「母親からの愛情不足」で育った大人には、どんな特徴がある?男女別に解説 (3/3)
母親の愛情不足で育った女性に見られやすい11の特徴
ここでは、母親からの愛情を十分に感じられずに育った女性に、比較的よく見られる心理的・行動的特徴をご紹介します。
当てはまるものがあっても、決して自身を責める必要はありません。これらは、環境に適応しようとした結果であり、あなたが悪いわけではないのです。
親密な関係を避ける、または過度に依存する
母親との関係で傷ついた経験から、「親密になると傷つけられる」と学習した場合、人との距離を保ち続けようとします。友人や恋人に対しても本音を見せず、表面的な関係にとどめます。
逆に、「人に頼らないと生きていけない」という強い依存傾向が現れることもあります。恋人や友人に過度に依存し、少しでも離れることに強い不安を感じます。
これは「見捨てられ不安」と呼ばれ、常に相手の気持ちを確認したり、試すような行動をとったりします。
人の顔色を常に伺う
母親の機嫌に左右される環境で育った場合、相手の表情や声のトーンに過敏になります。
「今、怒ってるかな」「嫌われたかな」と常に相手の反応を気にし、自分の気持ちよりも相手に合わせることを優先します。
信頼関係を築くのが難しい
「どうせ裏切られる」「本当の自分を見せたら嫌われる」という思い込みから、人を信じることができません。
相手が優しくしてくれても、「何か裏があるのでは」と疑ってしまいます。
強い自己否定感
「自分には価値がない」「自分はダメな人間だ」という思い込みが根深くあります。些細な失敗でも自分を強く責め、成功しても「たまたま」「まだ足りない」と思ってしまいます。
過剰な頑張り・完璧主義
「愛されるためには完璧でなければならない」と感じ、常に高い基準を自分に課します。仕事でも人間関係でも、「もっと頑張らなければ」と自分を追い込みます。
休むことに罪悪感を覚え、燃え尽きてしまうことも。
慢性的な罪悪感
何をしていても「自分が悪い」と感じてしまいます。他人の機嫌が悪いのも、関係がうまくいかないのも、すべて自分のせいだと思い込みます。
謝ることが癖になり、「ごめんなさい」が口癖になっている人も多いです。
感情を抑圧する
「感情を出してはいけない」「弱音を吐いてはいけない」と学習し、自分の気持ちを押し殺します。怒りや悲しみを感じても、それを表に出さず、ひたすら我慢します。
その結果、突然感情が爆発したり、身体症状(頭痛、胃痛など)として表れたりします。
強い承認欲求
母親から認められなかった経験から、「誰かに認めてほしい」という欲求が人一倍強くなります。SNSでの「いいね」の数を気にしたり、常に褒められることを求めたりします。
しかし、どれだけ認められても満たされず、「まだ足りない」と感じ続けます。
批判に極端に弱い
建設的なフィードバックでも、人格否定と受け取ってしまいます。「あなたはダメ」と言われたように感じ、深く落ち込んだり、防衛的になって反発したりします。
自分と他人の境界線が曖昧
「自分がどう感じているか」よりも「相手がどう思うか」を優先します。自分の意見や感情が分からなくなり、「私は何がしたいんだろう」と混乱することも。
また、友人や恋人の悩みを、まるで自分のことのように深刻に受け止め、「何とかしなければ」と必死になります。共感力が高いがゆえに、相手の感情に飲み込まれ、自分自身が疲弊してしまいます。
NOと言えない
断ることで嫌われるのが怖く、無理な頼みでも引き受けてしまいます。自分のキャパシティを超えていても、「大丈夫」と言ってしまい、後で苦しくなります。
女性ならではの問題も出やすい?「母親の愛情不足で育った男性」との違い
母親の愛情不足は、男性にも女性にも影響を与えますが、その表れ方には性差があると言われています。これは脳の発達や社会的な期待の違いが関係しています。
女性は感情表現・共感力の強さゆえの苦しみが出やすい
一般的に、女性は男性よりも感情を言語化する能力や共感力が高い傾向があります。これは、脳の構造や社会化の過程で培われる特性です。
ただし、共感力の性差は生物学的要因だけでなく、社会化(育てられ方)による影響も大きいとされています。
この特性ゆえに、女性は自分の感情を細かく認識できてしまい「なぜ自分はこんなに不安なのか」「なぜ母親は私を愛してくれなかったのか」と深く悩みます。

また、共感力が高いため、他者の感情を敏感に察知し、「相手を傷つけてはいけない」「嫌われてはいけない」というプレッシャーを強く感じます。
その結果、自分の気持ちを抑え、相手に合わせすぎて疲弊します。
男性の場合、感情を抑圧しやすいため、自分の感情に気づかないまま、行動面(仕事中毒・物質依存など)で問題が表れることが多いと言われています。
「見捨てられたくない」という依存が出やすい
「見捨てられたくない」という不安が強く、相手にしがみつくような行動をとりやすくなります。
これは「不安型」という愛着スタイルで、一部の研究では、女性は不安型、男性は回避型がやや多いという傾向が報告されています。
「●●しないと愛されない」という不安が出やすい
女性には「優しく、思いやりがあり、人の世話をする」という社会的期待が強くあります。母親の愛情不足で育った女性は、この期待に応えようと過剰に努力することがあります。
「良い娘」「良い妻」「良い母親」であろうとして、自分のニーズを後回しにし、他者のために尽くし続けます。しかし、その根底には「こうしないと愛されない」という不安があります。

また、「女性は感情的」というステレオタイプから、感情的に反応する自分を責めてしまうことも。「こんなことで動揺する自分はダメだ」と、さらに自己否定が強まります。
注意したいこと。「母親を責めても解決しにくい」
母親の愛情不足について考えるとき、いくつか注意したいポイントがあります。
「愛情不足=悪い親」とは直結できない
母親が愛情を与えられなかった背景には、さまざまな事情があります。
- 母親自身も愛情不足で育った
- 産後うつや精神疾患を抱えていた
- 経済的困窮や家庭内の問題があった
- 孤立した育児で余裕がなかった
- 複数の子どもを育てる中で手が回らなかった
また、“母親の愛情不足”という表現は、その人の人格や資質を非難するものではなく、環境・支援・心理的状況など複合要因の結果として理解することが大切です。
母親を責めることは、結局自分自身を苦しめます。「母親も大変だったんだ」と理解することで、許しや解放につながることがあります。
ただし、これは虐待や深刻なネグレクトを正当化するものではありません。自分が受けた傷を認めることと、相手の事情を理解することは、両立できるのです。
監修者プロフィール
神谷町カリスメンタルクリニック院長
松澤 美愛先生
東京都出身。慶應義塾大学病院初期研修後、同病院精神・神経科に入局。精神科専門病院での外来・入院や救急、総合病院での外来やリエゾンなどを担当。国立病院、クリニック、障害者施設、企業なども含め形態も地域も様々なところで幅広く研修を積む。2024年東京都港区虎ノ門に「神谷町カリスメンタルクリニック」を開業、院長。精神保健指定医/日本精神神経学会/日本ポジティブサイコロジー医学会
URL https://charis-mental.com/
InstagramURL https://www.instagram.com/charismentalclinic
<Edit:編集部>

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