インタビュー
2019年11月11日

バドミントンは遊びのようなもの。サッカーを習いたくてもダメと言われて……。バドミントン元日本代表・池田信太郎(前編)|子どもの頃こんな習い事してました #27 (2/2)

――お母さんはバドミントンに関して何か言っていましたか。

母親は僕にすごく期待していたのか、「ひまがあったら外を走りなさい」などと常にいろいろと注意していて、中学に入るとその反発があってバドミントンに対するモチベーションが徐々に下がってきてしまったんです。子どもって言われるとやりたくなくなるものじゃないですか。みんな「勉強しなさい」と言われてもしないでしょう?

それと同様に、「今日ちょっと走ろうかな」という気持ちであっても、親から「走りなさい」と言われると走りたくなくなる。一応、走りには行くけど、「母さんが言ったから走りに行くんじゃないよ。僕が走りに行こうと思ったから走りにいくんだよ」とひねくれてしまう。親子げんかして「自分一人で生きていきます」と家の前の倉庫に一日いたこともありました。

――上手だと期待してしまって、熱くなってしまう親御さんの気持ちもわかります。

でも、習い事に関して親があれこれ言うのは子どもにとっては逆効果だと僕は思いますね。親御さんは子どもに習い事を“させる”のではなく、子どもの興味を引き出し、自然と、主体的に、能動的にやりたくなるような環境をつくったほうがいい。子どもは叱られるよりも成功体験を積み重ねていけば、おもしろがって続けると思います。

有能なアスリートは、親から言われて練習してきたというケースは少ないと思うんです。入り口はそうかもしれないけど、やっぱり自分が続けていて楽しかったから続けられるのだと思う。親が子どもに楽しさを提供できないとなかなか継続できないと思います。

後編:中学は努力不足で勝てなかった。その挫折を経て主体的に練習するようになった。バドミントン元日本代表・池田信太郎(後編)

[プロフィール]
池田信太郎(いけだ・しんたろう)
1980年生まれ、福岡県出身。筑波大学卒業後、日本ユニシス、エボラブルアジアに所属。2006年、2008年全日本総合選手権優勝(男子ダブルス)。2007年に開催された世界選手権では日本男子初のメダルを獲得。2008年北京オリンピック出場。2009年に日本人初のプロバドミントン選手となる。同年に混合ダブルスに転向し、2012年全日本総合選手権優勝、同年ロンドンオリンピック出場。2015年9月に現役を引退。東京2020オリンピック、パラリンピック組織委員会ACメンバーとして活動。

<Text:安楽由紀子/Edit:丸山美紀(アート・サプライ)/Photo:小島マサヒロ>

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