仙台空港内にできた「ランナーズポート」&周辺のランニングスポットをレポート (1/2)
2011年3月11日に起きた東日本大震災。宮城県の沿岸部は、地震・津波により大きな被害を受けました。今もなお復興作業が行われる中、宮城県名取市にある仙台空港は2016年7月に国管理の空港として日本で初めて民営化。LCC誘致を果たすなど、宮城県あるいは東北地方の玄関口として発展を進めています。
その仙台空港内に2017年4月、ランナーサポート施設「ランナーズポート」がオープンしました。空港を拠点にランニングを楽しめる施設は、全国的に見ても非常に珍しいのではないでしょうか。今回、ランナーズポートの設備等を拝見したうえで、実際に空港周辺のおすすめコースを走ってきました。
国内線到着客出口からすぐ!ランナーズポートへのアクセス
国内外さまざまな都市へ就航するほか、現在もその路線が拡大している仙台空港。昨今は県内および東北各県へのバスも運行が始まるなど、その利便性はどんどん高まっています。
そんな仙台空港内にある「ランナーズポート」は、国内線到着客出口からすぐ。出口を出たら、右手を見てみましょう。すると、インフォーメーションが設けられています。
こちらのインフォーメーションが、「ランナーズポート」の受付も兼ねています。受付で「ランナーズポートを利用したい」と伝え、利用料金を支払い、利用方法などの案内を受けましょう。なお、利用料は税込800円。フェイスタオルレンタル(税込100円)とバスタオルレンタル(税込100円)も行っています。ただし、支払いは現金のみとなりますので注意してください。
インフォーメーションから、さらに右手側奥、空港の西側端にあるのが「ランナーズポート」の入口です。シックなデザインはまるでラウンジのようで、どことなく高級感があります。男女の入口から入り、着替えを済ませて走りに出かけましょう。
ランナーズポート内の設備
入口はロックされており、受付の際に日替わりの暗証番号を教えてもらいます。受付から常に監視できる環境ではないものの、そばには派出所もあり、セキュリティ性はまったく問題ありません。それでは、さっそく中に入ってみましょう。
室内は土足禁止。靴を脱いでから入ります。靴べらが用意されている点から、細かな心配りが感じられます。特にビジネスパーソンも多く利用する空港ですから、革靴など靴べら必須という方は多いはずです。
こちらは、まさに空港ならではの設備ではないでしょうか。国内外問わず、空港利用者は大きな荷物を持っていることが多いもの。ロッカーに入らない大型スーツケースは、別スペースに置いておくことができます。手すりが設けられていますので、ここにワイヤー錠(インフォメーションにて無料貸出)などで荷物を括り付けておくと安心です。
更衣室に設けられたロッカー。受付で渡された鍵にナンバーが記載されていますので、そのナンバーに合致する場所を利用します。着替えなどに便利なイスも設けられていました。
洗面台にドライヤーも完備。大きな鏡があるので、化粧直しやヘアセットもバッチリです。これなら空き時間にランニングで汗を流し、仕事の打ち合わせなどに向かうのも問題ないでしょう。
室内は全体的に白を基調としており、明るい雰囲気です。シャワー室は広さがあり、身体を洗っていて壁にぶつかることはなさそうです。シャワー室前にスペースがあり、カーテンで仕切れるので、着替えはこちらで済ませられます。周囲の目が気になるという方でも、安心して利用できることでしょう。
なお、こちらはランニングサポート施設ではありますが、一般の方がシャワーを浴びることも可能とのこと。ランナー以外でも、旅の疲れを癒やしてリフレッシュするのに良さそうです。
ランナーズポートを起点としたランニングコース
それでは、さっそく「ランナーズポート」を起点としたランニングコースをご紹介しましょう。今回は、仙台国際空港株式会社で取締役営業推進部長を務める岡﨑克彦さんに、走りながら1周約8.5kmのコースをご案内いただきました。
まず前半は、もともと住宅などが多く建っていたというエリア。しかし現在は震災・津波の被害を受け、ほとんどが更地となっています。整備された車道・歩道が、以前は多くの人々が生活していたことを物語っているかのようです。
曲がった電灯やガードレールが、そのまま残っている場所もありました。その光景を見るだけで、震災・津波の恐ろしさを感じ取れます。それと同時に、まだまだ復興はこれからなのだということが分かるでしょう。
印象的だったのが、滑走路下を通るトンネル。震災が起きた際、ここにはたくさんの車が渋滞によって詰まっていました。そして津波により水没。岡﨑さんは、以前、タクシードライバーから、このトンネルについて「もう二度とあのトンネルは通りたくない」と言われたことがあるそうです。もちろん現在は再び多くの車が行き来していますが、当時のことを考えるだけで胸が締め付けられるような思いになります。
トンネルを抜けると、今度は工場などが多く立ち並ぶエリアとなります。前半とは異なる雰囲気。しかし人の気配はほとんどありません。この地域に再び活気を取り戻すことこそ、ランナーズポートの持つ大きな目的の1つなのです。
そして仙台空港へ戻ってきました。8.5kmという距離は1時間前後で走り切れますが、宮城県沿岸部の今を目の当たりにし、考えながら走っていると、とても濃い時間のように思えました。コース上はまだ道が細い、あるいは整備し切れていない部分がありますが、だからこそ、多くの方々に走ってもらいたい場所です。
施設充実!生まれ変わった仙台空港
仙台空港は震災後1ヶ月という早さで臨時便を運行。さらに2011年7月には国内線、9月には国際線で定期便の運航が再開されました。2012年7月には全ての路線で運航が再開されていますが、民営化を機に空港内設備なども新しく生まれ変わろうとしています。