2017年6月22日

愛犬とゆったりリラックス♪「ドッグヨーガ」を体験してきた!

 犬と一緒にヨーガを楽しむ「ドッグヨーガ」を気軽に体験できるイベント「愛犬とパークエクササイズ教室」が、6月17日に神奈川県立相模三川公園で開催されました。

 ドッグヨーガとは、日本ドッグヨーガ普及協会代表の大沼則子先生が考案したもの。インドの古典ヨーガのポーズ、インド哲学・伝統医学を織り交ぜ、犬との一体感やコミュニケーションを深めることを目的としています。

無理は禁物! 呼吸をあわせて“愛犬とつながる”

 今回のレッスンでは、大沼先生自らが講師となって、ドッグヨーガをレクチャーしてくれました。

 この日に集まったのは、小型犬から大型犬まで、さまざまなワンちゃんを連れた約20名の飼い主さんたち。皆さん、ドッグヨーガを体験するのは初めてだそうです。まずは、大沼先生より、基本概念についてのお話がありました。

「ヨーガとは、もともとサンスクリット語で“繋がる・ひとつになる”という意味です。つまり、ドッグヨーガは“犬と繋がる”ということ。ワンちゃんと呼吸をあわせて、ひとつになる感覚を大事にしましょう」

 ドッグヨーガはハードなエクササイズは目的とせず、ポーズをとる際にも、無理をしないことが大原則。飼い主が心身ともに不健康な状態でいると、犬にもそれが伝わってしまうため、「ヨーガで人間が健康的になることで、犬も元気になれるんです」と大沼先生は話しています。犬の健康のためにも、ヨーガを通して自身の体としっかり向き合うことが大切なんですね。

ゆったりとリラックスしてポーズにチャレンジ

 公園の芝生広場にて、いよいよレッスンスタート。用意するものは、ヨガマット、犬と自身の手元を繋いでおくためのリード、そのほかペットブランケットなど。裸足になってレッスンに臨みます。

 まずは心を鎮めるために、背筋を伸ばしてあぐらをかいて、呼吸を整えます。ワンちゃんは、腰の辺りで抱きかかえますが、無理そうであれば、足元にいる状態でOK。普通のヨーガと同じく、ドッグヨーガの要となるのは呼吸法です。目を閉じて、息を鼻から吸って、ゆっくりと吐いていきます。大沼先生の「吸って……。吐いて……。」という優しいトーンの指示にあわせて、つま先を上げ下げしたりと、次第に体をほぐしていきました。

 次に、犬を抱っこして立ち上がり、腕に犬の重みを、足裏に大地の感覚を、じっくりと感じる時間が設けられました。ドッグヨーガではたびたびこのように、犬のことを考えながら心を鎮める時間が設けられます。ご主人の呼吸が心地好く伝わったのか、腕に抱えられたまま眠たそうにしているワンちゃんも。そんなリラックスした様子のワンちゃんたちを見ているだけで、筆者を含め皆さんとても癒された気分になっていきます。

 ここから約1時間をかけて、吸う・吐くの呼吸のリズムにあわせて、15種類ほどのポーズをとっていきました。最初にとったのは「木のポーズ」。息を吸い、片足立ちとなり、息を吐きながら足を下ろします。皆さん、ワンちゃんを抱えているというのに、意外にもバランスをキープできていました。

 続いて、そのまま足を開くと、今度は片膝を曲げて、もう片方の脚をぐーっと伸ばし、背骨を伸ばして重心を下ろしていきます。犬を抱いていない人は両手を横に広げる「英雄のポーズ」を展開。大沼先生は、「目の前にある丹沢の山をわんちゃんと一緒に見て、いくつになってもワンちゃんと丹沢を元気に登れるように足腰を鍛えましょう」と話していました。

 そのほか、体操座りをして曲げた膝にワンちゃんをのせ、足を浮かせたり、さらに両手を上げる「ボートのポーズ」も。腹筋で重みのある犬を支えるため、参加者からは「これはちょっときついかも(笑)」という声も上がりました。ドッグヨーガにはこうした難易度の高いポーズもたくさんあるようですが、最初はできる範囲でOK。継続していくうちに、マスターできるかもしれません!

 ちなみに、自宅で気軽にできるドッグヨーガとしてオススメなのが、座り姿勢のポーズだとか。脚でひし形をつくるようにあぐらをかいて、ワンちゃんを中へ座らせた「真珠貝のポーズ」をとり、そのまま愛犬に被さるように前屈します。「頭はお休みさせて、五感を研ぎ澄ませましょう」と大沼先生。顔を近づけると、犬の毛並みや息遣い、温度感が伝わってきて、じっくりと愛犬の存在を感じられそうです。

 さまざまなポーズを経て、レッスンはいよいよ終盤へ。ワンちゃんをお腹あたりに乗せ、仰向けに寝そべります。「人間もワンちゃんも、そのほかの生命も、みな同じで対等な存在。あらゆる生命が大地から生まれ、また大地へと戻っていく、その感覚を感じましょう」。そんな、大沼先生のゆったりとした誘導を聞きながら、しばらく、生命のエネルギーを感じる時間をもちました……。

実は愛犬と一緒の方が安定するポーズの秘密

 体験後は、皆さん笑顔で、とてもリラックスした様子でした。ウトウトするシーズー犬を抱えていた女性は、「ずっとやってみたかったドッグヨーガを、自然いっぱいの環境でできてよかった。犬も身を委ねてくれました」と、うれしそうに語っていました。

 柴犬とラブラドール・レトリバーの血をひく大きめのワンちゃんを連れていたご夫婦は、「うちの子は大きいし、うまくできるか心配でした。でもなんとか足元で落ち着いていて、リラックスできたみたい」と、安心した様子。いろんなポーズを難なくこなしていた、真っ白なテリアを連れた女性は、「この子は体重7~8Kgほどで抱えると結構、重いんです。でも、ポーズをとってみると意外と安定して、うまくできました」と語っていました。

 一見難しそうなヨーガのポーズですが、大沼先生によると一人で挑戦するより、むしろ愛犬と一緒だとできるという方は多いそうです。

「“ワンちゃんを落としてはいけない”という気持ちになるので、愛犬と一緒だと安定感が増す人もいますね。同じ理由から無理なく自然にバランスを取るため、体幹がしっかりしてきて、インナーマッスルも鍛えられます」

 ほかにも、呼吸を意識してワンちゃんを抱えていると、腕などの“支える筋肉”も自然に鍛えられるとのこと。愛犬の存在を肌で感じ、ともに呼吸をし、繋がっている意識を高められる。そんな、人と犬との絆を深めるドッグヨーガに、ワンちゃんと暮らしている人は、ぜひトライしてみてはいかがでしょう。

《関連サイト》
日本ドッグヨーガ普及協会
http://dogyoga-wan.com/

[監修者プロフィール]
大沼則子(おおぬま・のりこ)
インド政府公認ヨーガ療法士、ヨーガ教師(ヨガ講師歴16年、ヨガ歴24年)、日本ドッグヨーガ普及協会代表、動物自然療法協会顧問。1999年より勤務した東洋伝承医学研究所・日本アーユルヴェーダスクールの動物部より、2006年に日本ドッグヨーガ普及協会を、2007年に動物自然療法協会を立ちあげて独立。レッスン開催や動物イベントへの参加、インストラクター養成、DVD・出版物の発行など、その活動は多岐に渡る

<Text&Photo:藤岡千夏(H14)>