2017年8月18日

「毎日少しでも練習することを忘れないで」。前園真聖がスペシャルサッカー教室で小学生に伝えたこと

 「EPARKスポーツ」がお届けする、夏休みの特別企画。かけっこ、サッカー、相撲など、著名アスリートが特別コーチとして指導するスポーツ教室。元サッカー日本代表の前園真聖さんを講師に迎えたサッカー教室が、8月15日に千葉県・幕張の「ZOZOPARK HONDA FOOTBALL AREA」で開催されました。

 当日はあいにくの雨模様という厳しいコンディションでしたが、小学1年生から6年生まで約50名が参加。悪天候にも負けず、目一杯サッカーに取り組みました。

ウォーミングアップもボールを使って

 全員揃っての挨拶から始まったサッカースクール。「きちんと話を聞きながら、集中してトレーニングをしましょう!」という前園さんのひと言で、ウォーミングアップ開始。

 まずはグリットの中でフリードリブル。「歩かない」「外に出ないように」「ぶつからないようにどうすればいいか考えて」。ウォーミングアップとはえいえ、前園さんの声がけが止むことはありません。

「どこが広いのか、空いているスペースを意識するのは試合と一緒だよ」

 その後もストレッチ、コーディネーション、バランス、リズムなどを意識したアップメニューは続きます。特徴的なのは全てにボールを使用しているということ。ボールに触る時間を増やす、前園さんの工夫が見受けられました。

「常に試合をイメージして!」

 そしていよいよ本格的なトレーニングに移ります。今回のトレーニングは、

・パス&コントロール
・マーカードリブル
・リフティング
・1vs1〜5vs5

の4つのメニューをグループに分かれてサーキット形式で行なっていきます。

▲子どもたちの前で「パス&コントロール」の手本を披露する前園さん

▲低学年の子どもたちにも熱く指導する姿も印象的だった

 ここでも各グリットを巡回して熱心に指導する前園さん。低学年と高学年でかける声の内容も自然と違ってきます。低学年にはよくできたプレーを褒める。できない子には自らお手本を見せて、指導します。

「オッケー」「グッドー!」「ナイス!」

 テレビで見せる前園さんの爽やかな笑顔に、褒められた子どもたちの表情も自然と柔らかくなります。一方、高学年には少々厳しめの要求も。パス&コントロールでもボールを止める位置、止めた後に蹴るまでのスピード、正確性を求めていました。リフティングでは単に回数を稼ぐのではなく、足や身体のいろいろな部分を使ってのコントロールをするように声がけしています。

「常に試合をイメージして。ここでできなかったら試合ではできないから、しっかり集中して取り組もう!」

 前園さんの真剣な眼差しを受けて、子どもたちも要求に応えるべく、集中して各トレーニングに臨んでいました。

 トレーニングの仕上げは子どもたちも待ち焦がれた試合です。そこでも前園さんは「声を出しながら自分たちでポジションを決めよう!」と積極性を促します。時折、自身も子どもたちと一緒にプレーしながら、

「取られたら取り返そう!」
「声を出さないとパスも出てこないよ!」
「どこにいたらもらえるの?」

 と選手の自主性を促す声を出し続けていたのが印象的でした。

「毎日少しでも練習することを忘れないでほしい」

 90分に渡るスクールもあっという間に終了。最後に前園さんは「日本代表に招集されたときとかは、初めての人ともコミュニケーションを取らないといけない。自分がどういうプレーをしたいのか、相手がどういうプレーを求めているのか。それには積極的に発言しないといけない。今日はそういう意味で積極性が足りなかったかな」と少々厳しい言葉を語りかけつつも、「僕もみんなと同じような練習を少しずつ、ずーっと続けてきたことでうまくなれた。いやだなとか、疲れたなとか、練習をやりたくない日もあると思うけど、サッカーをやめることはいつでもできるから、サッカーが上手くなりたい、楽しいと思っていたら、毎日少しでも練習することを忘れないでほしい。今日のスクールで学んだことを自分のチームに持ち帰って、うまくなるように頑張ってほしい」と、子どもたちへの熱いエールでスクールを締めました。

 最後に参加者全員と記念撮影。トレーニング時の集中した表情から一転、前園さんにも優しい笑顔が戻り、子どもたちとのふれあいを楽しんでいました。

<Text:関口裕一+アート・サプライ/Photo:森カズシゲ>