インタビュー
2018年2月8日

アメフトを見て「この道しかない」と決めたとき、1日10時間の猛勉強を始めたんです。アメリカンフットボール栗原嵩(後編)│子どもの頃こんな習い事してました #9 (3/3)

日本かアメリカ、どちらに住むかで違いますね。アメリカは子どもにいろいろなスポーツをさせて、ひとつに絞らないことが多いので、習わせたいものは変わってくる。いずれにしても何かを一生懸命やってほしい。スポーツでなくてもいいけれど、めちゃくちゃがんばってほしい。

アメフトはアメリカの国技と言える人気スポーツで、これぞアメリカという世界。そこでNFLのキャンプに参加したり、アメフトのコーチングを見てきて、日本との指導のしかたの違いを強く感じました。 いちばん大きな違いは、アメリカは誉めて伸ばす。日本はミスしたら叱る。小学校の段階から明らかにその傾向が見られます。そうすると、日本は、ミスしないように無難なプレーしかしないようになる。基本に忠実なことはいいのですが、ミスを恐れて萎縮してしまうのはよくない。

アメリカではミスしても叱られることがないから、みんな恐れず思い切ってプレーをしようとする。そうやって育ってきているので、プロになってもダイナミックでとんでもないプレーで観客を盛り上げるのはアメリカのプロスポーツ。それを見て、子どもたちもスポーツ選手に憧れて、スポーツ界全体が活性化されるのだと思います。

――今後の展望を教えてください。

今、現役として活動しながら、大学のアメフトチームのコーチをしています。学生への指導は、単にアメフトの技術を教えるだけでなく、彼らのこれからの人生に対して何かしらの影響を与えることでもあります。そのことを肝に銘じ、アメフトの技術論だけでなく、自分が得た経験から、人生観や人としての育成も積極的に行っていきたい。

選手としての目標は、日本一のアスリートになることです。アメフトは本当におもしろいスポーツなので、まずはそのおもしろさをもっと広めていきたい。残念ながら、今のアメフト界は自己満足で終わっています。世界的な大会もオリンピックもない、社会への影響力がなさすぎるんです。だから選手としてチームを勝利に導くことだけでなく、一人でも多くの人に興味を持ってもらいたい。

僕がメディアに露出することでアメフトの認知度が少しでも上がればうれしいです。「このマッチョ誰だ?アメフト選手か」と思ってもらうだけでいい。テレビでよく脱ぐのはそのためです(笑)。そこから興味持って試合に来てくれたら。小さな積み重ねですが、そういうことをやっているアメフト選手は僕だけなんで、引き続きがんばっていきたいですね。

今年2018年1月1日に、TBSの「究極の男は誰だ! 最強スポーツ男子頂上決戦」に出演したら、児童養護施設で働いている方からSNSで「子どもたちが栗原嵩さんのことかっこいい!!って言ってみんなで応援してましたよ」とメッセージをいただいたんです。僕の姿を見た子どもたちに、良い影響を与えられたことはうれしかったですね。今後は子どもたちの憧れとなるアスリートを目指すのはもちろん、スポーツを通じた社会貢献活動もしていきたいと思っています。

[プロフィール]
栗原嵩(くりはら・たかし)
1987年生まれ。東京都出身。駒場学園高等学校から法政大学を経てパナソニックインパルスに入団。2013年IBMビッグブルーに移籍。日本人初のNFL入りを目指し、2013、14年とボルティモアレーベンズのルーキーキャンプに招待される。2016年アメリカンフットボール東日本社会人選手権(パールボール)でチームを優勝に導き、自身もMVPに輝く。現在もプロアメリカンフットボーラーとしてXリーグで活躍する傍ら、法政大学、東京大学でコーチも務めている。お笑いコンビ「ブリリアン」のコージとは大学時代のチームメイト。コージがキャプテン、栗原が副キャプテンを務め、現在もお互いを応援し合う仲だという。妻はモデルの栗原ジャスティーン。所属事務所:株式会社ディンゴ http://dingo.jpn.com/

《取材・撮影協力》
Vita@stile
東京都中央区月島1-14-7 旭倉庫1F
http://vita-stile.com/

<Text:安楽由紀子/Edit:丸山美紀(アート・サプライ)/Photo:小島マサヒロ>

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