2018年5月9日

グルテンフリー生活│連載「甘糟りり子のカサノバ日記」#12

 アラフォーでランニングを始めてフルマラソン完走の経験を持ち、ゴルフ、テニス、ヨガ、筋トレまで嗜む、大のスポーツ好きにして“雑食系”を自負する作家の甘糟りり子さんによる本連載。

 数年前からその言葉をよく耳にすることになった「グルテンフリー」。著名なアスリートらが提唱したことでも知られていますが、甘糟さんも実践者の1人だそう。どのような健康法・ダイエット法なのでしょう?

“おいしい”が肝心

 私のグルテンフリー生活は5ヶ月間、続きました。

 グルテンとは、小麦や大麦、ライ麦などから摂取されるタンパク質のこと。これを摂らない食生活が、最近よく耳にする「グルテンフリー」です。グルテンは消化にエネルギーを要し、摂取すると血糖値が急上昇する傾向にあるそう。またグルテンには中毒性があり、食べるとさらに食べたくなってしまうともいわれています。

 テニスのノバク・ジョコビッチがこの食事法を取り入れ、世界ランキングのナンバーワンを獲得したことで広まりましたよね。私もジョコビッチがきっかけでした。

 しかし、いざ、やろうとすると、世の中に小麦粉が溢れていることを思い知ります。パンやパスタ、うどんを食べられなくなるのは覚悟しておりましたが、ちょっとしたソースや挙句にはお醤油にまで小麦は入っているとは。市販のカレールーもたいてい小麦粉イン。唐揚げは片栗粉で揚げれば OKです。なるほど〜の連続。こういうのってきらいじゃない。縛りがあることをおもしろがるタイプです。

 仕事はほとんど在宅なので自炊でまかなえることも大きかったのですが、だんだんいかに小麦粉を摂らずに暮らせるかを自分で実験をしてみようというスーパーサイズミー的な気分になりました。米粉の麺やパンなどを扱っているお店を探しては、ネットで買ったり足を運んだり。グルテンフリーのお醤油を見つけた時は、たくさん買い込みました。

 そんな中で出会ったのが鎌倉の材木座にある「AaH bit」。アービットと読みます。

 グルテンフリー&砂糖不使用のスウィーツのお店です。髪を切りに行ったビュートリアム七里ガ浜店で、美容師の川畑タケルさんに教えてもらいました。「おいしいから、行ってみて!」と。オーナー兼店主の女性も川畑さんのお客様でした。口コミは一番信用できるメディアかもしれません。

 黄色に青を効かせた外観が印象的なお店です。キャロットケーキやアボカドチョコレートケーキ、ブラウニーにレモンケーキなどの他、シュガーフリーのチョコレートやグラノーラ、ナッツバー、クッキーなんかもあります。もちろん全部グルテンフリー。1番人気のニューヨークチーズケーキは、時々、差し入れに使います。グルテンフリーうんぬん関係なく、おいしいんですよね。そう、これが肝心。結局、おいしいと感じられないものを我慢して食べても続かないから。ダイエットや食事療法って習慣にしないと意味ないです。

 アービットは小麦粉だけではなく砂糖も不使用。甘さは全てアップルハニーというりんごだけで作った糖液が使われています。食品ごとの食後血糖値の上昇率を数値化したものをGI値といいますが、りんごは低GI値の代表的な食品です。店頭でも売っているので、料理用にお菓子と一緒に買うこともあります。煮物や炒め物によく使いますよ。

 最初はスウィーツ屋さんとしてスタートしましたが、昨年秋からはカフェもオープン。なんと、グルテンフリーのビール「オミッション」まであるのですよ。ラガーとエールの2種類です。車で寄ることが多いのですが、近いうちに走って飲みに来ようかと思います。

 さて、冒頭で、グルテンフリー生活が5ヶ月続きました、と過去形で書きました。今は、前ほど神経質にならず、会食の時なんかはパスタも餃子も口にしています。半年近く、けっこう真面目にグルテンを排除していて感じたのは、胃もたれがなくなったこと。

 実験のつもりで久しぶりに小麦粉使用のクッキーを食べてみたら、胸のあたりが若干むかむかするではありませんか。ちゃんと、グルテンの違和感を身体で抱けるようになったので、ひとまずはゆるくして、様子を見ているところです。もちろん基本はグルテンフリー。自分のライフスタイルに合わせたレベルで続けようと思います。

《関連サイト》
・AaH bit(アービット)
https://aahbit-shop.com

[プロフィール]
甘糟りり子(あまかす・りりこ)
神奈川県生まれ、鎌倉在住。作家。ファッション誌、女性誌、週刊誌などで執筆。アラフォーでランニングを始め、フルマラソンも完走するなど、大のスポーツ好きで、他にもゴルフ、テニス、ヨガなどを嗜む。『産む、産まない、産めない』『産まなくても、産めなくても』『エストロゲン』『逢えない夜を、数えてみても』のほか、ロンドンマラソンへのチャレンジを綴った『42歳の42.195km ―ロードトゥロンドン』(幻冬舎※のちに『マラソン・ウーマン』として文庫化)など、著書多数。『甘糟りり子の「鎌倉暮らしの鎌倉ごはん」』(ヒトサラマガジン)も連載中。

<Text & Photo:甘糟りり子>