いま人気&話題のシンガポールマラソン。初マラソンや初心者ランナーにもオススメな理由とは[現地レポ] (1/2)
穏やかな春の陽気に誘われて、本格的に走り始める人も多いこの季節、トレーニング計画を練ったり出場する大会の予定を組んだりするのは楽しいものです。中には「今年こそ海外マラソンに挑戦したい」とか「次の海外マラソンはどこにしよう?」と思案中の方もいるでしょう。そんなランナーの皆さんにご紹介したいのが、日本からも行きやすいアジア圏のマラソン大会です。
欧米よりも渡航時間や費用が手軽で時差が少ないのも人気の理由。例えば毎年12月に開かれるシンガポールマラソン(正式名称:スタンダード・チャータード シンガポールマラソン)も年々、日本からの出場者が増えています。大会自体の規模もどんどん大きくなっていて、初年度の2002年は参加者6225人だったのが2018年には参加者4万6096人に増え、いまやアジア最大級のマラソンイベントへと成長しました。2018年大会を現地で取材した筆者によるレポートです。
マラソンメジャー入りを目指すシンガポール
▲マリーナ湾の夜景(筆者撮影)
シンガポールといえば東京23区くらいの国土面積でありながら経済発展が目覚ましく、世界屈指の観光立国としても成功しています。日本人観光客の人気も高く、「一度シンガポールに行ってみたかった」という人のエントリーがシンガポールマラソンも多いようです。
実際、シンガポールで一番の賑わいを見せるマリーナ湾周辺には、船をモチーフにしたプールで有名な豪華ホテルのマリーナベイ・サンズや高級ブランドショップが軒を連ねる巨大ショッピングモール、各国料理のレストランなどが軒を連ね、マラソンコースにもシンガポールを代表するランドマークがたくさん盛り込まれています。治安もいいので大会前後に観光やショッピング、グルメを大いに満喫できるのが魅力です。
▲マリーナベイ・サンズ(筆者撮影)
さらにシンガポールマラソンは政府主導でワールドマラソンメジャーズ入りを目指していることでも話題に。2018年からボストン、ロンドン、ベルリン、シカゴ、ニューヨークシティ、東京で構成される世界6大マラソン入りに本腰を入れ、大会予算約4000万シンガポールドル(約32億円)を投じました。これは東京マラソンの大会予算約36億円に迫る巨額で、そうした潤沢な資金が大会運営の充実や参加者へのホスピタリティに還元され、ランナーからの高評価につながっています。
初心者にも走りやすい平坦コース。暑さ対策や制限時間は?
シンガポールマラソンのコースは全体的に起伏が少なく平坦なのが特徴です。そのためエリートランナーは記録を狙いやすく、一般ランナーにも走りやすいと言えます。唯一、39km地点にマリーナベイ・サンズ脇の陸橋が待ち受けますが、上り坂の距離は200m程度。そう長くはないので多くのランナーがペースを落としたり歩いたりしながら無事フィニッシュを迎えます。ちなみにフルマラソンの制限時間は7時間。ちょうど東京マラソンと同じ設定で高い完走率につながっています。
▲初心者ランナーにもやさしいコース(筆者撮影)
スタート地点はF1シンガポール・グランプリで使われるF1ピットビルディング前という珍しいロケーション。スタート時刻はまだ夜が明けない早朝4時30分です。「早い!」と驚かれるかもしれませんが、熱帯気候のシンガポールでは日中の気温が30℃前後、湿度も90%を超えるため、気温25℃以下の早朝スタートは免れません。
▲F1ピットビルディング前がスタート地点(写真提供:SCSM2018)
他にも暑さ対策として2kmごとに給水所が設けられています。日本からエントリーした海外マラソン経験豊富な一般ランナーのKenさん(20代/自営業)は、「ここまで給水所の多い大会は初めて。さらに4kmごとにスポーツドリンクを支給してくれて、バナナやエナジージェルも3カ所でもらえたので助かりました」と話していました。