走り方、運動前後のストレッチ。マラソンのコツを学んだ「藤原新ランニング教室」
EPARKスポーツが開催した「EPARKスポーツ 夏休み親子スポーツ教室」。ロンドン五輪マラソン代表の藤原新選手が講師を務める「ランニング教室」が、神宮外苑周辺にて開催されました。
当日は朝から小雨が降ったり止んだりとぐずついた天気が続き、夜もおそらく雨だろうと予想されていましたが、意外にもスッキリとした夕空へと回復しました。
気温も涼しく、走りやすい夜。親子で走る第一部と、中学生以上が参加できる第二部があり、まずは第一部の親子ランニングからスタートです。
東京体育館広場前に集まる参加者たち
集合場所は東京体育館広場前。親子参加者たちを集め、オレンジ色のウェアに身を包んだ藤原新さんが挨拶をします。「フェイストゥフェイスで、分からないことがあったら何でも聞いてください」動作や言葉はとても気さく。さっそく全員で神宮外苑方面に向かいます。
まずはストレッチ体操から
走る前にストレッチが始まりました。サークル状になって屈伸、伸脚、アキレス腱伸ばしを行います。運動の前はストレッチが基本ですので、身体を壊さないためにも必ず行うようにしたいですね。
素早く足踏みをしながら少しずつ進むという、ユニークな訓練もありました。普段これほど素早く手足を動かすことはないので、思わず皆の表情に笑いが零れます。
今度はその逆、できるだけ大股で進む訓練。膝を胸につけるくらい大きな仕草で歩いた後は、足のつま先に手をタッチさせる動きへ移っていきます。指先を足のつま先につけるのではなく、足のつま先を指先につける意識で行うのがコツです。
肩を回して肩甲骨回りをほぐすのも忘れません。行っているうちに身体がぽかぽかしてきます。
ストレッチ完了! 親子で並んで一列ラン開始
藤原さんvs親子リレーが始まると、子どもたちは大はりきり。はじめは余裕があり、ハンデでオーバーランのサービスもしてくれた藤原さんですが、やがてその余裕もなくなり、いつの間にかハンデが消えていきます。
全力で走る親子と藤原さん。走り終わった親子や順番待ちのチームからは「鬼ごっこみたい」と明るい笑いが上がっていました。
三つ巴! 大人チームvs子どもチームvs藤原さん対決
今度は大人・子ども・藤原さんと3チームに分かれます。大人チーム速い! と思わせきや、途中で子どもチームが抜きはじめ、最後は逆転優勝を果たしました。藤原さんも一生懸命走っていたのですが、先ほどの親子ランでハンデを上げすぎたのか、やや後悔していた模様。それでも「皆、早いねー!」と嬉しそうです。
「力を合わせると子どもは早い。練習をすれば一人でも早くなるよ」と語っていました。
次はジグザグ走り。大人チーム、既に疲れが!
「まだ走りたい人!」藤原さんの質問に子どもたちは元気に手を挙げるものの、大人チームは若干疲労感が漂っています。さすが子どもはスタミナがありますね。
続いての動きはジグザグラン。一列に並んで座り、先頭が間の人たちを避けながら末尾まで蛇行し、その後は末尾の後ろに座ります。難しい動きながらも皆の表情は笑顔です。
皆で5往復! 全員vs藤原さんで走る
「5往復しよう! 途中で休んでもいいよ、1周だけでもOK!」藤原さんの掛け声と共に、大人も子どもも一斉に駆け出します。自分のペースで休み休み走ったり、藤原さんを追いかけて全力疾走をしたり。
走り終わると、全員で円になって和気あいあいとストレッチが始まります。背伸び、伸脚、腿伸ばし、手首足首回しなどを行い、ひとまずランは終了。
藤原さんへの質問タイム
親子から藤原さんへの質問タイムです。
——腕はどう動かしたらいいですか?
リラックスして動かすのでOK!
——走るとお腹痛くなるのはどうしたらいいですか?
初めはそうなんだけれど、練習していたら治ったよ!
——走っているとき呼吸はどうしていますか?
口と鼻から空気を吸って、鼻から吐く! マスクしてると呼吸を意識できるよ。
質問はたくさん出ましたが、一番印象的だった質問はこちら。
——どうやったら速く走れますか?
一生懸命練習して、負けた時もめげないこと。「大丈夫だ、次頑張ろう」と思うこと。これが早く走るようになれるコツだよ。
テクニカルな面もありつつ、1番の秘訣は「失敗してもめげずにチャレンジし続けること」と語った藤原さん。あらゆる事柄に当てはまる「成功する考え方」ですね。
全員で記念撮影をして第一部が終了しました。
第二部スタート! 再び東京体育館へ
中学生以上が参加できる第二部では、(スポーツ的な意味で)こなれ感のある大人たちが集まりました。「第一部で全力を出しすぎた」と子どもたちの元気さを語る藤原さんと共に、先ほどと同じ神宮外苑方面へ移動します。
おしゃべりを交えつつ活発とした雰囲気のなか、皆でストレッチ体操を行います。肩回し、肩甲骨回し、股関節を柔らかくする動き。運動前はこういった「動的ストレッチが効果的」とのことです。
そして体幹エクササイズ。腰の後ろで足を引き寄せる、段差を利用して体を沈めて戻すなど、明日筋肉痛になりそうな動きが続きます。しかし皆さんなぜか少し嬉しそう。
ランニングのフォーム作りエクササイズ
手を頭の上に置き、できるだけ大股で歩きます。「既に足がプルプルしてる」と、あちこちから声が漏れてきます。
さらに、足のつま先に手をつけて、ストライドを作る動きに移ります。第一部でも行った動きですね。
ラスト、小刻みに素早く走る! これらのエクササイズで、内転筋とお尻の筋肉がアップデートされて、走りが変わるかもしれないと、藤原さんは語ります。
いよいよラン開始!
神宮外苑周辺を皆で2周します。涼しい気候だったため、1週目は割とすんなり走り込めました。走りながら雑談も行われ、非常にエンジョイな空気感。初心者でもすぐ馴染める雰囲気です。
途中でほかのランニングチームがすれ違うこともありましたが、「通りまーす!」と大きな声を掛け合い、スペースを空ける光景も見られました。
2周目の前にいったん質問タイムが挟まれます。
息を整え、藤原さんにあれこれ質問
第一部でも行われた質問タイムに移ります。皆さん、間近に控えたマラソン大会に向けて、各自の疑問や悩みを問いかけていました。
——雨の日のトレーニングはどうしていますか?
気合で走る! 1回濡れちゃえば大丈夫! でも冬の雨だけは冷えるから気を付けて。
——練習をしているうちにふくらはぎが太くなるのですが。
「蹴る走り」をすると最悪で、ふくらはぎがバキバキになるんだよ。負担をかけない走り方があって、こう……なんだろう、感覚的で言葉にできない(笑)
——レースの朝は何を食べていますか?
コーヒーにご飯をちょっと程度かな。コーヒーにバターを入れた「バターコーヒー」が調子いいよ。
質問を終え、軽くストレッチしてからランの続きへ。2周目に入ると、さすがに少し疲れが見えてくる参加者たちですが、それでも全員マイペースに完走できたのがさすがです。
身体を故障させないコツは?
「身体の故障は予防できる」と、藤原さんは語ります。
整理体操で身体の調子を見て、少しおかしいなと感じた部分は揉んだりストレッチをすること。練習で「もう少しいける」と思っても、それはアドレナリンが出て痛みとか感じにくくなっている可能性もあるから、無理をしないこと。参加者たちも深く頷きます。
全体の集合写真を撮り、第二部も無事終了を迎えました。
オリンピアンランナーと走った一時間半。おのおの新たな発見や課題を見つけるきっかけになったのではないでしょうか。
<Text:編集部/Photo:冨田寿一郎>