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児童健全育成推進財団×ナイキによる、新しい運動遊び「JUMP-JAM」って何?

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 子どもの運動不足が指摘される中、児童健全育成推進財団ではNIKE(ナイキ)をパートナーに迎え、新しい運動遊び「JUMP-JAM」(ジャンジャン)を今月より東京都内10カ所の児童館に導入すると発表しました。一体、どんな内容なのか、取材しました。

児童期の遊びが重要

 JUMP-JAMは、スポーツと遊びを融合させたもの。子どもたちの運動能力の向上はもとより、精神的な成長のサポートも目標にしています。プログラムを監修した、千葉工業大学 創造工学部体育教室の引原有輝准教授は、まず「私たち大人は、子どもたちにとっての『スポーツ』と『運動(=遊び)』を別モノと認識する必要がある」と述べました。そう話す背景には、スポーツには定められたルールと求められる技術があるために、すべての子どもが等しく身体を動かすことができないという現実があるからです。

▲千葉工業大学 創造工学部体育教室の引原有輝准教授

 一方で「誰もが活躍できるのが運動遊び。技術や動きの習得が目的ではなく、楽しいことが目的である」と違いを強調。そこでJUMP-JAMのプログラムをつくるにあたっては、スポーツが得意な子もそうでない子も、誰もが身体を動かしたくなる仕掛けを意識したと紹介しました。

 今回の取り組みを開始するにあたり、約30種類の遊びを記載したガイドブックが用意されています。子どもの体力、敏捷性、知力、コミュニケーション力、チームワークに応じて適切な遊びを選べる内容で、これを都内に600ある児童館に配布する方針。引原准教授が、ここまで子どもの遊びについて力を入れる狙いはどこにあるのでしょうか。次のように説明しています。

▲約30種類の遊びを記載したJUMP-JAMのガイドブックを用意。これを都内に600ある児童館に配布する

「人が生涯に渡ってアクティブライフを獲得するためには、児童期の過ごし方が重要だと考えている。海外では、思春期の頃に運動が習慣化した人は、成人した後もアクティブになるとの研究報告がある。しかし私が思うに、人によっては思春期の頃にはすでに、スポーツの好き嫌いがハッキリしている。そこで児童期に、遊びを通じた身体活動の豊富な経験と喜びを獲得することが重要と考えた」(引原准教授)

 同氏は、児童期に運動遊びを行うことは、以下のようなメリットもあると付け足します。

「身体機能の向上はもとより、ストレスの軽減にも繋がる。また生活面では、テレビやスマートフォンの前で過ごす時間が短縮化され、学校の欠席日数が減り、社会活動にも積極的になる。これが学業成績の向上にもひと役買っている」

 児童期にJUMP-JAMプログラムを体験したことで、大人になってもアクティブライフを獲得できている、そんなロールモデルを期待していると説明しました。

運動遊びが生涯の財産に

 児童健全育成推進財団とともに取り組みを進めるナイキからは、ナイキジャパングループ合同会社デバイス・プレジデント兼ゼネラルマネージャーのクリストフ・メルケル氏が登壇。「グローバルの調査でも、現代の子どもたちは運動不足であることが明らかになっている。運動不足は将来、癌、糖尿病、精神病、心臓病をも招いてしまう。逆に、運動をしている健康な子どもは自信を持つことができ、物事にも集中して取り組めるという結果が出ている」と説明します。

▲ナイキジャパングループ合同会社デバイス・プレジデント兼ゼネラルマネージャーのクリストフ・メルケル氏

 「スポーツや運動、遊びを通じて子どもたちの才能を開花させていきたい」とメルケル氏。ナイキでは世界各国のニーズに沿った形で、子どもたちが元気に身体を動かせるような取り組みを支援しているとのこと。「運動遊びが子どもの生涯にとって有益であるということを、東京のみならず世界中に広めていきたい」と抱負を口にしました。なお、ナイキがスポンサーを務めているアスリートの口からも、JUMP-JAMを紹介するよう働きかけていく考えを示しました。なお、スポーツを通じて社会的インパクトを与えるトレーニングを提供している、ナイキの国際パートナー団体Coaches Across ContinentsもJUMP-JAMへ協力しているとの話でした。

身体を動かす喜びをサポートしたい

 児童健全育成推進財団 理事長の鈴木一光氏は「全国の子どもたちが幸せになるためには、身体の健康と仲間をつくることが欠かせない。競技で優勝するためではない、病気にならないための体力づくりを目指している。そのためには、身体をバランス良く動かすこと。遊びを通して、子どもたちの身体に力をつけられれば。ナイキさんの賛同を得て、活動を広げていく」と説明。

 また児童健全育成推進財団 阿南健太郎氏は、子どもたちの体力の低下、運動量の減少が起こっている背景について「保護者、子どもたちにとっては学業が最優先であり、放課後は塾や習い事などの予定が詰まっている。東京という密集した都市環境において、身体を動かして遊べる機会も減っている。つまり、子どもから子どもらしさが奪われつつある。少子化の影響で兄弟も少なく、異年齢の子どもが集う機会も減った。子どもたちが群れて遊ぶ情景が、東京では見られなくなってきた。子どもの育ちを促進する遊びの環境を整えて、身体を動かす喜びをサポートしていきたい」と説明しました。

▲(左から)児童健全育成推進財団の阿南氏、ナイキジャパングループのクリストフ氏、児童健全育成推進財団の鈴木氏、渋谷区副区長の柳澤信司氏、千葉工業大学の引原氏

独自ルールを追加しても良い

 児童館は、子どもたちにとって徒歩、自転車で行ける地域の身近な環境。関係者は「子ども同士が刺激しあうことで、さらに効果を高めることができる」と期待を寄せています。なおJUMP-JAMの展開には児童館スタッフの存在がカギとなるため、これまで90名のスタッフを対象に、計25時間のトレーニングを行ってきたそうです。今月から都内の10の児童館で試験的に開始され、徐々に拡大予定。児童健全育成推進財団とナイキでは、東京全域に拡大することを目標にしており、これにより700名の子どもに提供できると想定しています。2018年5月までを試験期間に定めているとのこと。

 質疑応答では「狭い児童館でも実施できるのか」といった質問があがりました。これについて、児童健全育成推進財団の阿南氏は「さまざまなサイズを想定したプログラムを用意している。スペースが広くても狭くても、しっかり遊べる。また児童館によっては、独自のルールを追加して遊んでも良い。職員と一緒に遊びをつくっていくイメージで、そのあたりのコラボにも期待している」と説明しています。

アスリートがJUMP-JAMを体験!

 このあと、会場では実際にデモンストレーションが行われました。子どもたちと一緒にJUMP-JAMを体験したのは、なでしこジャパン日本女子サッカー代表の永里優季選手、北京オリンピックの400mリレーで銅メダルを獲得した元陸上選手の高平慎士さん。

 高平さんは子どもの頃を振り返り「運動を通じて、人と一緒に何かの目標に向かって努力することの素晴らしさを学んできた。みんなも身体を動かすことを通じて、色んな人とのつながりをつくって、友だち、仲間を増やして欲しい」とコメント。

 また、永里選手は「学校の休み時間や放課後には、友だちと協力してできる遊びをやっていた。そのことで人とコミュニケーションをとれるようになった。その経験から、大人になって新しい環境に行ったときにも、誰とでも協力して行動できるようになった」といったエピソードを話していました。

<Text & Photo:近藤謙太郎>

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