2020年8月20日

2020、ついにシーズンイン。感謝と再始動へかける想い│寺田明日香の「ママ、ときどきアスリート〜for2020〜」#44

 みなさん、こんにちは! 陸上競技の寺田明日香と申します!

 私はというと、洗濯物がすぐに乾くことはうれしいのですが、「暑い! とにかく暑い!」と、うなだれながらトレーニングを行う日々を送っております。みなさんはいかがお過ごしですか?

 今回は珍しく、2週続けてコラムをお届けしていますが、「シーズンイン前・特別篇!」(勝手に言っています)という事で、新型コロナウイルスの影響で遅れていたシーズン初戦が、ついに今週末に迫っています。

 8月23日のシーズン初戦となる「セイコーゴールデングランプリ陸上2020東京(以下、GGP)@国立競技場」と、8月29日に行われる「Athlete Night Games in FUKUI(以下、ANG)@9.98スタジアム(福井県)」に向けての想いと、各レースでの見どころを本人よりお届けしたいと思います。

 最後までお付き合いのほど、よろしくお願いいたします!

本来ならばオリンピックが終わっていた時期

 本来であれば、2020年の私のシーズンは4月29日の「織田幹雄記念陸上」から始まり、8月中旬になった現在はオリンピックも終わっているはずでした。しかし、3月24日にオリンピックの延期が発表された後、4月以降に行われる試合は軒並み中止か延期せざるを得なくなり、そればかりか練習できる場所すらも閉鎖になってしまうという状況におかれました。

 私自身、オリンピックの延期と多くの試合がなくなったことで、モチベーションの維持は難しくなり、練習場所の確保も難しくなったため、割り切って少しのお休み期間をつくりました。その間は家族と過ごす時間が大幅に増え、「選手・寺田明日香」として過ごす時間はほとんどなかったように思います。

 まったく、誰も考えもしていなかった事態になり、「どこに向かって進んで行けばよいのかわからない」という難しい問題に直面しましたが、ふと思い返せば、私が陸上選手に戻ったのは今年あるはずだった東京オリンピックまで後1年半を切った時期でした。

 もともと私にはそんなに多くの時間があったわけではないし、上手くいく保証はまったくない中でのチャレンジだったので、準備期間を少し長くもらえたと考えることで、また動き始めることができました。

 昨年の世界陸上後、世界トップの選手と私では何が違うのかを高野大樹コーチと話し合い、そこからまた齋藤大輔トレーナーをはじめとするスタッフたちと、あれやこれやとさまざまな取り組みをしてきました。

 活動自粛期間中もリモートでトレーニングを行なったり、データや論文を用いて動作についての理解を深める時間も作ってもらったりと、動作のイメージを膨らませることも大切にしてきました。その成果を試せるのが、今回の2試合となるのです。

 さて、GGPとANG2試合の「寺田明日香がおすすめする見どころポイント」ですが、ズバリ3つあります! うち2つは「苦手の克服」、もう1つは「強さ」です。

苦手を克服したレースで速さを感じてほしい

 昨年、私のレースを何度か見てくださった方であれば、私の苦手としているポイントがわかっているのではないでしょうか……? はい、そうです。1つは「スタート」です。スタートラインから、1台目のハードルまでの距離は13m、それを8歩で進み、84cmのハードルを跳びます。

 姿勢が低い&スピードが0の状態から、8歩でスピードに乗ってかつハードルを越えなければいけないので、見た目以上に難しい区間なのですが、昨年の私はここにこだわることができなかったので、今年は動作を改善すべく多くの時間を使って取り組んできました。

 もう1つは「ハードリング」です。これに関しても、第一次陸上選手期を含めて細かく自分の動きを分析して改善に取り組んだことがなかったので、いかにイメージと動作の乖離をなくすか、成功確立を上げるかを重点的に取り組みました。

 特にリード足の上げ方と下げ方は、自分のコントロールを失わない範囲で早く動かせるよう、常に意識してやってきたので、変化を感じてもらえたらうれしいです。

 この2つの「苦手克服」に関しては、昨年のレースと比べて頂いて、「お、なんか速そう」と、感じていただけたら、ちょっとは成功なのかなと思います!

目標タイムはずばり日本記録更新!

 最後の「強さ」。これは、世界陸上でも感じた外国人選手たちの走りの力強さと、どの状況下に置かれても自分を見失わないで冷静に走れる心の強さを感じてもらえるように走りたいと思っています。

 目標タイムは自分のベストタイムである12秒97以上(つまるところ、日本記録の更新です)。

 あまり大きな口は叩きたくないですが、この2レースが12秒台で走れると、オリンピック参加標準記録(12秒84)はだいぶ近づいてきます。来年、余裕を持ってシーズンインをするためにも、良いタイムで走っておきたいと思っています。

 まだまだコロナ禍から抜け出せていない状況の中で、この2試合を開催するのは本当に大変なことが多いと思います。そんな中で、開催に向けて準備をしてくださっている多くの方々には心から感謝の気持ちを持って走りたいと思っていますし、それをレースの中でも表現できればと、強く思っています。

 テレビの前での応援、よろしくお願いします! 頑張ってきます!

【放送予定】寺田明日香選手が出場する2つのレース

◆セイコーゴールデングランプリ陸上

≫寺田選手出場の【女子100mH】は16:30〜の予定

[日時&場所]
2020年8月23日(日)東京・国立競技場
[放送]
・TBS系全国ネットにて生中継【15時~予定】
・民放ポータルサイトTVer、TBSFreeにてライブ配信【13時~予定】

▼詳細は大会公式WEBサイトをチェック
http://goldengrandprix-japan.com/

◆ナイター陸上競技会「アスリート・ナイト・ゲームズ・イン・フクイ」

≫寺田選手出場の【女子100mH】は予選16:20〜、決勝18:10〜の予定

[日時&場所]
2020年8月29日(土) 福井市9・98スタジアム(福井県営陸上競技場)
[放送]
huluにてライブ配信予定

▼詳細は大会公式WEBサイトをチェック
http://www.fukui-jaaf.com/contents/crowdfunding

[プロフィール]
寺田明日香(てらだ・あすか)
1990年1月14日生まれ。北海道札幌市出身。血液型はO型。ディズニーとカリカリ梅が好き。会いたい人は、大谷翔平と星野源。小学校4年生から陸上競技を始め、小学校5・6年時ともに全国小学生陸上100mで2位。高校1年から本格的にハードルを始め、2005~2007年にはインターハイ女子100mハードルで史上初の3連覇。3年時には100m、4×100mリレーと合わせて同じく史上初となる3冠を達成。2008年、社会人1年目で初出場の日本選手権女子100mハードルで優勝。以降3連覇を果たす。2009年世界陸上ベルリン大会出場、アジア選手権では銀メダルを獲得。同年記録した13秒05は同年の世界ジュニアランク1位だった。2010年にはアジア大会で5位に入賞するが、相次ぐケガ・病気で2013年に現役を引退。翌年から早稲田大学人間科学部に入学。その後、結婚・出産を経て女性アスリートの先駆者となるべく、「ママアスリート」として、2016年夏に「7人制ラグビー」に競技転向する形で現役復帰した。同年12月の日本ラグビー協会によるトライアウトに合格。2017年1月からは日本代表練習生として活動した。2018年12月にラグビー選手としての引退と陸上競技への復帰を表明。2019年シーズンから競技会に出場し、6月に日本選手権女子100mハードルで9年ぶりの表彰台となる3位に入り、7月には100mでも自己記録を更新。8月には19年前に金沢イボンヌ氏が記録していた日本記録13秒00に並ぶと、9月1日に「富士北麓ワールドトライアル2019」で史上初めて13秒の壁を突破し、12秒97の日本新記録を樹立。カタール・ドーハで開催された「世界陸上」に出場。再び陸上競技選手として、2020年東京オリンピックを目指す。

◎所属企業:株式会社パソナグループ

◎主な記録:100mハードル日本記録保持者(12秒97)/100mハードルU20日本記録保持者(13秒05=2009年世界ジュニアランキング1位)/100mハードル日本高校歴代2位(13秒39)/100m:11秒63

【今後の主なスケジュール】
●セイコーゴールデングランプリ陸上
2020年8月23日(日)東京・国立競技場
http://goldengrandprix-japan.com/
●ナイター陸上競技会「アスリート・ナイト・ゲームズ・イン・フクイ」
2020年8月29日(土) 福井市9・98スタジアム(福井県営陸上競技場)
http://www.fukui-jaaf.com/contents/crowdfunding
●第68回全日本実業団対抗陸上競技選手権大会
2020年9月18日(金)~20日(日)埼玉・熊谷スポーツ文化公園陸上競技場
https://www.jaaf.or.jp/competition/detail/1452/
●第104回日本陸上競技選手権大会
2020年10月1日(木)~3日(土)新潟市・デンカビッグスワンスタジアム
https://www.jaaf.or.jp/jch/104/
●2020世界室内選手権
2021年3月19日(金)~21日(日)会場:中国・南京
https://www.jaaf.or.jp/competition/detail/1416/

【関連URL】

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<Text & Photo:寺田明日香/Edit:松田政紀(アート・サプライ)>