2020年10月21日

新型コロナウイルスがプロアスリートに与えた影響とは。Strava、スタンフォード大学が共同研究

 新型コロナウイルスの感染拡大は、プロアスリートに対しても大きな影響を与えているようです。

 アスリート向けのSNSを展開する「Strava(ストラバ)」とスタンフォード大学は、新型コロナウイルスがプロアスリートに与えた影響に関して共同研究を実施。結果を公表しています。

メンタルヘルスや財政面に著しい影響を与えた

 新型コロナウイルスの感染拡大にあたり、多くの国でロックダウンをはじめとした外出制限がかけられたのは記憶に新しいところ。今回の研究では、こうした制限下でアスリート(131人)が感じた変化についてまとめられています。

 これによれば、新型コロナウイルスによる制限前、アスリートの3.9%が1週間の半分以上、気分が落ち込んだり憂うつだと感じると答えたのに対し、制限期間中は22.5%と、その割合は5.8倍に増加。また、緊張や不安を感じた割合についても、新型コロナウイルスによる制限前はアスリートの4.7%が1週間の半分以上感じていたのに対して、制限期間中は27.9%と、5.9倍に増加しました。

 こうした気分の落ち込みや緊張、不安は財政面の影響も大きそうです。調査対象アスリートの71%が、新型コロナウイルスによる制限期間中、運動活動に対する財政的補償を受けることを心配していると回答しました。さらに、スポンサーからの報酬を得ているアスリートのうち、47%は契約額の減少があったと報告しています。

制限下でもアスリートは努力を継続

 ただ、アスリートも黙ってはいません。こうした制限下において、自身のさらなる強化に努めている選手も多いようで、アスリートの31%がトレーニングセッションの期間を増やしているほか、17%が調査の対象期間中にトレーニングセッションの強度を高めたと報告しています。

 ただし、飛沫感染が指摘されている新型コロナウイルスだけに、パートナーとのセッションは減っているようです。以前はアスリートの92%が1週間に1日以上、パートナーと一緒にトレーニングを行っていたのに対し、制限期間中は68.9%に減少しています。

 こうした状況を目の当たりにしたスタンフォード大学の臨床研究者疫学博士候補生メーガン・ロシュ博士は、「COVID-19が、特にメンタルヘルスに関してスポーツ界に影響を与えたことは明らかです。Stravaとのパートナーシップにより、私たちはプロのスポーツコミュニティが経験していることを、より包括的に理解をすることができました」とコメント。

 また、Strava CEOのマイケル・ホーヴァス氏は、「非常に困難な一年の中でも、アスリートコミュニティが “Strive” (努力)し続けていることは明らかです」とアスリートの意欲を称賛しています。

<Text:辻村>