

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自由度を生み出すワークスタイル

 “ひとり税理士”として、フリーランスなど“ひとりしごと”のサポートを専門に行っている井ノ上さん。公務員、個人事業主、IT企業とさまざまな環境で仕事を経験し、独立したという経歴を持っています。税理士といえば顧問契約下において、企業の経理財務等をサポートする仕事をイメージする方は多いでしょう。しかし井ノ上さんはその真逆、顧問業務を減らすことで、自分なりのワークスタイルを確立しています。

「独立当初は顧問業務が多く、最大で14件ほどありました。しかし現在、収入という点で見れば、顧問業務は全体の40%程度です。顧問という仕事は、価値を維持することが非常に難しいと思うんですよね。最初はやるべきことが多くても、やがて簡単な手続き業務程度になっていきます。それなのにお金をもらうのか……と。受け取るお金と提供している内容の不一致を感じました。とはいえ、時間関係なく頻繁に連絡を受けるのも、何か違うと感じたんです」

 現在は顧問契約を最低限に留めつつ、アドバイザーやセミナー講師、本の執筆などをメインに活動している井ノ上さん。従業員を抱えることなく、ITを駆使しながら仕事に取り組んでいるようです。

「そもそも、誰かに頼る仕事はほとんどありません。今はITが進んだので、誰でも一人で仕事できる環境が整っていますよね。それに、誰かを雇うと自分自身の自由度が減るでしょう。たとえば従業員に仕事を任せて、トライアスロンの大会に遠征なんて申し訳なくなりますし。もし誰かを育てるとしても、その人の独立まで応援し切れるのかと考えれば、やはり難しいと思うんです」

 私もフリーランスで仕事していますが、確かに行動の自由度という意味で、これほど動きやすい働き方はないと感じています。“ひとり税理士”という井ノ上さんのワークスタイルは、トライアスロンを楽しむうえでもマッチしているようです。

ネタになるから始めたトライアスロン

 そんな井ノ上さんがトライアスロンを始めたのは、2010年7月のこと。競技関連のイベントで影響を受け、「やろう!」と決めたそうです。

「すぐにバイクを購入し、大会にエントリーしました。ちょうど2009年12月で大口の顧問業務が解約していて、時間と気持ちに余裕のあった時期でした。3種目で競うこと、また、私は泳げなかったので人一倍に大変そうに感じたことが、むしろネタとしておもしろいと思ったんですよ」

 実は井ノ上さん、2007年7月から『EX-IT』というブログを毎日更新しています。常にさまざまな情報を発信していますが、ブログを読むと、トライアスロンもまた“ネタ”として頻繁に盛り込まれていました。ブログ経由で仕事が入ることもあるらしく、トライアスロンは仕事にもつながっているようです。しかし井ノ上さんのトライアスロン挑戦は、なかなか険しい道程だったと言います。

「2010年9月に『横須賀トライアスロン』というショートスプリントの大会に初めて出たのですが、あえなくスイムでリタイアしてしまいました。そもそも泳げなかったうえ、とにかく練習不足。でも自分に向いていないとか、やめようといった気持ちはありませんでした」

 再挑戦を誓い、改めて1年間トレーニングに取り組んだ井ノ上さん。翌年7月、『昭和記念公園トライアスロン』では同じくショートスプリントでのリベンジを果たし、2012年4月には『石垣島トライアスロン』でオリンピックディスタンスを完走。今年内に出場大会数が50となる見込みですが、2013年には『五島長崎国際トライアスロン』で、スイム3.8km・バイク180.2km・ラン42.2kmというロングレースまで完走しています。

トライアスロンが仕事に与えるさまざまな影響

 大会前には毎日トレーニングすることもあり、ストイックな一面も持つ井ノ上さん。競技を通じて、仕事にも良い影響が出ているそうです。

「ネタになる……というお話は先ほどもお伝えしましたが、まず体力がつきますよね。でもそれだけでなく、日々の生活にメリハリが生まれたり、集中力がついたりと、仕事にもプラスな面がたくさんあります。そして大きいのが、メンタル面への影響。トライアスロン以上に大変なことなんて、そうそうありません。特にドライな決断を下さなければいけないとき、この気持ちはとても役立っています」

 井ノ上さんにとって、トライアスロンのトレーニングは“鍛錬の習慣”。競技力だけでなく、自らの体力・精神力をも磨き上げていることが分かります。

「いつも4〜5時頃に起きて、午前中に仕事を終えています。私は夜のトレーニングが嫌いなので、そうして日中にトレーニングするようにしているんです。レースは年間5〜7本ほど出ていますが、お金についてもシビアに見るようになりましたね。それはお金の使い方だけでなく、仕事の受け方も。効率性を考えないと、時間もお金も思うようには生み出せませんから。過去の自分を振り返ってみると、本当に無駄が多かったなと感じます」

 こうしたトレーニングと仕事の両立は、働き方や生き方のモデルケースとして、お客さんに面白がってもらえることも多いそうです。まさにネタ……ですが、対企業の顧問契約ではなく、フリーランスなどのサポートに比重を置いている井ノ上さんだからこそ、周囲からの理解が得られやすいのかもしれません。

 そんな井ノ上さんは、2014年に自身でトライアスロンチーム『ポセイ丼』を立ち上げました。勉強仲間から出た「アイアンマンに出たい」という声がきっかけで、アドバイスしたり一緒に大会へ出場したりと、助け合える場になっているそうです。

やりたいことを先延ばしにしない

 最近では応援と観光を含めて、大会遠征に家族を連れて行くことも多いとのこと。遠征先でもできるだけ仕事を入れるなど効率的に動き、“稼いで帰る”よう心がけていると言います。最後に井ノ上さんから、トライアスロン、あるいはその他に何かチャレンジしたいと考えている方々に対して、メッセージをもらいました。

「トライアスロンは、お金がかかるイメージを持っている方が多いでしょう。でも初期で50万円あれば、あとはそんなに必要ありません。ゴルフなど他のスポーツと比べると、全体で見てそれほど高い金額じゃないと思いますよ。バイクなんかは、ローンでも購入できますからね。また、遠征は旅行や仕事と兼ねるなど、工夫次第で効率的な楽しみ方ができるはず。例えば高額なセミナーに出るより、私はトライアスロンへのチャレンジがよほど勉強になると思っています。メンタルや時間・お金の管理、そして状況判断力など。もちろん達成感は大きいのですが、何かをやり抜く経験そのものが、大人になるとあまりできない貴重な経験ではないでしょうか。そしてもう1つ。私はトライアスロンをきっかけに水泳を克服できたのですが、周囲に比べて“できない”という状況が、思いっきり私を叩きのめしてくれました。大人はついついできないことを敬遠しがちなので、これも非常に貴重な体験だったと感じています。トライアスロンに限らず、やりたいことがあればすぐにやること。『いつかやってみたい』ではいけません。気持ちが向いているうちに、何かしら行動してください。例えばトライアスロンならバイクを買ったり、大会を観に行ったり。競技している知り合いから、話を聞くだけだって良いんですよ。それをきっかけに、『やりたい』という気持ちが実現していくはずですから」

 自分の身体を優先しつつ、趣味として続けられるまでトライアスロンに取り組んでいきたいという井ノ上さん。これからは、どんどん出たことのない大会に出てみたいと、笑顔で目標を語ってくれました。トライアスロンとの出会い、そして競技開始後の変化。スポーツは、これまでの日常で得られないものを、誰にでも何かしら与えてくれるのかもしれません。

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[プロフィール]
井ノ上陽一(いのうえ・よういち)
1972年12月に大阪府豊中市で生まれ、育ちは宮崎県宮崎市。公務員や個人事業主、IT企業などを経て独立し、“ひとりしごと”をサポートする“ひとり税理士”として活躍中。2007年7月からブログ『EX-IT』を毎日更新し、根強いファンを持つ。『新版 ひとり社長の経理の基本』『フリーランスのための一生仕事に困らない本』『ひとり税理士の仕事術』など著書多数。株式会社タイムコンサルティング代表取締役、税理士
【HP】http://www.inouezeirishi.com/
【公式ブログ】https://www.ex-it-blog.com/

[筆者プロフィール]
三河賢文(みかわ・まさふみ)
“走る”フリーライターとして、スポーツ分野を中心とした取材・執筆・編集を実施。自身もマラソンやトライアスロン競技に取り組むほか、学生時代の競技経験を活かし、中学校の陸上部で技術指導も担う。またトレーニングサービス『WILD MOVE』を主宰し、子ども向けの運動教室、ランナー向けのパーソナルトレーニングなども行っている。3児の子持ち。ナレッジ・リンクス(株)代表
【HP】http://www.run-writer.com

<Text & Photo:三河賢文>

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