「モラハラする父親がいた家庭」で育った人の特徴とは。大人になってどんな影響が出やすい? (3/3)
「親が嫌い」はいけないこと? 親への罪悪感を手放す考え方
こうした環境で育った人の中には、モラハラをしてきた親が苦手、どうしても受け入れられないという人も多いでしょう。そして、そのことに罪悪感を抱く人もいます。
親を嫌うことについて、一般社団法人マミリア代表理事・臨床心理士、公認心理師の鎌田怜那さんは次のように語ります。
鎌田さん:
長い年月かけて作られてきた関係性を変えることはとても難しいものです。しかし「怖い」と思っていた父親は“今現在の父親”ではありません。
父親はあなたが幼少の頃より老いているでしょうが、あなたも大人になりました。大人の自分と心に棲む幼少の自分、どちらも大事なあなたです。
「親が嫌い」と思っているのは今現在(大人)の自分で、大人の視点で冷静に父親を見た時の感情なのでしょう。しかし、そのことに“罪悪感”が伴うのなら、幼少の自分の“恐れ”が紐づけられ、罪悪感を引き起こしていると考えられます。
親に対して不快感(攻撃性)を抱くと「怒られる・罰せられる」という心の癖が作動して、親を責めるより自分を責めるメカニズムが働いています。
まずは、あなたがあなたを大事にすることから始めましょう。罪悪感がうずきだしたら「それだけ怖い思いをしてきたんだね」「よく頑張った」「よく耐えた」と自分に声をかけてみてください。
自分を大事にしてくれなかった相手を嫌うのは当然の感情です。何も悪いことではありません。ただただ、認めてあげてください。

罪悪感の奥底には「大事にして欲しかった」「認めて欲しかった」「可愛がって欲しかった」という満たされなかった欲求や願いが存在しているはずです。それをまずはあなたが満たしてください。
多くの場合、無意識にいろんな人間関係の中で満たそうとして、トラブルにつながることがあります。たとえば強い承認欲求などです。自分の中にある怒りや憎しみを認め、受け入れることで次のステージに進みやすくなります。
怒りや憎しみに蓋をし続けることはおすすめしません。ただ、1人で向き合うのは辛い時間になるでしょう。きょうだいや親友、カウンセラーなどに話してみてください。
親に対する怒りや憎しみを認めないと、本当の感謝は生まれません。
本来なら、こども時代にとことん親を困らせたり反抗したりして、親への感謝が芽生えるものです。威圧的な父親に抑え込まれてきた人は、恐れの変化形として偽りの尊敬や感謝を抱いているものです。
親を本当の意味で尊敬・感謝できないと、他者のこともどこか上辺の感情・付き合いになりがちです。
あなたがあなたの人生を進むためには、過去の整理が必要です。それができると、仕事も人間関係も、より深みのあるものになりますよ。
最後に……親と一緒にいたくない・親を許したくないという気持ちがあってもOKです。無理に和解・親孝行する必要はありません。
あなたの心がそうしたくなければしなくていい。あなたがあなたを大事にして、あなたが大事にしたい人を大事にしてください。
監修者プロフィール
鎌田怜那(かまだ・れいな)
一般社団法人マミリア代表理事。臨床心理士、公認心理師。
【所属学会・協会】
・日本臨床心理士会
・日本公認心理師協会
・日本心理臨床学会
・日本アタッチメント育児協会
公式サイト https://mamilia.jp/
この著者の記事をもっと読む
<Edit:MELOS編集部>
辛い時、「悩みを相談できる人」がいない。誰かに話を聞いてほしい…どう切り抜ける?








