筋トレ民が「クレアチン」を摂取するメリットとは。管理栄養士が解説
短時間高強度のスポーツのエネルギー源となるクレアチン。アミノ酸の一種で、平均的な成人のカラダの中には80~130gほど存在し、その約95%がリン酸と結合したクレアチンリン酸として骨格筋に蓄えられています。プロスポーツ選手やアスリートが注目し、運動パフォーマンス向上のエビデンスレベルが高いのも特徴です。
クレアチンという栄養素は、筋トレ民にはどんな効果が期待できるのでしょうか? 管理栄養士で、全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会認定パーソナルフィットネストレーナーの河村玲子さんに伺いました。
クレアチンの作用と期待できる効果とは
高強度の高いトレーニング時にエネルギーを素早く作り出す
クレアチンリン酸は、筋収縮に必要なエネルギーのATP(アデノシン三リン酸)の再生に使われます。つまり、体内に十分なクレアチンが蓄積されていれば、無酸素運動など強度の高いトレーニング時にも素早くエネルギーを作り出すようにサポートしてくれるのです。
筋肉疲労を防ぐ、筋肉内に水分を貯留する
また、運動中に生じる水素イオンや乳酸などの酸性物質を緩衝したり合成しにくくしたりすることで、疲労の原因ともなる筋肉が酸性に傾くことを防ぎます。さらにヒトのカラダにとって大切な水分を筋肉中に貯留する役割も果たします。
筋肉に蓄積され、筋収縮に必要なエネルギーの再生をサポートするとは、クレアチンはまさに筋トレ民のための栄養素と言えます。
筋トレ民がクレアチンを摂取するメリット
エネルギー補給が円滑になるため、ハードなトレーニングが可能になる
「たとえばタバタプロトコル(※)を利用した運動だったり、高負荷での筋力トレーニングなどの高強度の運動、とくに短時間で激しい動きを繰り返すような運動でのパフォーマンス向上が期待できます」(河村さん)
クレアチン自体が筋肉を増やすわけではありませんが、クレアチンがトレーニング中のエネルギー補給を円滑にすることで、ハードな筋力トレーニングを可能にします。これを積み重ねることで、結果的に筋肉量の増加、筋肥大が起こります。
筋肉疲労の緩和や回復促進
さらに「運動中の筋肉疲労の緩和や回復力の向上が期待できるのも、筋トレ民が注目したいクレアチン効果のポイントです」と河村さん。また、「ランニングなどの有酸素運動能力向上の効果はないようです」ともつけ加えてくださいました。
(※)タバタプロトコル … 立命館大学スポーツ健康科学部の田畑泉教授が発表した論文が元になったトレーニング法
[監修者プロフィール]
河村玲子(かわむら・れいこ)
管理栄養士。全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会認定パーソナルフィットネストレーナー。ティップネス蒲田・渋谷・日本橋にてパーソナルトレーナーとして活動。運動と食事の両面から体づくりをサポートするプロフェッショナルとしてパーソナルトレーニング、栄養カウンセリング、セミナー講師、レシピ提案、コラム執筆など幅広く活躍。監修本に『ちゃんとキレイなカラダをつくる! 女子の筋トレ&筋肉ごはん』(新星出版社)など。
※本記事はMELOSで公開された記事「筋トレ民なら知っておきたい栄養素「クレアチン」とは?筋量増加に効果的な理由を管理栄養士が解説」を再編集したものです。
<Edit:編集部/Text:パンチ広沢+アート・サプライ/Photo:Getty Images>