2018年1月9日

国内の旅ランおすすめスポット!東京都の秘境「青ヶ島」を巡る│島ランへGO #4

 都会のイメージが強い東京都ですが、実は自然豊かな島がたくさんあります。今回ご紹介するのは、まさに秘境と呼ぶに相応しい「青ヶ島」です。

 島内にある青ヶ島村は、日本でもっとも人口の少ない村なのだとか。しかしだからこそ、島内には手付かずの自然が溢れ、多くの方々にとって日常とはかけ離れた体験が待っています。果たしてどんな島なのか、実際に走ってきましたのでご紹介しましょう。

アップダウンに富んだ道路で島の内側へ

 青ヶ島には、八丈島からフェリーもしくはヘリコプターで行くことができます。ただし、ヘリコプターは定員が少ないため、必ず予約するようにしましょう。基本的には島民の移動に用いられており、すぐ満席となってしまいます。

 また、霧が出るとヘリコプターは離着陸できず、雨が降って波が高いとフェリーが運行しません。この両方が実は頻繁に起きるため、スケジュールは余裕を持っておくと安心です。ちなみに私は帰宅予定日にヘリコプターおよびフェリー両方が運休となり、延泊を余儀なくされました。

 青ヶ島は二重式火山によって構成されています。ヘリコプターで降り立ったのは“外輪山”と呼ばれる島の外側。島の内側には“内輪山”があり、島ランするならそちらを目指すと良いでしょう。内輪山へは、『青ヶ島本道』を通って行くことができます。

 島内に平坦な道はほとんどなし。基本的にアップダウンを繰り返していきます。しかも傾斜の急な場所が多いため、無理せず走りましょう。ヘリポートから内輪山の中心部までは4〜5km。距離は短いですが、思いのほか時間がかかってしまうかもしれません。

 ただし道路は整備されており、走るのには困りません。島民にとっても重要な道であり、内輪山や港などへ移動する車も通ります。歩道が設けられていない場所が多いので、端に寄って走るようにしてください。

 島内は集落以外、基本的に建物などがありません。思いっきり自然を満喫しながら走れます。ただし補給など必要なものは、少し多めにご用意を。集落を出ると、同様にお店や自動販売機なども見当たらないでしょう(内輪山の『ふれあいサウナ』には、1台だけ飲み物の自動販売機があります)。

 ふと足を止めて周囲を見回すと、まるで別世界を訪れたかのような光景が広がります。草花は大きく育ち、頭上には広々とした青空が。『青ヶ島本道』は主要道ですが、気になる道を見つけたら、ちょっと入ってみるのも良いでしょう。例えば内輪山の上を周回できる場所があったり、切り立った岩場から煙の出ている噴気孔郡があったり。道に迷わないよう注意しつつ、走りながら探検してみてください。

走って訪れたいスポット

 青ヶ島は、ただ走り回っているだけで特別な体験を与えてくれます。きっと、時間を忘れてその雰囲気に圧倒されることでしょう。しかしせっかくなら、素晴らしい景色が見られる場所、あるいは珍しい青ヶ島ならではのスポットに足を運んで見るのもオススメ。ここでは、3つの場所をご紹介しておきます。

<三宝港>

 フェリーで訪れた際に、船の停まる港。本当はもう1つ大千代港がありますが、港へ通じる道が崩落で使用できなくなっているため、現時点では三宝港だけが利用されています。青々とした海はもちろんですが、海抜0地点から見上げる島の姿も素晴らしいでしょう。

 ただし、港に通じる道は狭く、特にトンネルなど車両の多く行き交うところがありますので、くれぐれもご注意ください。

<地熱釜>

 内輪山の中央部には、誰でも自由に利用できる地熱釜があります。こちらはその名の通り、地熱を用いた料理用の釜。フタを開けると中に金網があるので、こちらに食材を入れて蒸します。なお、宿泊先へ事前に「地熱釜を見に行く」と伝えておけば、昼食をお弁当にしてくれるでしょう。卵やソーセージなど、地熱釜での調理に適した食材を持たせてくれるはずです。

 地熱釜のすぐ近くには『ふれあいサウナ』があります。同様に地熱を用いたサウナですが、それ故に施設内はものすごい暑さです。蛇口を捻ると水ではなく熱湯。初めて訪れた方は、おそらくカラスの行水となるでしょう。

<大凸部>

 青ヶ島を訪れたのであれば、見逃せないのがこの眺め。島内にはいくつか展望台がありますが、一番のオススメは大凸部です。ここからは内輪山を見下ろすことができ、青ヶ島の誇る珍しい二重式火山の形状が分かるでしょう。そして周囲は、どこまで続くとも分からない海が囲んでいます。展望台までの道のりは急坂ですが、行く価値はあるはず。なお、晴れた日は夜に訪れると、頭上に無数の星が広がる素晴らしいロケーションとなります。

 東京にある秘境・青ヶ島。急坂が多いものの短い距離で見て回れるため、島RUNにはピッタリではないでしょうか。交通手段など少し難易度は高いものの、きっと一度足を踏み入れれば、「来て良かった」と心から思えるはず。ちなみに青ヶ島には、“青酎”という珍しいお酒もあります。お酒好きな方は、走った後の一杯にぜひ試してみてください。

・特集:島ランへGO

[筆者プロフィール]
三河 賢文(みかわ・まさふみ)
“走る”フリーライターとして、スポーツ分野を中心とした取材・執筆・編集を実施。自身もマラソンやトライアスロン競技に取り組むほか、学生時代の競技経験を活かし、中学校の陸上部で技術指導も担う。またトレーニングサービス『WILD MOVE』を主宰し、子ども向けの運動教室、ランナー向けのパーソナルトレーニングなども行っている。3児の子持ち。ナレッジ・リンクス(株)代表。
【HP】http://www.run-writer.com

<Text&Photo:三河賢文>