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野菜中心の食事で体重と体脂肪は減るのか。ヴィ―ガン食のダイエット効果を調べた実験でわかったこと

 ドキュメンタリー映画『The Game Changers(ゲームチェンジャー: スポーツ栄養学の真実)』(Netflixで配信中)が大きな話題を呼び、ヴィ―ガン食に関心を持つアスリートが増えました。

関連記事:肉をやめて野菜中心の食事にすべきなのか。菜食主義とアスリートの関係を描いたドキュメンタリー映画『The Game Changers』がおもしろい

 この映画が主張するように、ヴィ―ガン食がダイエットやスポーツのパフォーマンスによい影響を及ぼすか否かについては、今までも数多くの研究がなされています(*1)。そうした研究の実行を困難にし、またその結果の信頼性を損なっているのは、被験者らの元々の体質や生活習慣など。食習慣以外の実験結果に影響を及ぼすと思われる、他の多くの要因を排除できないことです。

 食習慣がダイエットの結果を大きく左右することは言うまでもありませんが、それだけで体重や体脂肪率の増減は説明できません。たくさん食べてもよく運動する人と、少ししか食べずまったく運動しない人。この両者を比べても、どちらが痩せるか分からないのです。それでは、特定の食習慣を正しく評価することはできないでしょう。

 食習慣がアスリートのパフォーマンスへ与える影響を調べるとなると、研究はさらに困難になります。真剣に競技しているアスリートに、長期間に渡って食習慣を変えるように依頼するのは困難です。また、たとえそれができたとしても、アスリートたちのトレーニング強度や内容は異なっているため、やはり特定の食習慣のみを抽出してその効果を検証することはできません。

ヴィ―ガン食の効果を調べた、とあるユニークな実験内容

 ところが、その困難に挑戦し、可能な限りほかの要因を排除してヴィ―ガン食の効果を調べたある実験が、アメリカの大手ウェブメディア『Insider』に紹介されました(*2)。実験を行ったのはロンドンにあるキングス・カレッジ。被験者として協力したのは、ロス・ターナー氏とヒューゴ・ターナー氏の2人です。彼らは一卵性双生児であるだけではなく、極地でのスキーや自転車による冒険をペアで行う現役の冒険家兄弟でもあります。

 ターナー兄弟は『The Game Changers』の公開後に多く見られたアスリートのヴィ―ガン食ブームが、この実験に協力する動機になったと述べています。

「私たちはこの実験から先入観や意見を排除して、遺伝子レベルにまで引き下げたかったのです。私たちは双子で、遺伝子的には同一ですので、極めて厳格な環境で科学的な実験を行うことができます」(ロス氏)

実験ではヒューゴ氏が完全なヴィ―ガン食、ロス氏が肉食を含むバランスのとれた食事を12週間続けました。実験期間中の食事はすべて食事デリバリー会社から提供。それぞれの食事内容は異なっていても、合計カロリーは2人とも同じになるように設定されました。また実験期間中、2人はまったく同じ内容の耐久系トレーニングを週5~6回行っています。

実験結果

 12週間の実験終了後、ヴィ―ガン食を食べ続けたヒューゴ氏は体重が4パウンド(約1.8キロ)軽くなり、体脂肪率は1%落ちました(13%->12%)。ヒューゴ氏によれば、最初の4週間で体重は約4キロと急激に落ちましたが、その後の8週間でやや持ち直したそうです。

 一方、バランス食を食べたロス氏は体重が10パウンド(約4.5キロ)増加し、体脂肪率は2%増えました(13%->15%)。つまり、同じ体質をもった2人が同じ運動を行いながら、ヴィ―ガン食は体重と体脂肪を減らし、肉を含む食事は体重と体脂肪を増やすという結果になったのです。

 さらにヒューゴ氏は、数値では現れない効果がヴィ―ガン食にあったと述べています。体内のエネルギー・レベルが上がり、昼食時なども以前よりはるかに覚醒していると感じたそうです。

「ヴィ―ガン食によって、精神的な集中力がとても高くなりました。午後にだるくなるようなこともなく、体がエネルギーに満ちていることを感じました」(ヒューゴ氏)

今後の課題は詳細データと実験期間

 ターナー兄弟は、12週間の実験では栄養学の研究として期間が短すぎるため、今後もっと長期に渡る実験(6か月から1年)を行ってみたいと述べました。また、体重や体脂肪率だけではなく、もっと詳細な血液データやテストステロン値なども測定基準に含めたいとしています。

 ターナー兄弟自身は、これからも「Plant-based Diet(植物由来の食習慣)」をライフスタイルの中に取り入れたいとも言っています。彼らが行う冒険には心身ともに極限レベルの耐久力を要求されますが、ヴィ―ガン食はそれに大きな効果があると確信したからです。

参考文献:
*1.
Plant-Based Diets for Cardiovascular Safety and Performance in Endurance Sports.
Barnard, N. et al., 2019
https://www.mdpi.com/2072-6643/11/1/130

*2.
Identical twins compared a vegan diet with meat-eating and found the vegan diet led to fat loss and more energy.
https://www.insider.com/twins-compare-vegan-diet-eating-meat-leads-to-more-mass-2020-5

・ターナー兄弟のウェブサイト
https://www.theturnertwins.co.uk/

[筆者プロフィール]
角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。IT関連の会社員生活を25年送った後、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー部監督を務める。また、カリフォルニア州コンコルディア大学にて、コーチング及びスポーツ経営学の修士を取得している。著書に『大人の部活―クロスフィットにはまる日々』(デザインエッグ社)がある。
【公式Facebook】https://www.facebook.com/WriterKakutani

<Text:角谷剛/ Photo:Getty Images>

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