夏帆『いだてん』インタビュー。いつかはモノになる、と美濃部孝蔵(古今亭志ん生)を信じ続けた妻おりん (3/3)
おりんから感じる“たくましさ”
――演じる上で、意識していること、重要に思っていることは。
どんなに暮らしがすさんでいても、孝蔵さん、家族への思いを大事にしたいなと思っています。私が登場するシーンは短くて、1話で2~3シーンなんですが、毎シーンが難しい。断片的で、かつ物語の中でフリになっていたりして。通常のドラマだと、徐々に関係性を築いていけるんですが、今回はワンシーンごとに時代も変わるので、現場で積み重ねられない。だからこそ丁寧にやらないと、と思っていて。
――第23回で、関東大震災のときに「わたしゃ身重なんだよ」と言ったセリフが迫力がありました。
あのシーンを撮影したのが、まだ現場に入って間もないころで、手探りの状態でした。森山さんとの掛け合いの中で、どんどん気持ちが昂ぶっていった印象があります。これは実際にあったエピソードなのですが、おりんさん、なんでこんなタイミングで打ち明けるんだろうと、可笑しくて。おりんさんの話の中でも好きなエピソードです。
――池波さんとたけしさんの雰囲気が良くて、孝蔵さんとおりんさんも良い。夫婦の共通点は。
孝蔵さんは本当に破天荒な人なので、共通点はないんじゃないですかね、根本的には。ただ夫婦なので、ともに生活をしていく中で、話し方だったり、空気感が似てくるのではないでしょうか。
――おりんさんの魅力は。
挙げていったらキリがないほど、すべてが魅力的ですけれど、これだけ誰かのために尽くせるのは、やはりすごいことだと思います。同じ女性として、憧れしかないです。
――これから戦争があり、激動の時代を駆け抜けていきます。見どころは。
戦争が始まる激動の時代の中で、おりんさんと孝蔵さんの夫婦仲がどんな風に変わっていくか。絆がどう深まって、どう変わっていくかは見どころだと思います。
<Text:近藤謙太郎/Photo:NHK提供>