「パルクール」は、子どもの運動教育にどんなメリットをもたらすか (2/2)
パルクールを通じて思考力を鍛える
石沢さんによれば、パルクールで鍛えられるのは運動能力だけではないのだとか。むしろ運動以前に、“思考力”のトレーニングがメインなのだそうです。
「パルクールでは、動くために“考える”必要があります。目の前にある障害物を、どうやって乗り越えるのか。能力を上げるのか、それとも今の能力でスキルを磨くのか。そこでは思考力や問題解決能力が問われ、養われます。そして考えをもとにプランニングし、実際の動きへと繋げるんですよ。距離のある2つの地点を渡るのに飛び過ぎれば落ちてしまうように、ただ思いきり動けばいいのではありません」
着地動作なら、cmあるいはmm単位で自分自身をコントロールする。緩急があり、流れるように効率的に動くことを“フロー”と呼び、これがパルクールではとても重要なのだそうです。
「身体と思考。これに加えて、精神力も求められます。地面でジャンプするなんて誰でもできますが、これが高い場所になると恐怖心が生まれますよね。この恐怖心に打ち勝つためには、マインドタフネスが必要です。落ちることを考えると飛べなくなってしまう。それは、落ちたら怪我をするというイメージが浮かぶからでしょう。でも、そこで飛ぶことを諦めるのではなく、落ちないようにトレーニングするんです。パルクールを通じて、そうした精神面の強さも養われていきます
運動教育の場面では、やはり“大人だからできるんだ”と思われてしまいがち。しかしそうではなく、トレーニングしたからできているのだということを伝えることが大切なのです。だから自分自身ができないことを、誰かに教えるなんてありえない。だからこそ石沢さんは、自身もトレーニングに取り組み、日々研鑽を重ねているのです。
基本となる運動能力に加え、思考力と精神力が求められ、養われるというパルクール。これらは子どもの成長において、まさに重要度の高いものではないでしょうか。そしてパルクールを通じて得た能力は、おそらく他競技に取り組むようになったとしても、存分に活かされるものなのだと感じます。
SENDAI X TRAINでは、宮城県内と東京都内を中心にイベントや教室運営を展開しています。パルクールに興味を持った方は、まず1度、本物のパルクールを体験してみてください。
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[筆者プロフィール]
三河賢文(みかわ・まさふみ)
“走る”フリーライターとして、スポーツ分野を中心とした取材・執筆・編集を実施。自身もマラソンやトライアスロン競技に取り組むほか、学生時代の競技経験を活かし、中学校の陸上部で技術指導も担う。またトレーニングサービス『WILD MOVE』を主宰し、子ども向けの運動教室、ランナー向けのパーソナルトレーニングなども行っている。3児の子持ち。ナレッジ・リンクス(株)代表。
【HP】http://www.run-writer.com
<Text & Photo:三河賢文>