2021年1月27日

MCTオイル入りコーヒーにハマってます│連載「甘糟りり子のカサノバ日記」#59

 アラフォーでランニングを始めてフルマラソン完走の経験を持ち、ゴルフ、テニス、ヨガ、筋トレまで嗜む、大のスポーツ好きにして“雑食系”を自負する作家の甘糟りり子さんによる本連載。

 今回は、地元の稲村ヶ崎で出会ったというカフェを通じて、お気に入りになったMCT入りコーヒーについて。

コーヒーは私にとって生活の句読点

 最近、ジョギングや散歩の帰りにちょくちょく立ち寄るのが「サンライズシャック」。 稲村ヶ崎の海岸線沿いにあって、2階の窓からはたっぷりの空と海と、そして江ノ島が見渡せます。この景色を見るだけで、気持ちがほどけます。何かと息苦しいこの頃、心が折れてしまう前に、意識的に気分転換をするのがいいかと思います。

 スーパーフードとコーヒーを合わせたオリジナルドリンクがこのお店の売りです。私が好きなのはMCTオイル入りのモカコーヒー。MCTオイルのほか、ココナッツミルクやカカオ、グラスフェッドバターなんかが入っています。で、これがね、おいしいんですよ。ほんのり甘くて香ばしくてふわふわした触感で、けっこう長く生きているけれど初めての味わいかも。身体にいいからとかはさておき、味覚的にハマっちゃった。私の知っているコーヒーとはまた別のものです。

 普段、うちではコーヒーは豆を挽いて下手ながらもドリップで時間をかけていれております。甘みもミルクもなし。香りやほんの少しの苦味を楽しみます。いわばコーヒー道といったらいいでしょうか。サンライズシャックでの一杯は真逆な感じ。「突き詰める」コーヒーに対して「解放する」コーヒーなんです。私にとっては。

 サンライズシャックはハワイのノース・ショアで始まりました。サーファー兄弟が好んで飲んでいて、友達たちにも振る舞っていたそうです。とても好評で、その友達の1人が「これをどこかで売らないか?」といったのがきっかけ。起業したのは、サーファーとしてだけではなくライフスタイルが注目されているトラヴィス、コア、アレックスのスミス3兄弟と友人のロスマンです。インスタをのぞいてみましたが、確かに暮らし方が魅力的です。

 
 
 
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 さて、一般にいわれるMCTオイルとは、ココナッツオイルやパームフルーツからMCTオイルだけを抽出したものを指すそうです。日本語では「中鎖脂肪酸」で、分解されやすく、よって消化しやすく、通常のオイルの4倍速くエネルギーに変わるという特徴があります。身体にたまりにくわけです。

 数年前、ビジネスエリートがバター入りコーヒーで健康管理をしていると話題になって流行りましたよね。私もすぐに飛びついたのですが、正直あんまりおいしくなくて続きませんでした。健康関連のものって、いきなり効果が出るようなものはちょっと怖いし、やっぱり続けられることが大切だと思います。おいしいと感じるかどうかはかなりのポイント。

  稲村ヶ崎のカフェは、白い外観にイメージカラーである明るいイエローを効果的に使った空間です。カップルや家族連れはもちろん、1人で訪れている人も男女ともにけっこう多い。こういうご時世もあるとは思いますけれど、充実したセルフ時間を持てる場所なんですよね。パソコン持参の人、景色を眺めている人、ぼーっとしている人、いろんな人がいます。読書もいいんじゃないでしょうか。ときどき、換気のために窓が開けられるのですが、入ってくる潮風がまた心地良い。

 最近コーヒーのサブスプリクションが定着しているようですが、ここでも導入していて、月額7700円で一日一杯なら毎日でもここでコーヒーが楽しめるわけです。ついジョギングをサボりがちな自分に、これを与えてみるのもいいかもと考えています。

 粉末のパック「インスタミックス」も売っていて、まずはこれを利用しています。原稿を書き始める時、コーヒーと水のコップをサイドテーブルに置くのがルーティーンなのですが、最近はそのコーヒーをMCTオイルのものにすることも。オイルの効果ですぐにいい言葉が見つかるなんて虫のいいことはありませんが、自分で自分におまじないをかける気分で選びます。アマゾンでも買えるのでオススメです。差し入れにもいいですよね。

 本にも書いたのですが、コーヒーって私にとっては生活の句読点。だらだらだったり、慌ただしくだったり、流れていってしまう時間をきちんと区切ってくれるアイテムなんです。だからこそ、選択肢はたくさん欲しいし、こだわって選びたい。

[プロフィール]
甘糟りり子(あまかす・りりこ)
神奈川県生まれ、鎌倉在住。作家。ファッション誌、女性誌、週刊誌などで執筆。アラフォーでランニングを始め、フルマラソンも完走するなど、大のスポーツ好きで、他にもゴルフ、テニス、ヨガなどを嗜む。『産む、産まない、産めない』『産まなくても、産めなくても』『エストロゲン』『逢えない夜を、数えてみても』のほか、ロンドンマラソンへのチャレンジを綴った『42歳の42.195km ―ロードトゥロンドン』(幻冬舎※のちに『マラソン・ウーマン』として文庫化)など、著書多数。GQ JAPANで小説『空と海のあわいに』も連載中。近著に『鎌倉の家』(河出書房新社)、『産まなくても、産めなくても』文庫版(講談社)。

《新刊のお知らせ》

幼少期から鎌倉で育ち、今なお住み続ける甘糟りり子さんが、愛し、慈しみ、ともに過ごしてきたともいえる、鎌倉の珠玉の美味を語るエッセイ集『鎌倉だから、おいしい。』(集英社)が発売中。

<Text & Photo:甘糟りり子>