南国の楽園・沖縄を走る!「沖縄100Kウルトラマラソン」レース出走レポ(前編)
年末を控え、2017年のラストレースを終えた方は多いでしょう。仲間とリレーマラソンを走ったり、勝負レースで記録を狙ったり。中には「せっかくなら旅行を兼ねて大会に出たい」なんていう方がいるかもしれません。そんな方は、国内でありながら南国気分を味わえる、沖縄を訪れてみてはいかがでしょうか。
12月17日、沖縄県の与那原町を舞台に「第2回 沖縄100Kウルトラマラソン」が開催されました。冬でも過ごしやすい気候を誇る沖縄。レースの模様について、2回に分けてお届けします。まずは選手の走った100kmに及ぶコースを中心に、詳しくご紹介しましょう。
ライトを片手に真っ暗闇からスタート
スタートは朝5時。まだ周囲は暗闇に包まれています。大会当日は気温が低く、強風のため非常に寒く感じました。ランナーを見てみても、ほとんどの方は長袖を着ています。「沖縄は温かい」というイメージでしたが、やはり寒さはあるようです。もちろん他地域に比べれば温かいのですが、今回は風の影響から体感温度が低く、寒さに苦しめられた方がたくさんいらっしゃいました。
大会本部では、小型の手持ちLEDライトが配られていました。スタートから2時間ほどは暗闇、しかも周囲に街灯など一切ないエリアを通ります。ヘッドライトをご自身で用意している方もいましたが、これはうれしい対応です。なお、ずっとライトを持ち続ける必要はなく、26km地点の給水所で回収が行われています。
ふと何かの気配を感じてライトで照らすと、ずらりと船が並んでいるエリアがありました。夜の沖縄はとても静か。場所によって微かに海の波音が聞こえますが、ライトなしでは怖かったはずです。段差での転倒、電柱や看板、他ランナーとの接触などを防ぐためにも、ライトは必須と言えるでしょう。
辺りが明るくなったのは20kmほど走った頃。手元のライトを消して走ります。約500名の参加者数ですが、序盤からランナーの姿はまばら。明るくなって前方を走るランナーが見えると、なんとなく安心感がありました。
交通規制なし!歩道を中心に走る
本大会では交通規制が行われていません。基本的に歩道を、キープレフトで走ります。タイミングによっては信号で止まらなければいけないこともあり、注意が必要です。
場所によっては歩道がとても狭いことも。また、歩道がなく路側帯を走らざるを得ないというケースも少なくありません。あくまで交通ルールに則り、安全第一で皆さん走っています。細い歩道は斜めに傾いていたり、細かくアップダウンしていたりすることが多いので、そういう際には車道に降りて路側帯を走る方もチラホラ見られました。
なお、コース上には所々にスタッフの方が案内で立っていますが、曲がり角など全てを網羅できているわけではありません。そんなときは、事前に石灰で描かれた矢印、あるいはカラーコーンに貼られた矢印を見て進みます。しかしレース中、案内を見落としたのかコースを間違ってしまった方もいたようです。
何度も訪れるアップダウンの数々
沖縄へ観光に訪れると、多くの方は移動に車を使うことでしょう。そのため、あまり地形には関心が向かないかもしれません。実際に走ってみると、沖縄はアップダウンが多いことに気付きます。コース上では何度もアップダウンが訪れ、「また登るのか」と苦しめられました。
特に後半になると、登り坂では歩いてしまうランナーもたくさん。コース上のアップダウンは頻繁なだけでなく、なかなかの急勾配です。走れないほどではないけれど、疲れた身体で走りきるのはキツい。私自身、レース中に何度「歩いてしまいたい」と思ったか数え切れません。とても走りごたえのあるコースと言えるでしょう。
もちろん登れば下るのですが、この下りもジワジワと足に疲労を蓄積させていきます。レース後半では、むしろ下りが辛いと話すランナーがたくさんいました。そして下りを走り続けると、平地ですら感覚として登っているかのような足の重さを感じるもの。なかなか一筋縄ではいかないコースでした。
そんな辛いときにオススメなのが、看板やバス停などに書いてある漢字探し。沖縄では独自の読み方をする地名などが多く、「これは何て読むんだろう?」と考えながら走りました。これが、なかなか気が紛れて良いリフレッシュになります。
あるいは、シーサー探しなんていかがでしょうか。屋根の上や壁の上など、コース上には至るところにシーサーの姿が。しかもそれぞれ大きさや色、表情などすべて異なり、見ていて飽きません。「沖縄100K」で辛くなったら、ぜひ漢字探しやシーサー探しを試してみてください。
思い出に残る『やちむん』の完走メダル
100kmとう長い道のりを走りきると、レース中のいろんな思い出が頭に浮かびます。初めて100kmに挑戦したという方も多く、喜びや感動はひとしおだったことでしょう。そしてゴール後は完走証と共に、オリジナルの完走メダルを首にかけてもらえました。
完走証にはラップタイムも印刷されており、じっくりレースを振り返ることができます。そして完走メダルは、沖縄ならではと言える『やちむん』(=焼き物)のメダル。ちょっと大きめで肌触りがよく、なんとなく特別感があります。デザインも細かくこだわっていて、とても良い思い出になりそうです。
ちなみに10kmごとに距離表示、20kmごとと中間地点にはICチップによる計測が設けられています。計測データからランナーの状況がネットで確認できるため、応援に同行される方も安心です。
意外にも多いアップダウンに加え、朝から吹き荒れた強風に思いのほか苦しめられました。しかし走り終えてみれば、それもまた楽しい思い出に変わります。そしてレース中は、コースだけでなく景色や給水所での食べ物もランナーを楽しませてくれました。次回はそんなコース上の景色、そして食べ物などにスポットを当ててご紹介します。
[筆者プロフィール]
三河賢文(みかわ・まさふみ)
“走る”フリーライターとして、スポーツ分野を中心とした取材・執筆・編集を実施。自身もマラソンやトライアスロン競技に取り組むほか、学生時代の競技経験を活かし、中学校の陸上部で技術指導も担う。またトレーニングサービス『WILD MOVE』を主宰し、子ども向けの運動教室、ランナー向けのパーソナルトレーニングなども行っている。3児の子持ち。ナレッジ・リンクス(株)代表。
【HP】http://www.run-writer.com
<Text & Photo:三河賢文>