
母親から過干渉されて育った人は、大人になってどんな影響が出やすい? (4/4)
現在、過干渉されている場合、どう対処すればいい?
いままさに親から過干渉を受けていると感じる場合、ポイントは「境界線を作ること」と「自分を守る工夫をすること」です。
まず大切なのは、親と自分の間に適度な距離をつくること。
同居しているなら生活の一部に「自分だけの時間や空間」を意識的に確保しましょう。別居していても、連絡の頻度や会話のテーマをあらかじめ決めておくと、必要以上に踏み込まれにくくなります。
次に、気持ちを伝える工夫です。「干渉しないで!」と強く拒否するのではなく、「自分でやってみたい」「こう考えている」と“自分の意思”として伝えることが大切です。親を否定する言い方ではなく、自分の希望として話すと受け止められやすくなります。
なお、親に気持ちを伝えても否定や激昂されるときは、正面から説得しようとせず受け流す姿勢が大切です。直接のやり取りを減らす、同意も反論もしない返答などで衝突を避けましょう。
もちろん信頼できる第三者に相談することも有効です。友人やパートナーに話すだけでも気持ちが整理されますし、深刻な場合はカウンセラーや専門機関に相談する選択肢もあります。
過干渉で育っても、大人になって影響していない人もいる?
なお、過干渉な環境で育っても、大人になって強い影響を受けにくい人もいます。
たとえば、他に支えとなる存在がいた場合(祖父母・友人・先生など)、親以外の関わりから自己肯定感や安心感を育めることがあります。
また、性格的に自立心が強い人や、「親は親、自分は自分」と割り切れる考え方ができた人は、過干渉の影響を比較的受けにくい傾向があります。
さらに、大人になってからの環境も大きな要因です。信頼できるパートナーや仲間に恵まれる、カウンセリングや自己理解のプロセスを経るなど、後から自分の心を立て直すことで影響を和らげられるケースも少なくありません。
つまり、「過干渉=必ず大人になって生きづらくなる」ではなく、周囲の支えや本人の性格・環境によって差が出るのです。
過干渉で育っても、「今からでも充分変われる」
過干渉な環境はこどもの考える力、決定する機会を奪い、自主性や自己肯定感に影響を及ぼします。
しかしその育ってきた環境を当たり前として捉えたり、諦めてしまうのではなく、悩んでいるという方には今からでも十分に変われる・変わっていけるチャンスがあります。記事にある「立て直し方」を参考に少しずつ自分を変えていきましょう。
過干渉な親を変えることは出来なくても、自分が変わることで取り巻く環境を少しでも楽に、過ごしやすい環境に変えていくことが出来ます。自分では対応が難しい場合には周りの信頼できる人や専門家へ相談することをおすすめします。
監修者プロフィール
神谷町カリスメンタルクリニック院長
松澤 美愛先生
東京都出身。慶應義塾大学病院初期研修後、同病院精神・神経科に入局。精神科専門病院での外来・入院や救急、総合病院での外来やリエゾンなどを担当。国立病院、クリニック、障害者施設、企業なども含め形態も地域も様々なところで幅広く研修を積む。2024年東京都港区虎ノ門に「神谷町カリスメンタルクリニック」を開業、院長。精神保健指定医/日本精神神経学会/日本ポジティブサイコロジー医学会
URL https://charis-mental.com/
InstagramURL https://www.instagram.com/charismentalclinic
<Edit:編集部>