2017年8月14日

9月に開催!達成感を増幅させるアップダウンが待つ「秋田100キロ チャレンジマラソン」。“走るライター”厳選の国内マラソン大会 #2

 マラソンはトレーニングシーズンに入っていますが、すでに年内の出場大会は、ほぼ決まったという方が多いでしょう。私も8〜12月で、仕事とプライベート含め10大会への出場が決まっています。初出場となる大会が多く、どれも今から楽しみで仕方ありません。

 大会は1つ1つ特徴が異なります。本連載は私が過去に出場した数々の大会から、個人的にオススメしたい国内のレースを厳選してお届けするもの。今回ご紹介するのは、『秋田100キロ チャレンジマラソン』です。私は昨年、初めて100キロの部へ参加しました。

「美味い!」の詰まった前夜祭で交流を深める

 受付はJR角館駅すぐにある『仙北市角館交流センター』。しかし多くのランナーは、受付を終えても帰りません。実は前日、こちらではランナーを歓迎する“前夜祭”が開催されるのです。初参加者からリピーターまで、大勢のランナーが集結する前夜祭。ステージでさまざまな催し物が行われつつ、立食型でのパーティーが繰り広げられます。

 地元の美味しいモノを食べられるのは、前夜祭の醍醐味。前夜祭は有料の申込制ですが、なんと“食べ放題&飲み放題”なのだとか。大会以上に、この前夜祭を楽しみに参加されているランナーもいるようです。私もお蕎麦などをいただきましたが、やはり美味しかったです。ごちそうさまでした。

 ちなみに前夜祭で振る舞われる日本酒、なんと大会オリジナルのラベルが貼られていました。これだけで、大会の歓迎ぶりが伺えます。会場で販売もされていたので、記念のお土産にも良さそうですね。美味いお酒と食べ物に満たされ、大会本番を迎えます。

達成感を増幅させるアップダウン

 スタートは早朝、前夜祭が開催された『仙北市角館交流センター』前から走り始めます。皆さん、前夜祭のお酒はしっかり抜けた様子。実際のコースは、一筋縄ではいかない、なかなか走りごたえのあるものでした。

 スタート直後は比較的フラットな道。道幅が広いので、余裕を持って走ることができます。目の前には田畑、そして山々の連なる風景が見え、とても清々しく感じられます。しかし…。

 本大会は標高500mを超える地点まで登る、アップダウンの激しいコース。最高点は約42km地点ですが、そこまで細かく登ったり下ったりしながら疲労が蓄積していきます。思わず歩いてしまいそうな急勾配もあり、前半から苦戦を強いられたランナーも多いことでしょう。

 最高点まで登りきると、あとは下り坂メイン……。しかし、常に下り続けるわけではありません。やはり細かな上り坂が何度も訪れます。さらに下りも傾斜が急なので、調子に乗ってスピードを出すと脚に大きな負担が掛かります。

 それでも時おり、目に飛び込む絶景が、ランナーの疲れた心を癒やしてくれます。済んだ空気を思い切り吸い込むと、疲れさえ吹き飛ぶような気がしました。

 アップダウンが激しい。確かに大変さは増しますが、その分だけ、ゴール後の達成感も増幅するというもの。コース、そして景色が変化に富んでいるため、常に新鮮な気持ちで走ることができます。ポイントは、前半の上り坂で疲労を溜めすぎないことでしょうか。

 ゴール地点には、大勢の方々が集まっていました。近づくと巨大な太鼓が「ドドンッ」と鳴り、ランナーを歓迎してくれます。ちなみに100kmの部と50kmの部はゴールが一緒なので、別部門に知り合いと参加しても合流しやすい点はうれしいポイントです。

温かな地元からのおもてなし

 本大会のリピーターは、きっと“人”に惹かれてこの大会へ訪れるのではないでしょうか。まずランナーにとって欠かせないエイドステーションでは、さまざまな食べ物・飲み物が用意されています。どれもランナー目線から見て、レース中のエネルギー補給に最適なものばかりです。

 ボランティアの皆さんは、とにかく皆さんが笑顔で元気。ランナーに声を掛けながら、食べ物や飲み物を勧めてくれます。さらにエイドを後に再び走り出す際には、「いってらっしゃ~い!」と手を振って送り出してくださる方も。それだけで背中を押され、先へ進む力が湧いてくるような気がします。

 ゴール後もきりたんぽをはじめ、地元の美味しいものが振る舞われます。ちなみに、アイシング用の冷たいプールまで用意されていました。ボランティアの皆さんはとても気さくで、会話していると時間を忘れてしまいます。この“おもてなし”こそ、本大会の持つ一番の魅力なのかもしれません。

 地元の味、そして温かな人との触れ合いに溢れた『秋田100キロ チャレンジマラソン』。今年は、まもなく9月24日(日)に開催されます。スタート地点がJR駅すぐという立地で、アクセスも便利。コースはタフですが、脚に自信のある方はぜひチャレンジしてみてください。

[筆者プロフィール]
三河賢文(みかわ・まさふみ)
“走る”フリーライターとして、スポーツ分野を中心とした取材・執筆・編集を実施。自身もマラソンやトライアスロン競技に取り組むほか、学生時代の競技経験を活かし、中学校の陸上部で技術指導も担う。またトレーニングサービス『WILD MOVE』を主宰し、子ども向けの運動教室、ランナー向けのパーソナルトレーニングなども行っている。3児の子持ち。ナレッジ・リンクス(株)代表
【HP】http://www.run-writer.com

<Text & Photo:三河賢文>