なぜゴルフにはルールがあるのか?
これからゴルフを始めたいと思っている人、ゴルフを始めたばかりの人。そしてベテランだけどルールはイマイチ。そんな方々にお届けするのが、堅苦しさ一切なしの「ルールとマナー」シリーズ。読んで納得、腹落ち必至の解説でお届けします。1回目は、「ゴルフにおけるルールの意味」です。
ルールは公平性を保つためにある
すべてのスポーツにはルールがあります。野球、テニス、ボーリング、もちろんゴルフにもルールがあります。当たり前のことですが、すべてのスポーツはルールがないと競技が成り立たちません。ルールという決まりに従って切磋琢磨し、順位を争います。
ゴルフにも、公平性を保つためにルールがあります。ゴルフのルールは世界共通で、ルールブックというのがあります。そこにルールのすべてが書かれています。世界共通で、日本語のルールブックは、日本ゴルフ協会(JGA)が発行。ルールブックにはさまざまな項目があります。
【ルールブックに掲載されている項目】
●エチケット
●用語の定義
●プレーについての規則
●付属規則1 ローカル・ルール、競技の条件
●付属規則2 クラブのデザイン
●付属規則3 球
●付属規則4 機器と他の携帯品
●アマチュア資格規則
●年度ごとの変更点
(日本ゴルフ協会「ゴルフ規則」より引用)
などの項目が記載。ルールブックというと堅苦しいですが、600円とお値段も手頃なので、ぜひ手に入れて読んでみてください。中身を見ると、公平性だけでなく、安全にプレーすること、そして円滑なプレーを促す項目が多く含まれていることに気が付くと思います。
ゴルフにおけるルールの重要性
ルールの目的は公平性だけではありません。ゴルフは広いフィールドで開催され競技の時間も長いです。オリンピックで競技時間が長いと言えばマラソンでしょうが、ゴルフは、マラソンよりも遥かに長い時間、5〜6時間も競技しています。
ゴルフのルールには、公平性を保つだけでなく、プレーの進行をスムーズにすることが目的の項目が数多くあるのが特徴です。ただでさえ長い競技時間、円滑にプレーしないとどんどん競技時間が長くなってしまいます。公正にスムーズに競技を進行することを目的としています。
プロ野球の審判の方にお話を伺う機会がありました。僕が「審判の仕事でいちばん大切なことは何ですか?」と伺ったところ、「試合をスムーズに進行し、円滑に試合を成立させる。これにつきます!」と言われ、僕が予想していた答えと違ったので驚きました。
僕は「正しいジャッジをすること」と予想していたのです。プレーの円滑な進行と言われ、なるほどと思いました。もしミスジャッジしたら、そのジャッジで不利になるチームは当然、抗議をするでしょう。つまりプレー時間が、長くなってしまい円滑なプレー進行ができなくなるのです。
ゴルフも公平性だけでなく、円滑な進行できるようなルールが数多く定められています。例えば「ボ—ル探しは5分以内」というルールがあります。5分以上、それこそ見つかるまで探したら、プレー時間はどんどん長くなり、競技として成立しなくなる可能性も出てきます。
競技時間があまりに長くなってしまうと、ゴルフをプレーする障害となってしまいます。例えばゴルフが1日で終わらないとなると、限られた人しかプレーしなくなるでしょう。公平であること、そして円滑にプレーできることがゴルフのルールの目的なのです。
時代に合わせて変わるゴルフのルール
ゴルフルールは定期的に見直され、改定されます。2019年より新しいルールに変更が予定されていて、現在ルールに対する意見を求めている段階です。新しいルールは、よりプレーの進行を円滑に、プレー時間の短縮となるように改定されています。
公平性に加え、より円滑に時短プレーがルール上で可能になれば、もっと気軽にゴルフがプレーでき、ゴルフに興味を持ってくれる人が増えるはずです。僕は、クラブ7本だけ軽量バッグに入れて担いて9ホールラウンドしています。ルールを守っても気軽にゴルフができる方法だと思います。
ゴルフを円滑に気軽に楽しめることが、ルールの本来の目的の一つです。ルールと言うと堅苦しく感じますが、ゴルファーをもっと増やしたい、もっと楽しめるように、定められ、改訂されていることを覚えておいてほしいと思います。
[著者プロフィール]
マーク金井(まーく・かない)
クラブアナリスト。ゴルフ誌だけでなく、TV、ラジオなどさまざまなメディアで活躍する、自称「ゴルフ芸人」。ハンデ3の腕前と豊富な知識を活かした、わかりやすい試打レポートには定評がある。最近はクラブ設計者としても活躍、メーカーが作れなかった、アマチュアを救うクラブを設計。悩めるゴルファーのために自らゴルフスタジオ・アナライズを主宰している。最近発売した電子書籍「一生役立つゴルフ」シリーズ3部作は、アマチュアゴルファーを救うコースマネジメントや考え方が話題となり、電子書籍としては、記録的な売上を記録して、書籍として発売される。
■ANALYZ
http://www.analyze2005.com/
<Edit:松田政紀(アート・サプライ)/Photo:Getty Images>