2017年6月21日

首都圏在住なら日帰りOK。東京23区内発着のウルトラマラソン「柴又100K」を走ってきました

 各地で新しい大会が生まれているウルトラマラソン。その多くは早朝からスタートし、夕方から夜にかけて走ります。そのため、移動や前後の宿泊などがネックとなり、なかなか参加できないという方は多いでしょう。

 6月4日に第5回大会が開催された『柴又100K』は、東京都葛飾区を発着点とするウルトラマラソン。駅から徒歩圏内というアクセスの良さで、首都圏在住なら日帰りでも容易に参加できます。60km・100kmという2部門が設けられていますが、今回、私は100kmの部を走ってきました。コース上の写真などを交えながらその様子をご紹介しますので、レース選びの参考にご覧ください。

河川敷を茨城県まで走る往復コース

 柴又100Kは東京都葛飾区にある柴又公園をスタートし、江戸川河川敷を茨城県五霞町まで走ります。約50kmで折り返し、再び柴又へ戻ってくるコースです。

 河川敷という環境から、コースは全体的にほぼフラット。記録が狙いやすいほか、初挑戦という方でも走りやすいでしょう。ただし道幅の狭いところがいくつかあるため、特にスタート直後の混雑時は注意が必要です。

 コース上には日を遮るものがなく、太陽が容赦なく照りつけます。6月開催ということで気温が高い傾向にあり、暑さ対策は欠かせません。アスファルトの照り返しもあるため、実際の気温より体感として強い暑さを感じました。

 また、コース上には未舗装区間もあり、何度か砂利道を走ることになります。足場が不安定なため疲労が蓄積しやすく、ちょっと土埃も舞っていました。疲れた後半戦では、思わぬ難関と感じた方もいたのではないでしょうか。

 なお、コース上には1km毎に距離表示があるほか、定期的に計測チップでの記録が行われます。そのため、GPSウォッチなど持っていない方でも、距離・ペースの把握が容易でしょう。

 ただし注意したいのが「関門」の存在。100kmの部では19.5km・39.1km・50.4km・61.6km・80.4kmの5箇所に関門が設けられ、決められた時間内に通過しなければ、たとえ走り続けられる状態でも止められてしまいます。

 辺りが暗くなると、ゴール付近はたくさんの電気で照らされていました。河川敷のため街灯は少ないものの、コース上も同様に明かりが設けられています。ゴールタイムが12時間を超える場合には暗闇を走ることになりますが、安心して走ることができるでしょう。ゴール地点の明かりが目に飛び込んだ瞬間は、「戻ってきた!」という達成感がこみ上げてきました。

こまめに補給できるエイドステーション

 マラソン大会でチェックして起きたいのがエイドステーション。特に100kmという長丁場では、エネルギー切れを起こさないための補給、そして脱水や熱中症などを防ぐための給水が重要です。

 まず柴又100Kでは、約3km毎にエイドステーションが設けられています。水のみというものも多いのですが、水分補給という観点では非常に有り難く感じました。加えて、2回に1回ほどの頻度でスポーツドリンクが提供されています。そのため飲み物を持って走るなど、水分補給の心配は必要ありません。

 あまり頻度は高くありませんが、食べ物もいくつか提供されていました。スイカ、饅頭、パン、おにぎり、梅干しなど。一通り食べながら走ることができれば、エネルギー切れも問題なさそうです。

 特に充実しているのが、折り返し地点(50.4km)にある五霞町のエイドステーション。新鮮な野菜、そしてうどんを食べることができました。地元の方々がたくさんボランティアスタッフとして待っていてくださり、非常に盛り上がっています。

 また、この場所ではあらかじめ預けたドロップ荷物を受け取れます。そのため、着替えたり荷物を持ち替えたりしながら、食事とともにゆっくり休んでいる人が多い様子。私も後半戦に備えて、15分ほど滞在させていただきました。

記録更新や初100kmにピッタリ!

 青空が広がり、天候に恵まれた柴又100K。前半は強風、後半は暑さに悩まされるシーンもありましたが、全体を通じてとても気持ちよく走れました。折り返しコースということで、他ランナーに途中で会えるのも楽しみの1つではないでしょうか。往路では、一足先に折り返して戻ってきたトップランナーの走りを見ることができました。

 アクセスに優れ、フラットコースで走りやすい柴又100K。「自己ベストを更新したい」「できるだけアップダウンの少ないコースで100kmに挑戦したい」という方なら、ピッタリな大会です。気になる方は、ぜひ来年の出走レース候補としてチェックしておいてください。

[筆者プロフィール]
三河 賢文(みかわ・まさふみ)
“走る”フリーライターとして、スポーツ分野を中心とした取材・執筆・編集を実施。自身もマラソンやトライアスロン競技に取り組むほか、学生時代の競技経験を活かし、中学校の陸上部で技術指導も担う。またトレーニングサービス『WILD MOVE』を主宰し、子ども向けの運動教室、ランナー向けのパーソナルトレーニングなども行っている。3児の子持ち。ナレッジ・リンクス(株)代表
【HP】http://www.run-writer.com

<Text&Photo:三河賢文>