経験が“限界”を決める?│寺田明日香の「ママ、ときどきアスリート~for 2020~」#10 (1/2)
みなさん、こんにちは! 7人制ラグビーの寺田明日香と申します!
先日、私のメンタルトレーナーの衣川竜也さん(ブログ参照)と久々のミーティングをし、競技中のことや夫への不満(笑)などさまざま話したわけなのですが、夫婦仲の話は一旦置いておくとして、競技のこと、中でもイップスや“自分の限界”についての話は、いろいろな立場の方に共通する話題ではないかと思ったので、書いてみようと思います。
今回も、最後までお付き合いのほどよろしくお願いします!
身体が動かないのは“経験”のせい!?
イップスという言葉、ゴルフや野球などに詳しい方なら、聞いたことがあるかと思います。
調べてみると、“今までできていたことが急にできなくなること”と解釈して良いかと思いますが、スポーツ以外にも、生活の中の動作で起こることもあります。
陸上選手を引退する間際の私に関しても、「どう走っていたのか、わからない」というような混乱状態だったので、ある種のイップスだったのではないかと考えられます。
そもそも、人間の動作を簡単に考えると、目や耳などの感覚受容器から入ってきた情報が感覚神経を伝わって脳へ送り込まれ、脳からの命令が脊髄を介してそれぞれの部位を動かしているという流れになりますが、その伝達されるどこかの過程でなんらかのエラーが起こると、動きそのものは変わった形で現れます。これが、イップスの一つの原因と考えられているそうです。
例えば、普段何か物を取ろうとするときや歩くときに、「落としてしまったらどうしよう」、「歩けなかったどうしよう」と考えることはそう多くはないと思います。
むしろ、それは無意識に行っていて、逆に何かを考えるときは、とても高価な壊れやすい物を持とうとするときや、とても細い道、危険な道を歩くときなど、緊張する場面に出くわしたときではないでしょうか。
アスリートの場合、常に緊張度が高い状態で身体と頭を動かすため、不安要素となる事柄があると、それが影響し、身体の動きを阻害してしまうことがあるのです。そのことが、イップスにも繋がっていると考えられます。
調子が良いときにはあまり考えなかった細かなことも、調子が悪くなればなるほど気になり始め、足の出し方や手の動き、身体の向きなどの動作一つ一つを、「これで良いのか、悪いのか」と探すうちに大混乱を招き、自分の良い部分までの消してしまうことで、悪循環に陥ってしまいます。「そうならないように(失敗しないように)しよう」と考えた時点で、自分の意識は失敗する方へと傾いており、自分自身で失敗するように暗示をかけ始めているのです。
これらのことは、初めて行うことや始めたばかりのことでは起こらず、ある程度の経験があることで起こります。経験があるからこそ導き出せる成功もあれば、経験が邪魔をすることもあるということを頭に置いておかなければならないのだと思います。